PSW研究室

専門職大学院の教員をしてる精神保健福祉士のブログ

実践家参画型形成評価プロジェクト

2012年05月11日 10時15分11秒 | イベント告知

今日はひとつ、イベントのご案内です。

6月3日(日)に「実践家参画型形成評価プロジェクト説明会」を行います。
長期在院している方の、退院・地域移行支援にかかわるものです。
この問題に関心のある方なら、どなたでも参加できます。
参加費は無料ですので、奮ってお申し込みください。

ただ、「実践家参画型形成評価プロジェクト」と言っても、ハテナ?ですよね(?_?)
これだけでは、なんのことだか、わからないですよね?

大学が主催するイベントは、しばしば意味不明の日本語が横行しています。
内容を厳密に正確に伝えようとするほど、漢字が多くなって、訳わからなくなるんですね。
法律用語と同様、言葉が日常生活の実感から遠く離れてしまうのは、本当に考えものです。

上の言葉を分解すると、少しわかりやすくなるでしょうか?

「実践家」は、それぞれの現場で働く人たちですね。
この場合、長期に精神科病院に入院している人の退院・地域移行にかかわる人です。
多くは、地域の相談支援事業所の職員や、精神科病院の職員でしょう。
職種としては、ソーシャルワーカー(精神保健福祉士)や看護師が中心ですね。
でも、当事者性を活かして、ピアの立場でかかわっている方もいますね。

「参画」は、一緒に計画などを練ることに加わること、ですよね。
「型」ですから、他にもやり方はあるけど、一緒にやろうよ、という感じでしょうか。

でも、ちょっと、不思議ですね。
退院・地域移行を進めるのに、わざわざ「実践家」「参画型」なんて。
現場上がりの教員の僕としては、今さら言うまでもないことという気はします。

それだけ、調査研究というと、現場から遊離した研究者中心の発想になっている。
現場の人が参加して一緒に考えることのない、大学人だけの研究が多いってことですね。
研究教育機関の大学と、現場の実践者が、一緒に問題を考えていこうという主張ですね。

その次の「形成評価」が、わからないですね?
教育分野では「形成的評価」なんて、よく言いますけどね。
教師が、学習の途中で、それまでの内容をどの程度理解したかを評価しています。
その評価によって、指導計画を変更したり、理解の足りない部分の指導を行うことです。

この場合は、授業じゃなくて「事業」が対象になりますね。
「事業」を様々な取り組みの集合体と考えると、わかりやすいでしょうか?

病棟に広報したり、外出・外泊に同行したり、ピアの方が支援したり、ケア会議開いたり。
一つひとつのメニュー(要素)が集合して、ひとつのプログラムが成り立っている訳で。
退院・地域移行の事業を、自分たちで評価してみようということですね。

きちんと評価を行うことで、自分たちの実践を振り返り、足りないものを発見する。
他所で取り組まれている実践要素から、自分たちの未達成の課題を発見する。
その上で、さらに効果的に事業を進めるためには、何が必要か経験を交流し合う。
自己評価だけでなく、場合によっては第三者の評価を受けて、事業展開をモニターする。
個別給付化の中で、何をどう取り組むと、事業の成果が上がるのか、考え、共有し合う。

そういった事業モデルを「形成」する「評価」を行うプロジェクトにしたいな…、と。
あ、蛇足ですが「プロジェクト」は計画とか、事業とか、研究という意味ですね。
今回のは、文部科学省の研究補助金を受けての、結構大規模なプロジェクトです。
厚生労働省の補助金でないところが、味噌ですかね?(笑)

以上、とてもザックリした説明でしたが。
もし、ご興味と関心のある方は、以下のご案内をお読みください。
ぜひ本プロジェクトに参加してみたいという事業所・病院の方を、お待ちしています。
この説明会の後、エントリー(仮登録)して頂いた方々で、プロジェクトを開始します。


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■実践家参画型形成評価プロジェクト説明会のご案内■

退院促進・地域定着支援をより効果的に!
~実践家参画による効果モデル形成プロジェクトへのお誘い~

「退院促進・地域定着支援」がもっと効果的になるよう、実践現場の創意工夫を反映してみませんか?

精神障害者退院促進・地域定着支援事業は、長期入院を続ける精神障害をもつ方々が地域で自分らしい生活を営む「希望」を実現するための有力な取り組みとして導入されました。
実践現場には多くの熱い思いを持った支援者が存在します。
しかし、事業開始10年近くが経過しても、いまだにこの事業による病床削減や社会的入院の解消などの成果は見えてきません。
その背景には、効果的な実践モデルが未だに形成されておらず、効果的な取り組みについての共通認識が関係者の間に共有されていないことがあると考えます。

私たちは、世界的に発展して来たプログラム評価の理論と方法論を用いて、この取り組みを科学的根拠に基づく、効果的なプログラムモデルに構築するためのアプローチ法を開発して来ました。
また、その方法を退院促進・地域定着支援プログラムに適用し、効果的モデルの有効性を検証して来ました。

このプログラムをさらに効果的なモデルに発展させ、全国で実施・普及するためには、退院促進・地域定着支援に関わる全国の実践家の皆様の参画を得て、皆様の創意・工夫を反映して行くことが不可欠と考えています。
退院促進・地域定着支援に関わる皆さまにご参画ご協力頂き、より効果的なプログラムを形成・発展する活動を共に進めてみませんか。

退院促進・地域定着プログラムの実践家参加型形成評価プロジェクト説明会を開催します。
このテーマにご関心をお持ちの多くの皆さまのご参加をお待ちしています。

文部科学省・科学研究費補助金 基盤研究(A)
実践家参画型効果的プログラムモデル形成評価研究班
 代表 大島 巌(日本社会事業大学教授)
効果のあがる退院促進支援プログラムのあり方研究班
 分担研究責任者 古屋龍太(日本社会事業大学准教授)

●日時
2012年6月3日 日曜日 10:30~17:00

●場所
田町グランパーク会議室
東京都港区芝浦3丁目4-1 田町グランパークプラザ
JR山手線・京浜東北線 田町駅下車 東口より徒歩5分
TEL:03-5441-2122 アクセス: granpark.jp/access

●内容
09:45~受付開始
10:30~12:00 実践家参画型形成評価プロジェクトの趣旨・概要の説明、質疑応答
12:00~13:00 昼食
13:00~14:20 効果的プログラムモデル実施マニュアルの説明とグループ検討
14:30~15:50 効果モデル形成のための評価ツールの説明とグループ検討
16:00~16:30 全体討議、今後の共同プロジェクトの進行について
(17:00まで延長の可能性あり)

●参加費
無料
このセミナーは、文部科学省・科学研究費補助金基盤研究A「実践家参画型福祉プログラム評価の方法論および評価教育法の開発とその有効性の検証」(2011-2014年度)の概要説明をさせて頂くために開催します

●実践家参画型形成評価プロジェクトにご参加いただく3つの方法
1.実践家参画型形成評価サイト(PPCaFE)やメーリングリストへの参加による意見交換
2.効果的プログラムモデル形成評価試行プロジェクト(2013.1 より 1 年の予定)への参加
3.効果的プログラムモデル実施マニュアル・実践家参画型評価ツール作成ワーキンググループへの参加
※いずれか1つ、あるいは2つ、またはすべての活動にご参加いただけます。

●後援
社団法人 日本精神保健福祉士協会
特定非営利法人 全国精神障害者地域生活支援協議会

●ホームページ
詳細なご案内パンフレット・申し込みフォームは、下記のサイトをご覧下さい。
http://psilocybe.co.jp/2012/0603/
本プロジェクトの総合サイト「PPカフェ」(PPC&FE)もご参照下さい。
http://ppcfe.com/

●申し込み締め切り
2012年5月30日(水)
ファックスでお申し込みの場合には、下記宛に、
ご氏名(ふりがな)・ご所属・連絡先(住所・電話)・参加人数をお知らせ下さい。

●お問い合わせ先
日本社会事業大学・効果のあがる就労移行支援プログラムのあり方研究会
〒204-8555 東京都清瀬市竹丘3-1-30 日本社会事業大学・大島研究室
e-mail: kokatekitaisoku@gmail.com
Fax: 042-496-3126


※画像は、秩父名物「わらじカツ丼」。
 本プロジェクトとは、一切関係ありませんので、念のため。