エッシャーの絵は「不思議な絵」として児童本にも沢山引用されたり、いろいろなデザインに流用されたりして多くのひとが知っているのですが、大学の心理学の授業で教材としてもしばしば用いられています。
ペンローズが「無限階段」や「不可能三角形」を錯視として心理学の雑誌に載せ、それが契機でエッシャーがそうしたモチーフの絵を描くようになったという因縁があるようです。
「天使と悪魔」の絵も知覚心理学の領域で、多義図形、図と地が反転する図形などのひとつとして教材になることがあります。
白い部分が図になって前景になり黒い部分が地になって背景に引込めば天使が対称に配置された図案として知覚されるが、逆になれば悪魔の図案になる、と。
もう一つ大きな特徴は、中心の図は大きく周辺は次第に小さいフラクタルになっていて、いわば円形の地平線に囲まれた世界を表していることです。
ある本が、この特徴に着目し反ド・ジッター空間の説明に使っていました。
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ものの本にあった話。
場所はブラックホールの地平線の近く。
アリスは既にブラックホールに自由落下していて、自分が落下していることを気付かない。
そこは絶対0度の真空で、光子もない。
仮想光子に囲まれているが、それにも気付かない。
ボブはまだ落下せず、近くで浮いている。 . . . 本文を読む
初期のゲシュタルト心理学者は仮現運動のひとつに「純粋運動」というのが有るとしていました。
これこそゲシュタルトの真骨頂ではないかと思っています。
ただ、この現象を作るのが大変難しく、残念ながら「これこそ」という体験がありません。
2つの光点を左右に「パッ・・・パッ」と提示して、どこで光ったかが分からず、ただ「フ━━ァ」と動きだけが見えれば好いのですが。
光点それぞれの持続時間と提示間隔をいろいろ変えるだけでは実現しません。 . . . 本文を読む