瀬名・太田(2007)「ミトコンドリアのちから(新潮文庫)」は面白く、読み出のある本でした。
2000年に角川から刊行された「ミトコンドリアと生きる」を全面的に改稿・改題したものだそうです。
ミトコンドリア学の進歩は急ピッチで、こんなことにも関わっているのかと驚くばかりです。
原始の生物にとって極めて危険な物質だった酸素を、安全で効率の良いエネルギー変換の資源として使いこなしてきた生命の歴史が読み取れます。
人類が火を扱うようになり、放射性物質の核反応を制御してエネルギー利用しようとしてきた今日までの苦闘は、それを繰り返しているのかも知れません。
改編で最も大きく変わったのは健康への一般の関心の高まりが有って、長寿の遺伝子、アルツハイマー病や生活習慣病、サプリメントなどについての啓蒙を意図した比重が大きくなっているようです。 . . . 本文を読む
安全神話とは言い得て妙だ。
推進派も反対派も安全論議を神話化することで止揚した。
虚構であることは両派とも知らない訳でない。
限られた範囲だけで通用した話が、国全体で共有されるようになったから神話だった。
ナショナリズムと相関したからこそ神話だった。 . . . 本文を読む