このブログでも著書を推薦した成田さんですが、3月17日のyahoo!記事に「ヨーグルトでカゼを予防できるって本当?」というコラムを書いて評判になりました。その内容は
(1)法律上、食品は効能をうたって販売できないこと。
(2)例外として特保や栄養機能食品は表示や広告が可能だが、ヨーグルトの特保はカゼ予防をうたえないこと。
(3)ヨーグルトの効能を証明したとする論文を読んだら内容が不備だったこと。
などを紹介する記事です。
ところが、このコラムに一部の方々が、話題のRという商品を知らずに書いてるコラムで知識不足だ、という趣旨のコメントを寄せられていました。
うーん、残念ながらこれらのコメントは、我が国の法律について誤解されているものと思われます。(1)と(2)からも分かる通り、本当にカゼに効能のあるヨーグルトが開発されても現在の法律では、普通の食品と栄養機能食品と特保ヨーグルトは、食品パッケージ表示や広告などで「カゼに効く」と言うのは禁止されているのです。
打開方法として、機能性表示食品制度という別の枠組みを利用するという手段もあるのですが、そのためには「健康な人の風邪予防に効く」ということを学術論文で証明しなければならないのです。(念のため記すのですが、特保と機能性表示食品制度は、健康な人の健康維持のための制度です。治療効果があるような表示はできません。)
「研究で風邪予防効果が認められた」と一部のニュースで話題になった商品Rですが、3月18日現在で機能性表示食品申請をしてません。ですから現状では、パッケージや広告では、カゼ予防効果は一切言っていません。言えば消費者庁から指導されますので。
「でも、Rを開発した会社のホームページにこの研究成果が載っていますよ。これは広告や宣伝ですよね?」と疑問をもつ方も多いことと思います。実は、該当の研究成果ページには、商品Rのことは全く書かれていないので、広告宣伝に該当しないのです。あくまでも、「Xという乳酸菌を含むヨーグルトを被験者に食べてもらったらカゼに罹りにくくなった。」と、Xの有用性を訴える研究成果のページなのです。そして、別途、商品Rの広告ページと商品パッケージ表示には「Xを含みます」と書いてある訳です。この方法なら法律上問題がないのです。
「では、この商品Rはカゼ予防に効能があるのに、法律上の壁で表示ができないということ?法律の方がおかしいのでは?」と思った方、成田さんの(3)を読み返して下さい。そうなんですよ。実は、当該実験のうち風邪予防効果を実証したとされる実験では、プラシーボのヨーグルト(効果を見たいヨーグルトと外見上区別が付かないヨーグルト。)が用意されておらず、被験者を「牛乳を飲むグループ」と「ヨーグルトを食べるグループ」に分けての試験だったのです。
人間は結構気の持ちようで病気が良くなったりすることもあるもので、ただの小麦粉を薬だと聞かされて飲んでも病気が軽快することがあります。古い日本のことわざでも「鰯の頭も信心」ともいいますね。これをプラシーボ効果またはプラセボ効果というのですが、これと同じことで、二グループに分けられたとき、「新商品のヨーグルトを食べさせてもらえる」と聞かされたグループはそれだけで気持ちがワクワクして元気がでちゃった可能性があるのです。だから、厳密な実験のためには、もう一つのグループにも、外見のそっくりなヨーグルトを渡して「これは新商品のヨーグルトです」と同じ説明を聞かされる必要があったのです。
もちろん、後日同じ乳酸菌Xについて行った、「インフルエンザに効果があるかどうか」の実験ではちゃんとプラシーボのヨーグルトを準備していました(さすが!)。ただ、残念ながらこの実験の結果は「インフルエンザワクチンの効果を高める可能性があるということを明らかにした」と、ホームページに誠実に記載されています。つまり、ワクチンの効果を高める「可能性」はあるが、インフルエンザ予防に実際に効くかどうかまでは不明だったということをこの論文は述べて居るのです。この誠実ぶりもさすがは大手メーカーだと思います。
さて、以上より、商品Rについては、風邪に有効かどうか、まだ判定が難しいということがおわかりいただけたかと思います。とはいえ、インフルエンザワクチンの効果を高める可能性があることは分かったので、今後この研究が発展すれば、将来的には商品Rにカゼやインフルエンザの予防効果があることがはっきり証明されるかもしれません。
しかし、現時点ではまだ証明されてないものを、あたかも証明済みかのように言うのはよくないことです。ですから商品Rはカゼ予防効果があるとは一切謳っていませんし、一般論としても現在のところ、ヨーグルトにカゼ予防効果があることを広告・パッケージ表示などに記すことは禁止されているのです。
これで、成田さんのコラムが、知識不足や誤解に基づく記述ではないことがご理解いただけたかと思います。これからも成田さんのコラムを楽しみにしたいですね。
(1)法律上、食品は効能をうたって販売できないこと。
(2)例外として特保や栄養機能食品は表示や広告が可能だが、ヨーグルトの特保はカゼ予防をうたえないこと。
(3)ヨーグルトの効能を証明したとする論文を読んだら内容が不備だったこと。
などを紹介する記事です。
ところが、このコラムに一部の方々が、話題のRという商品を知らずに書いてるコラムで知識不足だ、という趣旨のコメントを寄せられていました。
うーん、残念ながらこれらのコメントは、我が国の法律について誤解されているものと思われます。(1)と(2)からも分かる通り、本当にカゼに効能のあるヨーグルトが開発されても現在の法律では、普通の食品と栄養機能食品と特保ヨーグルトは、食品パッケージ表示や広告などで「カゼに効く」と言うのは禁止されているのです。
打開方法として、機能性表示食品制度という別の枠組みを利用するという手段もあるのですが、そのためには「健康な人の風邪予防に効く」ということを学術論文で証明しなければならないのです。(念のため記すのですが、特保と機能性表示食品制度は、健康な人の健康維持のための制度です。治療効果があるような表示はできません。)
「研究で風邪予防効果が認められた」と一部のニュースで話題になった商品Rですが、3月18日現在で機能性表示食品申請をしてません。ですから現状では、パッケージや広告では、カゼ予防効果は一切言っていません。言えば消費者庁から指導されますので。
「でも、Rを開発した会社のホームページにこの研究成果が載っていますよ。これは広告や宣伝ですよね?」と疑問をもつ方も多いことと思います。実は、該当の研究成果ページには、商品Rのことは全く書かれていないので、広告宣伝に該当しないのです。あくまでも、「Xという乳酸菌を含むヨーグルトを被験者に食べてもらったらカゼに罹りにくくなった。」と、Xの有用性を訴える研究成果のページなのです。そして、別途、商品Rの広告ページと商品パッケージ表示には「Xを含みます」と書いてある訳です。この方法なら法律上問題がないのです。
「では、この商品Rはカゼ予防に効能があるのに、法律上の壁で表示ができないということ?法律の方がおかしいのでは?」と思った方、成田さんの(3)を読み返して下さい。そうなんですよ。実は、当該実験のうち風邪予防効果を実証したとされる実験では、プラシーボのヨーグルト(効果を見たいヨーグルトと外見上区別が付かないヨーグルト。)が用意されておらず、被験者を「牛乳を飲むグループ」と「ヨーグルトを食べるグループ」に分けての試験だったのです。
人間は結構気の持ちようで病気が良くなったりすることもあるもので、ただの小麦粉を薬だと聞かされて飲んでも病気が軽快することがあります。古い日本のことわざでも「鰯の頭も信心」ともいいますね。これをプラシーボ効果またはプラセボ効果というのですが、これと同じことで、二グループに分けられたとき、「新商品のヨーグルトを食べさせてもらえる」と聞かされたグループはそれだけで気持ちがワクワクして元気がでちゃった可能性があるのです。だから、厳密な実験のためには、もう一つのグループにも、外見のそっくりなヨーグルトを渡して「これは新商品のヨーグルトです」と同じ説明を聞かされる必要があったのです。
もちろん、後日同じ乳酸菌Xについて行った、「インフルエンザに効果があるかどうか」の実験ではちゃんとプラシーボのヨーグルトを準備していました(さすが!)。ただ、残念ながらこの実験の結果は「インフルエンザワクチンの効果を高める可能性があるということを明らかにした」と、ホームページに誠実に記載されています。つまり、ワクチンの効果を高める「可能性」はあるが、インフルエンザ予防に実際に効くかどうかまでは不明だったということをこの論文は述べて居るのです。この誠実ぶりもさすがは大手メーカーだと思います。
さて、以上より、商品Rについては、風邪に有効かどうか、まだ判定が難しいということがおわかりいただけたかと思います。とはいえ、インフルエンザワクチンの効果を高める可能性があることは分かったので、今後この研究が発展すれば、将来的には商品Rにカゼやインフルエンザの予防効果があることがはっきり証明されるかもしれません。
しかし、現時点ではまだ証明されてないものを、あたかも証明済みかのように言うのはよくないことです。ですから商品Rはカゼ予防効果があるとは一切謳っていませんし、一般論としても現在のところ、ヨーグルトにカゼ予防効果があることを広告・パッケージ表示などに記すことは禁止されているのです。
これで、成田さんのコラムが、知識不足や誤解に基づく記述ではないことがご理解いただけたかと思います。これからも成田さんのコラムを楽しみにしたいですね。