タミアのおもしろ日記

食文化・食育のお役立ちの話題、トンデモ食育、都市伝説、フードファディズムなどを分析して解説します!(^.^)

中華料理は日本食だ!?

2016年09月11日 | Weblog
日経新聞8月30日の「日本食レストラン バンコク飽和状態」の記事は、実に重要な事実を指摘していました。
近年「ニッポンすごい!」的お話がテレビや雑誌で大受けなのですがですよね。そうした中では「世界で日本食レストランが増殖している」という説もミミタコ状態です。その根拠の一つとして用いられている特定非営利活動法人「日本食レストラン海外普及推進機構(JRO)」等の調査データでは、実は、中華料理レストランも日本食レストランに計上されていたのです。

記事曰く。JROと日本貿易振興機構(ジェトロ)が15年7月から16年6月までに共同で実施した調査によると、バンコク首都圏の日本食レストランは飽和状態にあり、2015年と2016年で比較すると増加率は1%どまりだった。特に「ラーメン・中華が8%減」であった。

日本式ラーメン(味噌や醤油などをベースにしたラーメンのこと。)を出す店と、中華ラーメン店(「湯(タン)」をベースにしたラーメンです。)を見分けるのは、店の外観からして違うので比較的簡単です。
一方中華料理となると、日本式中華と本格中華の店は、外観もメニューもかなり似ているので、見分けるのは非常に困難ですよね。資本や創業者の国籍で分類するのでしょうか。
「日本人が考案した「焼き餃子」を提供する店は日本食店で、中国古来からの水餃子を出していたら本格中華料理店。」と区別するのでしょうか。でも、焼き餃子と水餃子の両方を出している中華料理店が日本国内に結構あるのです。そういう店が海外進出した場合は日本食店?いや、海外の人の多くは中国料理の店と信じて食べていることでしょう。

気になったので、ジェトロのHPを検索しましたら、バンコクにおけるJROとの共同調査は過去にも実施されており、そこでは中華の項目はない代わりに、「洋食喫茶」が日本食として計上していたのでした。おそらくですが、トンカツやナポリタンやオムライス等を提供する店ならば日本食レストランなのでしょう。前にこのブログで書いた通り、和食研究の大家熊倉先生が、「トンカツは和食だ」とお墨付きをだしていますから・・・。

今回の話は、JROやジェトロに問題があるという訳ではありません。こういう統計だとしてきちんと発表しているので、むしろ、統計を読む私達のリテラシーの問題だと思います。とはいえ、多くの日本人は、「海外で和食や日本食のレストランがブームだ」との報道を聞いた時、まさかそこに中華料理や洋食がカウントされているとは気づきません。したがって、もっとマスコミの方々に積極的に報道して欲しいと思いますし、今回のこの日経の記事が嚆矢となれば嬉しいです。がんばれ日経!

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