タミアのおもしろ日記

食文化・食育のお役立ちの話題、トンデモ食育、都市伝説、フードファディズムなどを分析して解説します!(^.^)

井上円了先生の言葉に納得!

2016年12月11日 | Weblog
東洋大学を創立した井上円了先生は、明治時代の哲学者であると同時に、妖怪についてまじめに研究した「妖怪学者」でもあります。
こっくりさんなどを科学的見地から否定したことから「妖怪バスター」として紹介したテレビ番組もありましたし、いや、正反対に、妖怪の存在を肯定した学者として認識している方も居ます。・・・で。結局どっちなんだろうと思っていたら、先日、遅まきながら雑誌「トランヴェール」9月号の井上円了特集を読む機会があって、納得。その内容は、非常に深いもので、食育に関わる方にも御参考になる話と思いますので、ここにご紹介します。

井上先生は、世の中の不思議な現象や怪奇現象に魅入られて、それらを分析し、結果、そのほとんどは科学や心理学、医学などで合理的に説明出来ることを知りました。そして、生涯を通じて多くの方々に、「妖怪とか怪奇現象とか言われるものは科学等で説明出来るのだから、おろおろしたり怖がったりしなくていいんだよ。」と説いたのです。トランヴェールにも、円了先生の講義を聴いて気持ちが明るくなった人の体験代が紹介されています。
しかし、先生は、いくら考えても説明がつかない真の不思議現象があると考え、それを「真怪」と読んでいました。つまり、先生の考えのどちらの面にスポットライトを当てるかによって評価はがらりと変わるのですが、これこそが、まさに「科学」の考え方の基本なのです。

ずいぶん昔ですが、科学者にお話を伺った際、つい不勉強から「科学者の先生なら何でも合理的に説明できるんですよね。」というようなことを申しあげて、こう、たしなめられたのです。
「それは一般の人によくある勘違いですよ。この世の中には不思議で分からないことも沢山あるのです。分からないからこそ、私達は研究しているのです。」と。そして、茶目っ気たっぷりにこう付け加えてくれました。「何でも分かる時代になってしまったら、私達科学者はおまんまの食い上げですよ。次に研究するネタがないじゃないですか。」って。

そして、科学者として、もしも分からないことに出会った時は「分からない」と答えることこそが科学者としての良心です、と教えていただきました。大自然の前では人間はあまりに小さく、まだまだ知らないことが沢山ある。それなのに、あたかも、すべての真理が明らかになったように振る舞うことはおかしい。謙虚たれ、という話でした。深く感動しました。

食品業界に居ると、「これこれは身体に良い」「正しい食はこれだ」 というような話が飛び交っています。そういう話の中には、実は、「その話、まだ未解明の部分があるんですが。」という情報も非常に多いのです。でも、世の中、断定的にしゃべる人の方が人気を得やすいので、「実は未解明部分もある。」という話はなかなか伝わりにくいものです。

食の説にも、妖怪=合理的に嘘と見分けられる作り話や疑似科学、もあれば、真怪=まだ研究途上なので明言できない説、もあるのです。妖怪と新怪を見分けるのは非常に難しい。私もこのブログを書きながら考えこむこともありますが、円了先生を見習ってじっくり考えたいと思っています。

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