最近ひんぱんに「植物性乳酸菌は生きて腸に届くので、動物性乳酸菌で作られるヨーグルトよりも、植物性乳酸菌で作られる漬け物や味噌などを食べた方がいい。」という噂を聞きます。雑誌等で、そのようなことを示唆する文章もよく見かけられます。ですが、これらは誤解です。
まず、味噌は普通加熱調理して食べますから、その時点で死んでますよね。
それに、乳酸菌を植物性と動物性に分けるアイデアは、東京農大の岡田早苗先生が提唱したものですが、先生の論文「植物性乳酸菌世界とその秘める可能性」(2002、p31)において、乳酸菌を植物性と動物性に分類学的に線引きすることはできないと思う、と指摘しているのです(注:論文発表当時は先生は動物性乳酸菌という名称ではなく「発酵乳乳酸菌」と呼んでいました。)。
つまり、植物性と動物性を明確に分けるラインはないということ。とはいえ、漬け物だけから分離できる種の乳酸菌は確かにいます。では、それらは皆、ヨーグルトなどの乳酸菌よりも「生きて腸に届く」のか?そんなことは有りません。これも岡田先生がネットで公開している「植物性乳酸菌研究から広がる応用」というPDF資料によると、人工腸液で10時間処理後の乳酸菌の生残率(%)を見ると、植物性乳酸菌でも発酵乳乳酸菌(動物性乳酸菌)でも、生残しやすいのもあれば全く生き残れないのも居る、という結果です。
要は、植物性乳酸菌の中には例外的に生残率の非常に高い種も居る一方で、コロッと逝ってしまうのも居るし、逆に動物性で生存しやすいのも居る、というデータなのです。
ではなぜ、これが「植物性乳酸菌は動物性乳酸菌よりも生きて腸に届く。だから漬け物などが良い。」という奇妙な話にすり替わってしまったのでしょうか。それは謎なのですが、可能性として考えられるのは、10年以上前にある食品メーカーが「生きて腸に届く植物性乳酸菌」(を当社では使用しています。)と大々的コマーシャルを打って以降、植物性乳酸菌という概念が一般の人に知られるようになったこと、が関係しているのではないか、と考えられます。
このキャッチフレーズは日本語の文法的には「赤い野菜」というのと同じ構造ですよね。野菜が全て赤い訳ではないが、赤い野菜もある、そういうこと。「生きて帳に届く植物性乳酸菌」という言い回しもこれと同じです。
このコマーシャルに関して、植物性乳酸菌には生きて腸に届くのもあるし、そうでないのもあるが、当社では生きて届く特別な菌を使用しています、という趣旨だと解説する広告記事が、当時ある雑誌に載っていたように記憶しています。
それがどこかで誰かが、このキャッチフレーズを「植物性ならみんな腸に届く」という意味に勘違いして、話がふくれていったのではないかと推測します。
より正確な知識が広まることを願っています。
まず、味噌は普通加熱調理して食べますから、その時点で死んでますよね。
それに、乳酸菌を植物性と動物性に分けるアイデアは、東京農大の岡田早苗先生が提唱したものですが、先生の論文「植物性乳酸菌世界とその秘める可能性」(2002、p31)において、乳酸菌を植物性と動物性に分類学的に線引きすることはできないと思う、と指摘しているのです(注:論文発表当時は先生は動物性乳酸菌という名称ではなく「発酵乳乳酸菌」と呼んでいました。)。
つまり、植物性と動物性を明確に分けるラインはないということ。とはいえ、漬け物だけから分離できる種の乳酸菌は確かにいます。では、それらは皆、ヨーグルトなどの乳酸菌よりも「生きて腸に届く」のか?そんなことは有りません。これも岡田先生がネットで公開している「植物性乳酸菌研究から広がる応用」というPDF資料によると、人工腸液で10時間処理後の乳酸菌の生残率(%)を見ると、植物性乳酸菌でも発酵乳乳酸菌(動物性乳酸菌)でも、生残しやすいのもあれば全く生き残れないのも居る、という結果です。
要は、植物性乳酸菌の中には例外的に生残率の非常に高い種も居る一方で、コロッと逝ってしまうのも居るし、逆に動物性で生存しやすいのも居る、というデータなのです。
ではなぜ、これが「植物性乳酸菌は動物性乳酸菌よりも生きて腸に届く。だから漬け物などが良い。」という奇妙な話にすり替わってしまったのでしょうか。それは謎なのですが、可能性として考えられるのは、10年以上前にある食品メーカーが「生きて腸に届く植物性乳酸菌」(を当社では使用しています。)と大々的コマーシャルを打って以降、植物性乳酸菌という概念が一般の人に知られるようになったこと、が関係しているのではないか、と考えられます。
このキャッチフレーズは日本語の文法的には「赤い野菜」というのと同じ構造ですよね。野菜が全て赤い訳ではないが、赤い野菜もある、そういうこと。「生きて帳に届く植物性乳酸菌」という言い回しもこれと同じです。
このコマーシャルに関して、植物性乳酸菌には生きて腸に届くのもあるし、そうでないのもあるが、当社では生きて届く特別な菌を使用しています、という趣旨だと解説する広告記事が、当時ある雑誌に載っていたように記憶しています。
それがどこかで誰かが、このキャッチフレーズを「植物性ならみんな腸に届く」という意味に勘違いして、話がふくれていったのではないかと推測します。
より正確な知識が広まることを願っています。