60数年前の我儘-----会社員になっての職種変更
大手電器メ-カ-に入社して、3か月の実習後、新設工場の品質管理課に配属され
その工場では、厨房器類を製造する工場で私の流し台を作る部門の品質管理の業務を担当
することになった。流し台という製品は、木の箱にステンレスのシンク(水を流すところ)
を乗せるという比較的、簡単なつくりである。その木の箱の部分を協力会社から納入され
ものを正規の状態であるかを検査する仕事でありました。
何せ新設の工場でありますから、社員も責任者も手探りの状態であったと思う。だか
ら検査器具もなければ、その基準も明確でなく、視覚にて判断する検査の比重が高かった。
その品質管理業務をしつつも2年も経つ頃には、何か物足りなさを感じてくる。それ
は、上司や先輩(といっても経験が少ない人たち)から厳しく教えられるとか、叱られるとか
ということが一度もなかったのです。これは、私の仕事遂行が適切であったからではなく、
誰も経験が少なかったからだ。
工場には、職種として、品質管理、設計、資材(部品を仕入れる)、シンクのプレス等が
あった。有る時ふと思いついて、職種を変えてほしい思いが強くなって、人事課の課長に
直接、職種替えの御願いに行った。
「課長、今日は御願いがありお時間を頂きました」
「なにかね?」
「はい、私は、今品質管理の業務を担当しておりますが、資材の調達部門の仕事をした
いと強く思っています。是非、私をそり部門に変えて頂きたいのです。
「変えてほしいと言われてもすぐにはできない」
「おっしゃる通りです。そこで、この工場は年々発展し社員も増えてくるでしよう。そ
の時資材業務にも人でを増やす必要があると思いますので、その時に私を指名して頂きた
いのです」
「解ったそのような状況になれば、考えてみよう。ただし、君が今の業務において、手
を抜いたり、いやいやしたりする、態度をみせたり、他からのそのような噂であっても、
そのようなことであったなら、一切君の希望を叶えることはしない」
「ありがとうございます。決してそのような怠惰が微塵もなきよう今の業務に励みます」
そして丁度一年後に、人事課長から呼び出しがあった。
「君が一年前に、資材部門に尽きたいと言って来たが、その時と現在の気持ちに変わり
はないか」
「全く、一年前と同じ思いです。今の仕事も私なりに一所懸命努めているつもりです」
「解った、それなら来週から君を資材部に配属替えをするよう手配しよう」
「誠に勝手な御願いをお聞きいただき誠にありがとうございます。これからも新しい
業務を懸命に努める覚悟です」
こんな経緯で、入社3年目で職種替えをさせていただいた。よく所属の責任者にも誰
一人このことわ相談もしていなかったので、2年間勤めていた品質管理の皆さん、特に責
任者の方に悪いことをしたことを内心では詫びていた。このような60数年経った現在に
思うことはね組織に居ながら、自分勝手な我儘を通してきたことをつくづく反省も込めて
おもっています。しかも、こうして職種替えをしてもらったにも関わらず、その2年後に
また、私の我儘で進路が大きく変わっていくのである。それは、またの機会にすることと
します。 0