よき運を招くには。・・・時には勇気と決断
よき運、よき出逢いというものは、早々訪れるものではなかろう。次に述べることも、
自分の体験から身に着けたもので、決して自慢話としてお読み頂きたくないのです。
私が高校を卒業して関西の電器関係の大企業に入社して2年経過したときのことです。
学校が機械系でありましたので、最初の配属先は新設された工場の品質管理課でした。高校
の知識しか持ち合わせていないため、将来への多少不安がありました。それに仕事をしてい
て技術系よりも文化系の業務が向いているように少しづつ感じ初めていました。新設の工場
のため、規模もまだ小さく工場の制度も固まっていたわけではないように見えたのです。
そういう思いがあって、私は思い切った行動に出ました。工場には、協力会社から各種の
部品、半製品を仕入れる購買部という係がありました。ある日仕事終了後に直接人事課長に
面談を求めて、私を購買部に配置換えをして頂きたいと直訴したのです。直訴ですから、今
いる係の上司にも誰にもそのことを告げておりません。
人事課長は、一瞬何を我儘なことを言うのかという顔付でしたが。その返答は次の様でした。
「急に配置転換と言われても、直ちにはできない」と課長は当然に予想された返事でした。
そこで、私は「この工場は出来てまだ数年しかたっておらず、これから大きくなるにつれ、
人材も必要になってくると思います。その時に私を購買部に配置換えをお願いしたい」と。
そうすると、人事課長は、「解った何時に成るかは約束できないが、そのような時期が来た
なら考えよう」そして、「ただし、君が現在の仕事をいやいややったり、怠けたりしている
という社内からのたとえ噂であっても、そういう雰囲気になっていたなら、君を絶対に希望
の職場には推薦をしない」という条件を言われました。
私は、勿論です、今までよりも張り切って業務を致しますのでどうぞよろしくお願いいた
します。ほんの5分程度の時間で直訴は終りました。
時が丁度あれから一年が経過した時に、今度は人事課長から直接話があるから来るように
ということで、課長の元に行くと、即座に尋ねられました。
「君は一年前に購買部にいきたいと言っていたが、その想いは変わりは無いか」と、私は
勿論全く変わりなく購買部で仕事をやりたいと思っています。と答えると、10日後からそ
ちらに配置転換さすから、頑張って下さいと告げられました。
現在の品質管理の上司や先輩には何の相談もなく直訴して決まってしまったことには、失
礼なことであったと思いながらも、何だかあっさり希望がかなえられたことに、我ながら驚
ました。
このことから、よき出逢いやよき運と巡り逢うためには、一つには、勇気と決断をもって
行動することが欠かせない要素だと感じた次第です。あまり周りに配慮し過ぎて遠慮ばかり
していたのでは、よき運もよき出逢いもめぐって来ないとうこを感じたことでした。
この話は、私が21歳のときですから現在の会社の有り様とは違っているとは思いますが、
何れにして、何か勇気を出して決断し行動に移していくことが、自らの希望が一つ一つ実現
して行くものだと思っています。