ままちゃんのアメリカ

結婚42年目のAZ生まれと東京生まれの空の巣夫婦の思い出/アメリカ事情と家族や社会について。

クリスマスは

2018-12-14 | アメリカ事情

newlovewallpapers



クリスマスは愛することである。喜び、分かち合い、共有すること、笑い、家族や友人との再会、華やかで輝かんばかりに装飾されたパッケージでもあるかもしれない。それでも、主にクリスマスは愛することである。私は、大きな瞳と柔らかいバラ色の頬を持つ小柄な生徒が、私にクリスマスに驚くべき贈り物をくれるまでは、それを信じていなかった。


マークは11歳の孤児で、姉の遺児を世話しなければならないことを非常に重荷と感じる、冷酷な中年の叔母と暮らしていた。彼女は自分の寛大さがなければ、露頭に迷うホームレスの浮浪児になっていたことだろう、と幼いマークに思い起こさせないことはなかった。それでも、マークは家での叱責や、冷たい扱いがあったにも関わらず、優しく親切な子供だった。


マークは、毎日授業の後に、教室を片付ける私を手伝うために、居残りするようになるまで(後に気づいたことだが、叔母の怒りを募らせるというような危険を犯してまで)特にマークに気が付いてはいなかった。私たちは、静かに整理整頓をし、あまりしゃべらず、放課後の静けさを楽しんでいた。マークが話すのは、彼の母親のことだった。マークは母親が亡くなった時、かなり小さかったが、親切で穏やかで愛情のある母親だったのを覚えていて、彼女はいつもマークと多くの時間を一緒に過ごしてくれたのだった。


クリスマスが近づくにつれて、マークは毎日放課後に残ることがなくなった。私はマークが来ることを楽しみにして、そして数日が過ぎ、ある午後、授業の後に教室から急いで去ろうとしている彼を止め、なぜ彼が放課後教室の整理整頓を手伝わなくなったのか尋ねた。私はどれだけ彼を待っていたことかと、彼に言った。彼の大きな灰色の目は明るく輝いて、「本当に僕を待っていたのですか?」と言った。


私は彼がどれだけ最高のヘルパーあったか説明した。 「僕は先生を驚かせようとしていたのです、」と彼は自信気に囁いた。 「クリスマスのため」。そして彼は照れて、教室から飛び出した。彼はそれ以後、放課後にはもう滞在しなかった。


ついにクリスマス前の学期終業日になった。その午後遅く、後ろ手に何かを隠して、マークはゆっくりと教室に入り込んだ。 「僕、先生へのプレゼントを持っているんです」と彼は照れながら、私が見上げた時に言った。 「気に入ってくれるといいんだけど。」彼は手を差し伸べ、その小さな手のひらには、小さな木の箱があった。


「なんてきれいなんでしょう、マーク、中に何かあるの?」私は箱を開けて、内部を見せて、と頼んだ。


「あ、中に何が入っているのか見えないんです。」と彼は答えた。「それに触れることができないし、味見もできないし、感触があるのではないんです。でも、おかあさんは、しょっちゅう、言っていました、それは気分をよくし、寒い夜には、温めてくれ、独りぼっちでも怖くないんです。」


私は空の箱に見つめた。 「それは何でしょう?」と穏やかに私は尋ねた。「それで私はとても気分が良くなるんですって?」 「それは愛です。」彼は柔らかく囁いた。「おかあさんは、いつも、それをどなたかに差し上げるのが一番だと言っていました。」
そして、彼は踵を返して、静かに教室を出て行った。


だから、私は居間のピアノの上に木の小片で作られた小さな箱を置き続けている。その中には愛が入っているのだ、と説明する私に友人たちが、いぶかし気に眉をあげる時、私は微笑むのである。


クリスマスは、歓喜にあふれ、素晴らしく陽気な歌、喜ばしい贈り物かもしれないが、主にクリスマスは愛のためなのである。


ー作者不詳


pixabay.com

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする