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こ・わ・い・!
【注記】この記事は推敲なしに自動予約投稿され、一旦引き上げてから再投稿したものです。
気温が高い、湿度が高すぎる、熱がある、体のどこかが痛む、心配ごとがある、あるいは明日の楽しいことを考え過ぎて、など寝つきの悪い時は、誰にでもある。同僚の一人や姉の一人は、枕に頭が付くや否や即時に寝つくことができる。本当に羨ましい。寝つきの悪さに加えて、もっと嫌なのは、夜中にふと目が覚めて、目が冴え過ぎてしまい、眠りに戻ろうとしてもできない時。そんな時考えるのは、大抵ネガティブで、悲観的で、不安ばかりに頭が満ちてしまい、さぞかし楳図某の描く怖ろしく血走った目になっていることだろう。それでも朝起きれば、ほとんどそんな不安や否定的な考え方は朝日の中で消えていくのだが。不眠症や寝つきの悪さは、きちんと対処しないと、心身に影響を及ぼすし、他人をも事故に巻き込んでしまう危険性があるから、余計に、どうにかしなければならない。
メラト二ンは、松果体と呼ばれる人体内で分泌されるホルモンで、明るい昼間はその分泌が減り、暗い夜には増えて催眠効果をもたらす。年と共にその分泌量は減り、だから小児に比べて大人は寝つきが悪くなったりするわけで、その分泌は適量のメラトニン薬剤で促され、催眠効果を高める。睡眠剤は規制薬物や向精神薬としての悪利用もあって、医師が処方しても、特に日本の方々は依存性や中毒性を恐れて、まだ「自然的」に催眠に働きかけるメラトニンを選ぶことは多い。
私の場合、メラトニンに対するアレルギーがあるので、使用できないし、普通の処方箋睡眠薬も使用を避けている。そこで必要な時に利用するのは、市販のBenadrylベナドリルという抗ヒスタミンのアレルギー剤である。これは服用してからの運転はできないが、催眠効果は高い。主効能は虫刺されや蕁麻疹のかゆみ止めであるが、普通の睡眠薬やメラトニンが取れない、あるいは取りたくない場合、使用する。余談だが、乗り物酔いのドラマミン(市販で二種あり、一つは眠たくならない、もう一つは催眠効果がある)は、軽い眩暈に対して効き目があり、鎮吐作用もある。
薬物のお世話にはなりたくない場合は、私には二つの方法がある。
一つはコンピューター関係のマニュアルを読むこと。3ページまで進んでも、目が爛々としていたら、たいした不眠症である。医師に相談をおすすめ。
二つ目は、List of Phobias(恐怖症一覧)を見ることである。あるいは学問の種類(つまり接尾辞に~ologyが付く学問や論など)のリストを見る。実際、恐怖症と名の付く症状は、100以上ある。一見してこれはなんだろうか、と頭をかしげても想像のつかない言葉がたくさんある。
例えば、Hippopotomonstrosesquipedaliophobia。どうやって発音しようかと考えているだけで催眠効果ありそう。意味は長い単語に恐怖を覚える恐怖症である。私には、その恐怖症はないが、その代わり、かなりGephyrophobiaがある。
橋を渡る恐怖症。私にとって鎌倉八幡宮にある太鼓橋や、小さな橋が対象ではなく、カリフォルニア州Big Surビッグサ―にあるビクスビークリークによって浸食された谷間79メートルの高さに架かったビクスビークリーク橋や、サンディエゴとコロナド島の間の長さ3400m(3.4㎞)のコロナド島橋である。最大の高さは61mで、合衆国海軍第七艦隊の空母や大きな艦船が容易に橋脚の間を抜ける大きさである。あるいはワシントン州に架かるデセプションパスの橋。渦巻く海面からの高さ約54m、長さは453mだ。この三橋は本当に私にとっては目を開けていられない。
普通橋を渡る恐怖症は、落ちる!という恐怖心だが、Acrophobia高所恐怖症もあることだろう。車で渡るにしても目をつぶらないと怖い。そういえば、あのNHK「にっぽん縦断こころ旅」でぜいぜいと自転車をこぐ火野正平氏も、お見掛けするところ、橋恐怖症のようであるし、また高所恐怖症でもあるのかもしれない。
高所恐怖症ともつながる橋恐怖症は意外に多くの人々にある。そして橋を恐怖のあまり普通に歩けなかったり、這って渡るしかないこともあろう。そうした恐怖症を持たず、または理解しない目には滑稽に見えるかもしれない。本人にしてみれば、冗談じゃない怖さである。こうした恐怖症は心理分析医などによって徐々に取り除かれたり、薄らいだりするが、それまでの当人の葛藤は決して笑えはしない。世の中には実に数多の恐怖症があり、その大部分は心理学や心理分析の世界では真剣に研究され、治療法が考えられている。Ailurophobiaの人が猫に触られただけで飛び上がったり、悲鳴を上げても、その人は猫恐怖症であるから、「まあ、こころない」とか「冷たい、あんなにかわいい猫なのに」などと早とちりしては、お気の毒である。
よく子供のクラスメイトなどが家に寄り、夕食を共にし、暗闇増す頃やっとお帰りになる、と言う時は、もしかしたら、その子供には、Ecophobia(自宅の)家への恐怖があるのかもしれない。その恐怖は、その子供の家に憑いた霊のせいかもしれないし、複雑な家族関係かもしれないし、あるいは家庭内暴力をする親があるのかもしれない。そうしたことがよもやあるかもしれないと鑑みて、無碍に追い出す前に話を聞いたりすることである。手に負えそうにないことが判明したら、然るべき所に相談することが大切だろう。
子供達が高校を卒業するまで、我が家からなかなか帰宅せず、夕食どころか朝食も共にしていた子供達がいた。5人の我が子がいると、ひとり、ふたり子供が増えても食事は難なく提供できたし、その子供達は礼儀正しく、問題児でも問題家庭からでもなかった。現に、その一人は、歯科矯正医、もう一人はコーネル大学法学部を出た人権弁護士となった。一人は結婚式の時、「僕の青春時代はXXX家(うち)なしにはありませんでした。本当に感謝しています」と涙ながらに礼を言った。我が家の子供達と彼らの友情は今でも続いている。三人の息子が、二人の娘と共に、毎日面白おかしく我が家では暮らしている、と見えたそうである。
とにかく星の数とまで、とはいかずとも、恐怖症はベスト100などというリストが作られるほど多い。だから寝付けない夜は、このリストを読むに限る。AのAchluphobia(暗闇恐怖症)から初めてAphenphosomphobia(接触恐怖症)まで進めたら、多くは寝てしまうことだろう。Nectiphobia(夜恐怖症)あたりにまで読み進んでも尚眠たくならなければ、いよいよべネドリルやメラトニンの出番であろう。
私はおおむねAstraphobia (雷鳴恐怖症)に行きつくかどうかの所でアウトである。これはA欄だけでも17あり、X欄までは果てしなく遠いからだ。そしてその他にも各動物による恐怖症欄がある。それでもまだ眠気がこなければ、そしてあくまでも薬物を避けたければ、次は学問の種類(つまり接尾辞に~ologyが付く学問やなんとか論など)のリストを読むことである。
それではここらへんで、おやすみなさい。あなたもよい夢をご覧になられますように。
眠くないどころか、育つのに忙しくて起きてはいられない人。