読売新聞オンラインを読んでいて、いままで気がつかなかったコラムに目が行った。パク・スックチャというコラムニストの記事。タイトルは「外国人男性にモテる日本人女性の『残念なこと』」。ふ~ん、一体なんでしょうか?
彼女は、東京で、白人と日本人のカップルをよく見かけ、ほとんどが、白人男性と日本女性だと言う。彼女のまわりにも、三組ほどの欧米白人男性と日本人女性のカップルがいて、“日本人女性が白人男性にモテることを実感”しているそうだ。
彼女がアメリカに住んでいた頃も、ジョークにせよ、日本人女性は高い評価を受けていた、と言う。彼女によれば、成功している実業家は、アメリカの収入を得て、中国人のクックを持ち、イギリス人の家に住み、日本人の妻を持つ。成功していない実業家は、中国人の収入を得て、日本人の家に住み、アメリカ人の妻を持つ、だそうである。
これは、いわれのない(くだらない)迷信(=Old Wives’ Tales)の一つに過ぎない。それにずいぶん昔に、私が聞いたのは、アメリカの男性は日本人妻とアメリカの家に住み、中国料理を食べる、だったように記憶する。どちらにしても、日本人妻というのが、しとやか、特に夫には常に気を使い、尽くす、と言うイメージがあるから、とコラムニストは言う。まして、日本人妻は、夫の欧米白人男性の成功まで表す、と言うコラムニストのまことしやかな考え方には違和感を覚える。彼女自身がそうしたステレオタイプを信じている。
パクさんによれば、これは、欧米人に限らず、インドネシア、香港などアジア人男性も、日本人女性の妻をもらうことに憧れるらしい。彼女によれば、男性が国籍と関係なく、静かで、しとやかで、自分に尽くしてくれる女性を求めている、と言うことらしい。そして同時に、それが、日本女性の”残念”であることらしい。
自己主張のなさ、あるいは少なさから、日本女性の社会での活躍は、世界経済フォーラム(WEF)の調査によると、142カ国中104位と先進国なのに、極端に低い。さらに、日本女性は高い教育を受けている人が多い、と言うのに、である。国際経営開発研究所(IMD)の調査では、2014年度の国際競争力ランキングでは、47か国中21位だそうだ。
日本女性とて立派な宇宙飛行士を輩出したし、他のあらゆる分野でも世界で活躍する方はいくらでもいらっしゃるではないか。派手に知られていないだけ、なのではないだろうか。そして先述の調査がどのような方法で統計されたのか、疑問もある。どんな手段をとってもお金を儲ければ、それで社会的地位が築かれ、尊敬に値する、というのは、否定する人が多いのに。
アメリカに住んでから久しいが、いろいろな日本人女性を目の当たりにしてきて、2017年の現在でも、上記のような幻想を抱く男性がいるのかと少々信じがたくも思う。私自身けたたましく自己や権利を主張することは趣味にあわないので、遠慮するが、これでも自分の意見は持ち、必要があれば述べる。そんな日本女性は多いのではないだろうか。そしてそれが日本女性の”弱さ”’欠点”とは、到底思えない。ひどいステレオタイプである。
夕食を準備していた夫にこのコラムについて話したあとで、そんな幻想があったのか尋ねると、ひとしきり笑い、サラダを作りながら、夫は言った。「君は、だいたい生まれる時に、バス停を間違えて降りてきただけだよ、大きな水たまり(太平洋)をひとつ越してくるのを忘れていたし。君らしいと言えば君らしいけどね。」 幻想がなければ、失望もないということか。夫と私は手をつないで同じ方向へ歩いてきたと思う。Side By Side。明日の夕食は私が作ろう。