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Diversityという英語がある。昨今の職場では、人種、性別、年齢、信仰などに拘らず、多様な人材の多様なバックグラウンドを生かし、最大限の能力発揮を促すという考え方Diversityが一般的になってきている。 私のオフィスは、白人、ヒスパニック系、ペルー出身のペルー人と日系人の両親を持つ人、アルメニア系アメリカ人、ロシア系アルメニア・アメリカ人、日系人、日本人(私)と様々な人種が働いていて、そのバックグラウンドも異なり、アルメニア教会、カソリック教会、プロテスタント、仏教、と様々である。
こうした職場が、ポットラック(持ち寄り食事会)を行うと、実に楽しい。日本食、メキシカン、ロシア的アルメニア料理、地中海食、典型的なアメリカ家庭料理が集まる。パイからケーキからBaklava(バクラヴァ)まで、デザートが集まる。食事だけではなく、スタッフミーティングでも、余談になれば、和気藹々とそれぞれの文化の小出しで盛り上がる。そうなると職務も、楽しい。まさに金子みすゞの、「みんなちがって、みんないい」の世界である。誰も、「あれだから、xxx人は、。。。」などと批判しない。誰かが助けを必要とすれば、誰でもその人を助ける、そんな恵まれた職場に私はいる。ありがたいことである。
私が楽しいと思うのは、四人カソリック教徒が同僚であること。私自身はカソリック教徒ではないが、ほとんど毎日が「特別な日」のカソリック行事について習うのは、大好きである。例えば、クリスマス前のセイント・ニコラス・ディ。そして今日1月6日のEpiphany(スペイン語でEpifanía)、公現祭(こうげんさい)と呼ばれる行事。西方教会と東方教会(とはギリシャ正教会あるいはオーソドックス)では意味が少し違うが、西方教会(カソリック教会、聖公会、プロテスタント教会)は、公現祭を、三賢者が(とうとう)降誕したキリストにまみえ、ギフトをわたし、崇拝した日であることを祝う。
その時(つまり今日)食べるのが、キング・ケーキである。そのキング・ケーキの中に豆や陶器の“favophilie” (仏語でラッキーチャーム、スペイン語ではオリジナルがfava beansだったので、fava)と呼ばれる小さなベイビー(つまりキリスト)や、人形、動物、などをいれて焼く。切り分けられたケーキにそうしたラッキーチャームが入っていたら、ラッキーとなる。キング・ケーキは、フランスでは、La Galette des Roisと呼ばれ、メキシコでは、Roscón de reyes or rosca de reyes (kings' ring=王様の指輪)と呼ばれ、やはりラッキー・ビーン(豆)が入っている。もっとも今はビーンではなく、陶器の人形や動物である。焼いた後で入れるプラスティックのラッキーチャームもある。
フランス語圏のLa Galette des Rois - French Food in the USより
“favophilie” = ラッキーチャーム - French Food in the USより
長女は初子が生まれるまで、同じキャンパスの異なる部署にいて、彼女の同僚はフランスからの女性であったので、この日La Galette des Roisをオフィスに持ってきて、娘はいつもラッキーチャームを当てた。それはちいさなちいさなお皿で、それを私は貰った。そう、このラッキーチャームを集める人もいるのだ。Etsyなどへ行って、Cake charms, favophilieなどで検索すると、売られているのがわかる。
一方私のオフィスでは、祝った(というより皆でお祝いを分け合った)時、同僚の一人が下のケーキ(というよりペイストリー)を持ってきた。私の分けられたものには、三つのちいさなキリストが、入っていた。当たった人はラッキーであると同時にひと月後に食事を持つ習慣もあり、私は、朝食用のブリトーを、ある人はオレンジジュースを、そして他の人はフルーツを持ってきて、大いに朝から盛り上がった。
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Rosca de Reyesで、当てたラッキーチャーム三つのBaby Jesus
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一月後のブリトー朝食会も楽しかった。
今年のRosca de Reyes、残念なことにラッキーチャームは私のピースにはなかった。Alas!
こうして、クリスマスから12日目の十二夜が過ぎ、クリスマスの飾りつけは、片付けられる。シェイクスピア作品に十二夜という戯曲があるが、内容は公現や公現祭とは全く関係がなく、初演が公現祭の1月6日だったとされている。ギリシャ正教会(東方教会)は、ヨルダン川でのキリストの洗礼を記念する神現祭(しんげんさい)として、あるいは主の洗礼祭と呼び、三賢者の訪問は、クリスマスに祭られている。今年も公現祭はやってきて去っていく。次はイースター、復活祭。その前にもカソリック教会の行事はまだまだある。忙しいことである。