ままちゃんのアメリカ

結婚42年目のAZ生まれと東京生まれの空の巣夫婦の思い出/アメリカ事情と家族や社会について。

クリスマスにローズマリー

2019-11-06 | 私の好きなこと

sweetcarolinablues.tumblr.com

 

 

 

 

先月のある土曜日の夕刻からディーン(学部長)宅で、彼の婚約を祝うささやかなパーティがあった。ディーンはスコットランド出身の女性との婚約に伴って住まいを移したのだが、その平屋の新居は居心地よく整えられ、美しく造園されている庭で、食事が供された。夕刻のそよ風がウィンドチャイムをかすかに鳴らし、夕日を帯びたピンクの雲がたなびく心地よい宵に、どこからか清潔な香りが漂っていた。ふと後ろを振り返ると、こんもりとローズマリーのブッシュが二か所に植えられている。ちょうど寝室の窓の下に一つ植えられていて、夜は特に窓を開けると、その芳香が眠りを助けてくれる、とディ―ンが言う。さもありなん。ローズマリーだもの。

 


 

ラテン語名Rosmarinus officinalisは、おそらくローズマリーが一般的に海岸地方でよく育つ(水はけのよい砂の多い土壌を好む)ので、「海の露」とも呼ばれてきた。古代ローマ人によって香として使用され、埋葬儀式では棺の上にローズマリーの小枝を置くのは中世まで慣習として続けられていた。ローズマリーの精油はペストに感染した患者の治療に使用できるとかなり間違って信じられもしたが、実際にローズマリーにはいくつかの効用がある。

 

関節炎、静脈瘤の減少、不定愁訴症状の軽減、発毛促進、記憶力を高める(忘れっぽさを軽減する)などなど。これらの効果はローズマリーティを飲用したり、記憶力に関しては、ローズマリーの小枝を髪につける、ブラウスやジャケットのボタンホールに小枝を挿す、などで得られると言う。なるほど、この花言葉は記憶である。又、枕の下に小枝を置くと、悪霊や悪夢を避けると言われることから、催眠効果もあるのかもしれない。その他にローズマリーは古代からの除虫効果があるとして多用された。

 

 古代ローマやギリシャで頻繁に多様に使用されていたように、ローズマリーは、中世のヨーロッパで特にクリスマスの季節には広範囲にわたって使用され、伝統、象徴、および伝説のある植物である。 教会堂ではローズマリーで飾られた祭壇は、礼拝者に特別な祝福と保護を与えるとされ、教会や家の床にもたびたびこのハーブは撒かれた。英国ではクリスマスの祝祭に食された猪は、その頭がローズマリーで飾られていた。下の英国オクスフォード大学クイーンズ校のクリスマスカードに描かれたクリスマスの食事のメインの猪の頭。耳にはローズマリーが挿してある。

 

www.queens.ox.ac.uk

 

ローズマリーは聖書にその名は、フランキンセンス(乳香)やシナモンのように出てこないが、それはおそらく現代私たちが使う石鹸のように、ごくありふれた日常生活によく使われる物だったからだろうか。ローズマリーの除虫効果は、ジョセフやメリー(マリア)の時代の中東で頻繁に活用されていたと思える。これはわたしの想像に過ぎないが、ベツレヘムのあの馬小屋のあたりにも、ローズマリーが雑草のようにたくさん生えていたのかもしれない。あの晩、やっと辿り着いた馬小屋の床や飼い葉おけやメリーの褥に、ジョセフはローズマリーを撒いたかもしれない。長いこと独り身であったジョセフにそうした生活の知恵が備わっていたかもしれないし、また神の御子を迎えるにふさわしく飼い葉に加えてローズマリーを入れたかもしれない。

 

ローズマリーは、青い花をつけるが、その理由についてのカトリック信者にはひとつの伝説がある。それはエジプトへ逃れんとしていたメリー(マリア)が青いマントを纏っていて、それを白い花をつけるローズマリーの茂みに広げた時、花が青く変わったと言われている。ただしローズマリーには白い花をつける種もある。ここに真実があるかどうかは別の話だが、ウィリアム・シェイクスピアも庭に植え、アメリカでも、トーマス・ジェファソンのプランテイション、ヴァージニアのモンテチェロに1794年植える植物のリストにローズマリーも含まれていた。薬用あるいは調理用としてローズマリーは新大陸にも伝えられた。

 

このローズマリーは、クリスマスにも使用される。16~17世紀の英国の詩人Robert Herrickロバート・へリックがその詩に詠んだように、ローズマリーの葉は常緑樹のクリスマス・ツリーにも似て、松葉のような芳香があるので、テーブルのセンターピースとして飾るようになった。勿論食肉の味を良くする効果があるので、鵞鳥や猪の頭を使う料理にも頻繁に利用されてきている。ヴィクトリア時代には、クリスマス・ツリーの下にローズマリーの枝をたくさん撒き、人々に踏まれる度に芳香が生まれ、キリストの誕生を考えるということもあった。

 

現代ではローズマリーでクリスマス・ツリーを作ったり、ガーランドなどの飾り付けに使ったり、人気がある。ローズマリーは室内の空気を浄化するとも言われており、その芳香は記憶力を助けるとも。その他に、アイロン台カバーの下にペイパータオルで包んだローズマリの枝を入れ、洗濯物がアイロンをかけることでよい香りが移り、私は好きだ。

 

davesgarden.com

ローズマリーのクリスマス・ツリーは贈答にも喜ばれる。

 

 

ローズマリーはベイキングにも使える。おすすめはレモン・ローズマリ―ショートブレッド・クッキーである。レシピはこちら。クリスマスでも秋の夜長の読書のお供にでも、合うクッキーである。Enjoy!

 

 

 


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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
こんにちは! (miyan)
2019-11-06 15:02:55
ままちゃんさんこんにち💛

ローズマリーのお話色々と初めて知りました。

私はお肉のお料理の香辛料しか知りませんでした。

クリスマスにはローズマリー💛
上のお写真とっても可愛いですね。
我が家にも昔ローズマリーの鉢植えがあったのです。
でも義母があまり好きではなかったようで....(悲)
今ではないのですが買ってみたくなりました~。
ローズマリーのクリスマスツリーは小さくって可愛いかもしれませんね

教えて頂いてありがとうございます。

ハンドルネームをローマ字に変えてみました。
みいやんでした。よろしくお願いいたします。
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コメントをありがとうございました。 (ままちゃん)
2019-11-07 00:27:53
Miyan様、

香りというのは、個人個人の好き嫌いがあるものですから、私がいいと思っても、他の方は嫌だなとお思いになるかもしれません。無理強いやひとりよがりはいけませんね。かくいう私も、三つ葉とミョウガが好きではないのです。メキシコ料理には三つ葉のお仲間のコリアンダー、スパニッシュでシラントロと言うセリの一種を頻繁に使用しますが、それは好きなのに、三つ葉がどうしても好めません。みんなこの頭の中になにか思い込みがあるのかもしれません。

おつれあいのドングリの木伐採中のお写真を拝見致し、またその後始末のきれいさにとても感動しました。そのお人柄がはっきりわかり、お孫さんの一生懸命お手伝いしているお姿にも真摯な律儀なものが伝わり、落涙致しました。大事な大事なお写真の数々ですね。ペンちゃんのこともそうですが、こうした大切なお写真を拝見できてうれしかったです。ありがとうございました。
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