Trolleholm(トロールホルム)城はトロール–ボンデイ伯爵が城主であるが、実際には、会社組織の団体が半分を所有している。城自体は堅実な北欧人気質を感じさせ、無駄な装飾や大袈裟な建築物ではない。大きさも圧倒されるようなものではないが、敷地内には昔あった伯爵専用の騎馬隊馬小屋などがあり、それらの建物と城は広大な庭ごと、堀で囲まれている。敷地の近くでは、昔からの自給自足で畜産や菜園もずっと続けている。伯爵は、一年の大半をパリやロンドンで過ごす実業家と聞く。
この城の中には一階に小さな図書室と別に、建物中央に、吹き抜け天井の大きな図書室が、まるで城の心臓のように設えてある。ほとんどの部屋には自由に入れ、私達はまず一階の小さな図書室で驚いた。そこには14世紀や15世紀の貴重な古書が書棚にずらりと並んでいたからである。手に取って読むこともできるのだ。おおきな図書室は、二階の廊下を歩いていた夫と私が、偶然二階部分の図書室へのドアを“発見”した。それは数多くあるドアの一つで、向こう側から、誰かが感嘆の声をあげていたのを耳にしたからである。
天井までの書棚にぎっしり、それもとても貴重な中世からの本までも収められている。なるほどこう言う生活を王侯貴族はしていたのだ、と思うと、目の当たりにする図書館にも匹敵する膨大な蔵書に感銘を受けた。
この城の大広間では親族および近しい友人を招いてのフォーマルな昼食会が開かれた。主賓席の中央に座する新郎新婦は、蝋燭の光を跳ね返すように、幸せに満ちた笑顔をしていた。結婚式の招待状を受け取った方々の中には、息子がヨーロッパのお姫様と結婚するのだと誤解したお人もいた。いえいえ、気高く、輝くような笑みを持つ彼女はお姫様ではなく、父親は実業家で、ドイツ人の母とスエーデン人の父を持ち、母親はフィンランド人で、看護士である。市井の人々である。
食事が済むと次はホールに改造した元騎馬兵団の馬小屋での別の披露宴が、カジュアルに催された。これは主に学友や集う教会の人々のためであり、簡単なサンドウィッチやソフトドリンクが用意され、そこでウェディングケーキを切ったのである。そして新婦の父親と友人が、衣装まで着込んで、ミュージカルのInto The Woods からのAgonyを歌ったり、あちらの長男がギターを弾いて姉の幸せを願う歌を歌って、しんみりと心を打たれたり、また、うちの長男がホロリとするスピーチをしたり、多くの人々と共に楽しい宵を過ごした。こうしたことへの準備計画がいかに大変であるか容易に想像がつき、完璧につつがなくこなされたことへの、新婦の両親はじめ家族への賞賛と感謝は絶えなかった。
結婚式の前夜、花嫁の父に尋ねた。ナタリーは、うちの次男の一体どこに惹かれて、結婚を承諾したのでしょうか? 彼は、笑って、あの子は気が強く、どんな男の子にも負けない、と肩肘を張っていて、決して簡単にイエスと言う娘ではなかったのに、あなたの息子さんに会ってからは、角が取れたかのように、柔軟で素直になったのですよ。それは彼が穏やかに理路整然と物事を説明するので、圧倒されたんでしょう。私たちは心からこの結婚を喜んでいます。
え?そんな息子、私は育てたのだろうか?覚えがないが、とても頑固な息子であったのは知っている。ただ、キリスト教会の宣教師として、十九歳から二年間をブラジル伝道に費やして帰還してからは、かなり成長し、人の痛みの分かる者になった様な気はする。
この二人は五年後の昨年の暮れ、初めて親になった。今年の夏至祭で、小さな娘は初花冠をかぶったが、マイストングの周りでダンスをする人々の輪に息子に抱かれて入る前に眠ってしまった。
忘れていたが、この城には三人というか、二人と一匹の犬の幽霊が出るので有名である。そういえば。。。地下にある使用人用の、誰もいない食堂を撮影しようとシャッターを切ったら、写ったのは靄だった。もう一度取ると今度は取れたが、その映像、あっという間にカメラから消えてしまった。シャイなのかもしれない。何れにしても悪霊ではないようだ。
奥様も美しいです
我が家にも17歳日米ハーフの子がいます
いつかこんな素敵な結婚式をしてくれたら
いいなーとブログ読んでワクワクしてます。