好事家の世迷言。

調べたがり屋の生存報告。シティーハンターとADV全般の話題が主。※只今、家族の介護問題が発生中です。あしからず。

『尚も生きる。手を取りて』第52話「手厚い歓迎」

2020-01-04 | ゲームブック二次創作

「帰ってきたお前には、充分な褒美を用意してある。
お前の戦闘能力は言うまでもない。
指揮能力も、今のお前ならば安心だ。
お前は我が軍の最高司令官に相応しい。
 どうか、このガレーキープの指揮を執っておくれ。
そして、一生を遊べるほどの富も約束しよう」

ザラダンは、両腕を俺に差し向けた。

「お前に残っている仕事は、あと一つだけだ。
 あのハーフオークが持っていた荷物袋から、『煙』の箱を渡しなさい。
 心を読むエルフのダーガを操る事に成功し、秘宝である『スティトル・
ウォートの煙』を得たまでは良かったが、まさかその内の一つを
あの冒険者に盗み出されたのは不覚だった。
 だが今回の件は、『煙』の効果を知る事の出来る良い機会だったよ。
 『煙』はお前に『理性』を、更に『言葉』を理解する力を与えた。
次は私が『魔術』を極める番だ」

俺は、ザラダンの前に進み出た。腰を屈め、ひざまずいた。
すると相棒が、困惑した声をかけてきた。

(待って下さい、ナオ。本当にこれでいいんですか?)
(ああ、これでいい。俺は、この人の部下になる……)
(そんな……)
(なんて……わけあるかよ!)
(え!?)

バネのように身を起こし、そのまま爪でザラダンの胴を薙いだ。
本来なら避けられない、至近距離からの攻撃。
だがザラダンには無効だった。
奴は霧のように消え、離れた位置に現れた。


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