『ぼくは勉強ができない』(by山田詠美)、読了。
全9話収録の連作短編集。初出は1991年。
恥ずかしながら初読である。
動機も不純。
ある漫画のタイトルの元ネタだからと新古書店で手に入れた。
この本で描かれるのは、高校生男子・時田秀美の生活。
独特な性格の母と祖父の影響から、秀美自身かなり老成しており、良くも悪くも“子供”とは思えない言動を繰り返す。
秀美に言わせたら「そもそもあなたの言う子供って何ですか?」とかなりそうだが。
他人に可哀想と言われるのが嫌いという点には、好感を持った。
ただ、私の場合、この本は年を食ってから読んで正解だった。
性的なエピソードが尋常なく多いのだ。
作中の「真剣に恋愛しているからこそ常に避妊具を持ち歩いている」男子高校生、という図に私は……何かショック受けてる。
高校時代の自分だったら想像の外だ。
もしかしたらと思いついた推論は当たった。
ドラマ『東京ラブストーリー』の放映が、本作と同年(1991年)。
「セ○クス」という語が(日常会話レベルでの)市民権を得た時代と一致。
過激な描写には時代による部分も少なくないだろう。
因みにこの本の第1話が表題作の『ぼくは勉強ができない』なのだが、実はこの挿話が最も読む人を選ぶのではないか。
「優等生のクラスメイトを操って堕落させる」のをユーモアとして流せるか。
人によっては、感情を揺さぶられ過ぎる危険もあるかもしれない……なんて述べる私自身、潔癖症なのかもしれない。
それでは。また次回。