『越してきたおとなりさん』
作者十八番といえる、レオタードの似合う“美女”。
大舞台を夢見て練習とバイトに励む次原舞子は、華やかな80年代によく似合う。
このエピソードの特徴は、“美女”の生活拠点。
彼女たちは狙われた際、獠&香のアパートに身を寄せる事が多いが、舞子は諸事情から、彼らの隣家に当たる集合住宅で一貫して生活している。
この「隣家」という一つのワードから、必然的な出来事が積み重なって、読みごたえのある事件が展開されている。
獠が住人たちにちょっかい出す→
住人たちが逃げるから事故物件扱いになる→
誰も住まないから盗品が隠される→
家賃が安いから舞子が住む→
舞子が見つけたから盗品が所在不明になる→
窃盗犯たちが舞子を狙う
事件の言わば核となるアイテムも物語のごく序盤で印象的に扱われている。フェアプレイ的展開と言えて、個人的に好みだ。
舞子のバイト先のハンバーガー店が『皆川由貴編』とリンクしているなどの小ネタも楽しい。
なお、余談ながら、舞子のお守りであるマスコット人形は、後のTVSPで同型が登場している事を述べておこう。
それでは。また次回。