好事家の世迷言。

調べたがり屋の生存報告。シティーハンターとADV全般の話題が主。※只今、家族の介護問題が発生中です。あしからず。

EP36 立木さゆり編(JC第20巻)考察。

2022-06-29 | 『シティーハンター』原作考察
『憂いのMy Sister』

『ユニオンテオーペ初登場編』で述べられていた、香の出自が再度クローズアップされる。
同時に、『銀狐再登場編』で述べられていた、獠の秘めた感情が改めて明かされる。
これを最終回としても成立するだろう、集大成のような展開。

かつては他人に守られる甘えもあった香は、他人を守り抜けるほどの強さを得た。
同時に、自らの限界も見極め、必要以上に驕る事もない。
彼女はスイーパーのアシスタントとして、確実に成長した。

一方、獠には、香を「手放したくない」という、ややエゴイスティックな感情が芽生える。
連載当時でいえば亭主関白的強権を、令和21世紀を踏まえれば未熟な依存心を示す。
更に「決して人を殺させない」という感情の下、香の了承を得ないまま銃を細工している件も明かされる。

「死なせたくない」なら手放せばいいのに。
「手放したくない」なら人殺しを止めるべきでないのに。
そんな決定的にムジュンした二律背反(アンビバレンツ)。
が、そういった非合理的な感情を抱く事こそが、人間らしさの証拠だ。
人によって導かれる答えは唯一でなく、常に不定である。

香の肉親である立木さゆりも、獠と香の生活を見届けた末に語る。
「“わたしの“知ってる真実より、かの女が知ってる真実のほうが、より真実だわ」と。

『シティーハンター』世界における真実は、客観的事実よりも、個人的主観に基づく。
『氷室真希編』でも述べられた、それが絶対のルールなのだ。

それでは。また次回。

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