『袋小路』(by都筑道夫)、読了。
全12話収録の短編集。
気軽に読むなら短編集だ、と図書館で目に留まったのを反射的に借りる。
ところがどっこい、いざ読んだら逆に、状況のつかめない作品が続いて多いに混乱。
自己と他者、生と死、現実と虚構、そういった諸々の境界線が曖昧に溶けて消えていく話が非常に多かった。
『動物ビスケット』『顔の見える男』『指のしずく』など、バッドエンドを通り越して、私には顛末の意味さえ分からない。
これで終わり?
中でも『風の知らせ』の分からなさ加減は飛び抜けていた。
作者があとがきで賛否両論だった旨を述べているが、時代を経た今はますます分かりにくくなっている。
基本的に固定電話のみ、そして電話番号非表示が前提でないと、全くま成立しない話だから。
今時の特殊詐欺などを思うと、本作発表当時は何とおおらかだったんだろうと、感慨に耽った私である。
それでは。また次回。