2016年・ドイツ14回目の旅 No.38
フェステ・コーブルクの窓から。このあと靄(もや)がかかって白くなり、道も凍り始めました。
◆11月15日(火) 真っ白な世界 15113歩
今日も8時13分のバスで出かけました。ハースフルトで駅の写真を写し、その後列車を乗り継いでコーブルクにリーメンシュナイダー周辺作家の作品を写しに行くというルートです。バス停までの近道も迷わずに歩けるようになり、バスの10分前にアパートを出れば着ける自信ができました。
この日は寒い朝でしたが、コーブルク駅からバスに乗り、フェステ・コーブルクに着く頃にはみぞれになっていました。美術館内にはほとんど観客の姿もなく、帰りのバスの時間を確認して急ぎ中世彫刻の部屋へ。一眼レフで目的の作品を写してからカフェに行こうと思ったのですが、外から回ると行けるはずなのにどこにも入り口が見つからないのです。それなら早めのバスがないか見てみようと思って坂を下り始めたところ、石畳の道が凍っていてつるつる滑るのです。恐る恐る下りてバス停に着くと受付嬢が言った時間にバスはなく、寒いので美術館に戻って暖を取ろうかと考えました。ところが坂道を登ろうとするとさっきよりも滑ってしまって怖いぐらい。これでは一人旅の最初に転んで怪我でもしそうだと思い直し、またバス停に戻りました。それでもとにかく寒い!
この写真は到着時に写したもの。このあとどんどん寒くなりました。
しばらくすると、時間外の呼び出しバスがやってきました。下りたのは女性一人。町に戻るのだったら乗せてもらえないでしょうかとお願いしてもダメで、すぐに戻っていってしまいました。次のバスが来るまでこうしてみぞれの中を一人立っているのは心身共にしんどくなり、段々悔しくさえなってきました。それならいっそ歩いてみようと思い立ちました。道はしばらく一本です。途中でバスに出合ったら乗れば良い。動く方が余程マシだと思えたのです。でも歩き出してしばらくしたらもやがかかり、次第に世界が白く煙ってきました。すぐそこの林も木も見えないのです。見えるのは足下と2~3メートル先の道路だけ。大変な状況になってしまったと思いましたが戻るのもまた悔しい。何とか家が見える場所まで歩いてみようと自分を励まし、先へ先へと足を運びました。20分ほど歩いた頃にようやく人家が見えてきたので人心地がつきました。その少し先でフェステ行きのバスがやってきました。このバスが戻ってきたら乗れば良いと思うとホッとしました。バス停まであと少しです。それはすぐに見えてきました。これなら次のバス停まで行けるかもしれない。じきに見つかりました。ところが3つ先のバス停まで行ってみようとしたときに、バス停がなかなか見えてこないのです。これでバスが通り過ぎてしまったらどうなることか。ここは途中で諦めて戻るしかない。時計を見たらあと数分でバスがやってくるはずです。傘をさしながらコロコロトランク(以下チビコロと書きます)を引っぱって走り始めました。奇しくもそこは急な上り坂。最後は肺が痛くなるほど息が切れました。こんなに走ったのは何年ぶりでしょう。ようやく一つ前のバス停まで戻った直後にバスがやってきました。これで無事に駅まで戻れる! もやで真っ白な世界を歩いた恐怖は忘れられません。
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