里山の山野草

里山と山野草の復活日記。

金星探査機“あかつき”

2010年12月08日 | 地 学
今年の5月21日に種子島から打ち上げられた金星探査機“あかつき”、
約5億2千万km飛行して金星上空千数百キロに接近したところで、逆噴射により金星を
周回する軌道に入れる予定だったのだが、残念ながら失敗してしまった。

上空を覆う硫酸の雲、自転速度の60倍にも及ぶ暴風、高濃度の二酸化炭素の温室効果
による460℃に及ぶ気温など謎だらけで、それが解明されるのを楽しみにしていたのに
ガッカリだ!
でも、未だ6年後にまた軌道に乗せるチャンスがあるらしい。 開発費と打ち上げ費用の
合計で250億円もかかったらしいので、小惑星探査機「はやぶさ」のように任務を果たして
くれるように期待している!

金星周回軌道での観測計画…宇宙航空研究開発機構(JAXA)から引用
(1)金星探査の目的  
 あかつきは、重さ約500kg、大きさ1.04m×1.45m×1.40mの箱型で、金星を周回する
 楕円軌道(金星からの距離300km~8万km)に投入された後、
 ・金星全体の気象現象や地表面を広い範囲で調べたり、
 ・金星から宇宙空間へと逃げ出す大気の観測や雲のクローズアップ撮影を行う。
 ・また、金星表面には自転速度の60倍にも及ぶ毎秒100mに達する暴風が吹き荒れて
  いるが、雲の下の大気や地表の様子を赤外線によって観測し、その謎の解明に迫る。
 ・その他にも、金星での雷の放電現象や、火山活動の有無等についても調査する。
  
(2)地球型惑星の比較
  金星は、太陽から約1億820kmの距離の所を公転していて、地球と共に約46億年前
  に誕生したと考えられる地球型惑星で、岩石の地面をもつ惑星である。
  大きさや密度が地球と同じくらいであるため、金星は地球と似た過程で作られた双子
  のような惑星であると考えられているが、その環境は地球とはかなり違っている。
  海はなく、大気は地球に比べて乾燥していて主に二酸化炭素からなり、その量がとて
  も多い為に地表気圧は90気圧にもなる。
  高度60km辺りには硫酸の雲があり、この雲は地球の雲と違って惑星全体をすき間
  なく覆っていて、時速400kmという速さで東から西へと流れている。
  地表気温は460℃にも達する。
地球型惑星の比較金 星地 球火 星
太陽からの距離(長半径、億km)     1.08     1.50     2.28
赤道半径 (km) 6,052 6,378 3,397
質量 (10の24乗kg)     4.87     5.97     0.64
公転周期 (日)   225   365   686
自転周期 (日)    243.0      1.00      1.03
表面の温度 (℃)    460    17   -60
表面の気圧 (hpa)   92,100   1,013      5.6
大気の主成分二酸化炭素96.5%窒素・酸素二酸化炭素95.3%

(3)地球型惑星の大気大循環のイメージ
  地球では、熱帯地方では自転と逆方向の東風(貿易風)が吹き、中緯度や高緯度
  では自転方向の西風(偏西風)が吹いているが、偏西風の風速は30 m/秒程度で
  赤道での自転速度460 m/秒の1割にも達していない。
  それに対し、金星の雲はどこでも自転と同じ方向に 100m/秒もの速さで流れ、赤道
  での自転速度1.6 m/秒の60倍もの速さで回っている事が分っている。
  この風は、自転速度を超えて吹くという意味で“スーパーローテーション”と言われ、金
  星最大の謎の一つとされていて、これを解明するのが今回のミッションの大きな目的
  とされている。