架橋問題で揺れる鞆の町

昨日の朝日新聞の社説に「景観の価値」と題して鞆の浦の架橋問題が書かれていた。
（以下、2/23 の朝日新聞から引用）

そもそも町中の渋滞解消の為のバイパス道路を築く計画で、半円状の湾の１５％
にあたる約２haを埋め立てたうえ湾を横切る形で180ｍの橋を架け、埋立地にはフ
ェリーのターミナルや160台分の駐車場も造るという。

確かに約5,000人の住む鞆の道路は狭く計画推進派が多数で、現在の市長も推進を掲
げて再選されたばかりだし、観光地として売り出そうとしても駐車場がない為に不便だ。

しかし、一方では
・ユネスコの諮問機関にあたる「国際記念物遺跡会議」は、「世界遺産級」の価値
　を認め総会で事業の見直しを決議しているし、
・保全派の住民は知事が埋め立て免許を出さないように訴訟を起こしている。
・しかも、フェリーターミナルを利用するのは対岸の島に住む700人の人だけだし、
　駐車場についても陸側に代替地を用意できるという指摘もある。
・そして、最も重要な事は、今まで効率を優先した開発を進めて来たせいで各地の
　景観が個性を失ってしまった反省から、５年前に「景観法」が施行され、
　「良好な景観は国民共通の財産である」とする考え方だ。
　国交相もその趣旨に則って「国民の理解が得られるように考え直せ」と要求して
　いる訳だ。

市長は、
「毎日の生活に困っている住民が決めた事を、その生活に関係のない国民の理解を
　何故、どのようにして得るのか？」と強く反発している。

しかし、昔から“潮待ちの港”として栄えた海路の要衝で、“雁木”と呼ばれる船
着場や船の修理をするドックなどの昔の施設も残っているし、
人の往来についても、室町時代の足利将軍、江戸時代の朝鮮通信使や坂本竜馬など
の多くの人々が足跡を残している。
こういった遺跡や遺物を、観光資源として活かす為にも、それに相応しい景観を残
す方が得策だと考える人も多い。　何とか景観を保存して欲しいものだ！

（太子堂から見た鞆港と鞆港の東側から見た雁木・いろは丸展示館）