数年前に私の父母の住む田舎で
大雨による河川増水や床上浸水の被害がありました。
ウチは近くの排水溝から水が溢れたくらいで
大した被害にはならなかったようですが、
母親の知り合いのお宅は水浸しになってしまったそうです。
しかもそのお宅は貸衣装屋さんだったとか。
山のようにあった和洋の貸衣装はほとんどが
使い物にならなくなったそうです。
でもそんな中、何とか被害を免れて着られそうな着物がある、
よかったら貰ってくれないかと、その知り合いの方から
母にお話があったそうです。
日本舞踊や三味線をやるウチの母は大喜び。
くださるのなら喜んで使わせていただきます、と
着物や帯をいただいたそうです。
一方、着物と聞くと、最近敏感な私、
「もし私に合いそうなのがあったらくださいな」
と母に打診しますと、
写真のような着物3点と帯2点を送ってきてくれたのでした。
水害の難を逃れて生き延びた着物と帯。
シミやほつれなど少々あるものの、
縁あってここに辿り着いてきたんだなぁと思うと
愛おしさが沸いてきます。
大事にしようと思います。
ちなみに私が持っている数少ないきものたちは
1着を除いてすべて母や知人から譲り受けたもの。
本当はシミ抜きや補修しなければならないものが沢山あります。
でも一挙にしようとすると結構お金がかかるーーー。
頭の隅っこには「あの着物をいつか補修したい」
という思いがあって、
まずは呉服屋さんか悉皆屋さんにきいてみなきゃ、とか
お金の融通がきく程度ならばいいんだけど、とか
考えちゃうんですよね。
でもこうしてあれこれ手だてを考えるのも楽しかったりする。
譲ってもらった着物ですが、そんな風に思いやりながら
少しずつ少しずつ自分のものになってゆく・・・
のかもしれません。