静岡県袋井市に「可睡ゆりの園」というところがあると知った。早速、訪ねてみた。色とりどりで様々な種類のユリがワーッと咲いていてそれはそれは見事だった。咲く場所や種類によってはもう花が終わりかけているものもあったが、それでも圧倒された。白、黄色、オレンジ、うす桃色、ピンク、濃いピンク、深紅、えんじ、そして白にピンクが混じったものや、黄色の花びらがピンクで縁取りされているもの、えんじ色が黄色で縁取りされているもの等、各国の原種のユリだけでなく改良を加えた園芸品種も様々に咲き誇っている。コスモスや菜の花の丘は見たことがあるが、ユリの丘は初めてだった。壮観。
その後、ゆりの園のすぐ隣に「可睡斎」という古刹があるというので、せっかく静岡まで来たのだからと寄り道することにした。折しも風鈴祭りが開催中されていた。これがまた風情溢れて、カラフルな風鈴が風に揺られてカラリコロリと涼しげな音を立てていた。
「可睡斎」とはお寺の名前にしては一寸変わったネーミングだと思っていたら、これは徳川家康に関係があるようだ。可睡斎のHPによると、
*****家康の幼少期から長い縁を育んでいた11代目の住職は、立派な殿様になった家康に呼ばれ、城への長い道を駕籠に揺られ、謁見する際に疲れからこっくりこっくりと眠ってしまいました。あろうことか、殿様である家康と面談のその時に…。「無礼である!」といきり立つ勇猛な家臣達に、家康が発した言葉があります。「和尚我を見ること愛児の如し。故に安心して眠る。われその親密の情を喜ぶ、 和尚睡る可し 睡る可し(ねむるべし)」と申されたと言われています。 *****
このお寺の境内には、武田勢に追われた家康が、その身を隠して命拾いをしたという小さな洞窟もある。
さらにここには貴重な文化遺産がある。大東司(お手洗い)である。昭和12年に水洗式トイレとして建設されたもので、現在でも現役である。私もこの文化遺産の中で用を足してきた。なかなか興味深いお寺である。
毎年1月から3月までは、3000体ものお雛様が国登録有形文化財「端龍閣」に飾られるという。来年になったら見に来てみようかと思う。ひょんなことからいろいろ面白いものが発見できた一日だった。