スターウォーズの旧三部作については随分ルーカスによる改変がなされたそうで、マニアはそれを全部知っているうえで改変の是非を論じるのだそうだ。私はマニアの域には遠く及ばず「ファン」がいいとこ。そんな私でも気になる改変はある。
その1。エピソード6(第3作)で、ルークの父(ダースベイダー)が霊になって、既に霊になっていたヨーダとオビワンケノービと勢揃いしたシーンで、ルーク父の顔が差し替えられていた。公開時は、瀕死のダースベイダーを演じた俳優がそのまま霊を演じていたのだが、改変後は、霊がヘイデン・クリステンセンになっていた。若き日のアナキン・スカイウォーカー(後のダースベイダー)を演じたのがクリステンセンだったからそっちに合わせたのだろうが、人間が霊になったときの姿は人間だったときの最後の姿ではないのか。なぜゆえに、ダースベイダー(アナキン・スカイウォーカー)の霊は若返ったのか?しかも、クリステンセンが細面(ほそおもて)なのに対し、瀕死のダースベイダーを演じた俳優はがっしり顔であまりにもイメージが違うことも違和感に拍車をかけた。この点について、アナキンはフォースのダークサイドに墜ちる前の姿で霊になったとの説明を聞いたことがある。顔の作りの違いについては、若い頃細面も年をとってぷっくりする例は多々あるという言い訳ができるかもしれない。因みに、かつての大河ドラマ「おんな太閤記」で秀吉がよぼよぼになった末に亡くなった後、若い頃のはつらつとした姿で妻(ねね)の前に現れた際も同様の違和感を感じたものである。
その2。ある動画サイトでこういう話を聞いた。エピソード4(第1作)でルークたちがハン・ソロを飛行士に雇った際、ハン・ソロはジャバに借金をしていて追われる身だったのだが、第1作公開時はジャバが人間の姿をしているのに対し、改変によりエピソード6に登場するクリーチャー姿に変わったというのである。人間姿のジャバの写真もある。これは、私にとっては事件である。というのも、姿云々の前に公開時の第1作にジャバが登場した記憶がないからである。もしそんなシーンがあったのなら「ファン」の看板すらも下ろさなければならない。うそー、と思いながら公開時の映像をさんざっぱら見返してみたがやはりジャバは登場していない。真相はこうである。当初、ルーカスは第1作にジャバをクリーチャー姿で登場させるため、まず俳優が人間の姿でシーンを撮り、後に合成によりクリーチャーにする予定だったのだが、結局そのシーンはカットされた(だから、どんなに見てもジャバは出てこないのである)。人間姿のジャバの写真は、俳優が演じた際のものなのだろう。その後、二度の改変によりクリーチャー姿のジャバのシーンが付け加えられた、ということである。
その3。再びエピソード6(第3作)に戻る。上記の霊勢揃いのシーンのあと、帝国を破ったルーク達がイウォーク族と祝宴で喜びを分かち合うシーンのBGM。公開時は、楽しげな民族音楽風で始まり、最後に、合唱が入ってエンドロールに突入したのだが、私は、合唱が入ったあたりから悲しいとまでは言わないにしてもなにやらシックな曲調になり、それがばーっと広がっておなじみのスターウォーズのテーマになる流れが大好きだった。スターウォーズ全作の中でモスト・フェイヴァリットなシーンであった。その音楽がまるまる涼しげな曲に差し替えられていた。これこそ私にとって大事件である。壊滅的といっていい改変である。