昨日の深夜のことである。物が落ちる音がし、猫がぴちゃぴちゃ何かを舐めてる音がする。水を飲んでるんだろう……だが、物が落ちた音は気になる、と思い、灯りをつけたら、水ではなかった。三毛猫がサイドテーブル上の廃油缶をひっくり返し、床に散布された廃油を舐めている音であった。廃油など舐めて体にいいとは思えぬ。薩摩の人になって発した「こらぁ」はいつも以上の怒気であったと思う(薩摩人と「こら」の関係についてはチコちゃんで教わって、当ブログでも記事にした)。とりあえず、猫は隣室に逃げていったが、油にまみれたこの惨状。どうやって原状回復すればいいのだ。しばし立ちすくむ。しかも、夜中である。とりあえず、拭くだけ拭いて、バスタオルをかぶせて、その上に折りたたみテーブルを置いて急場をしのいだ(このテーブルは、猫除けにシンクにかぶせようとして、重くてできなかったヤツである。もはや、本来の用途(テーブル)で使われることはなさそうだが、いろいろ役には立っている)。
体も心もへとへとになって布団に入った私の上に三毛猫が乗ってきた。怒られたことをなんと思っているのだろう?
可能性その1。忘れた。
可能性その2。ちょっと気まずくなったんで仲直りしようと乗ってきた(猫にそんな繊細な感情があるのかって?あるのですよ)
因みに、もう一匹(サビ猫)の方は、事件が起きたことを察知してコタツの中に避難している。だいたい、いつも三毛猫が悪さをして私が「こら」と言うと、反応するのはサビ猫の方である。おーい、ごはんだよ(あさイチかっ)と言ってさかんに呼び出すがなかなか出てこない。この間、三毛猫の「ごはんくれ」攻撃が止むことはない。めんどくさいことこのうえない。
そうこうするうちに朝が来た。え?いつも日の出とともに「ごはんくれ、ごはんくれ」と騒ぎ出す三毛が大人しく寝ている。これはこれで心配である。ご飯になってもいつもの勢いがない。どうしたんだろう?
可能性その1。油にあたって気持ちが悪い。
可能性その2。たっぷり栄養(油)をとったので満腹である。
もし「その1」なら吐くだろうが(それでなくても三毛はよく吐く)、吐かないから、さほど具合が悪いわけでもなさそう。実際、この日の朝食は結局全部たいらげた。このくらい大人しくてちょうどいいのだが、ほとぼりが覚めたらまた騒ぎ出すのだろうか。吐くからご飯をドライから缶詰に変え、量も絶妙なところにおさめてるのだが、缶詰は7,80%が水分だという。あまり身になってないのだろうか。だったら、ときどき吐くことには目をつぶって、一日4回くらいに小分けしてドライに戻した方がよいのだろうか。サビ猫はドライである(そう、二匹で内容と量を変えているのである)。
そんなこんなで人間(私)はくったくたである。とてもじゃないが、歌などに歌う気にならない(業務連絡である)。
「事件」から半日経った現場の様子である。
奥に件のテーブルが写っている。因みに、名作のほまれ高い朝ドラ「カーネーション」で、糸子の娘達が執拗に「ピアノこうて!」とねだる様と、うちの猫の「ごはんくれ」が重なるワタクシである。
昔、「舐め猫」と言うのがいた。あれは、いきがって「舐めんなよ」と言ってる猫である。油を舐める猫に比べれば可愛いものである。
猫は20歳になると化けるという。化け猫は行灯の油を舐めるという。うちの三毛は20歳未満で化けてないが、油を舐めた。するとこういうことになろうか。
「20歳以上」と「化け猫」は同値である(うちの猫は20歳以上だけど化けてないという向きもおられるだろうが、これは定義なのだから仕方がない)。
化け猫は必ず油を舐めるが油を舐める猫すべてが化け猫なわけではない(「化け猫」は「油を舐める猫」の部分集合である。
油を舐める猫は猫だが猫のすべてが油を舐めるわけではない(「油を舐める猫」は「猫」の部分集合である)。
以上を図にするとこの通りである。
なお、昔、化け猫が油を舐めると言われたのは、猫が油分を補うために魚油を舐めていたから、とどっかに書いてあった。三毛が舐めた廃油缶には、昨日ゴボウの素揚げに使ったばかりの油が入っていて、
相当な芳香を漂わせていたようである。
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