高齢期の備え

高齢期の備えを考えます

高齢期の備え14:介護費と入院費(確率的に必要な費用)(5)

2019年09月15日 | 高齢期の備え
(2030年以降の後期高齢者医療制度での自己負担と保険料)
・医療保険は、74歳までと75歳以上に大きく分けられます。74歳までは、職業に応じて健康保険、国民健康保険などに加入していますが、75歳からはすべての人が後期高齢者医療制度に入ることになります。

・後期高齢者医療制度は2008年(平成20年)にスタートしたもので、都道府県ごとにつくられた広域連合が保険者になっています。財源は、スタート時点で50%が国と自治体、75歳以下の人の医療保険からの支援(40%)、後期高齢者の保険料(10%)となっています。一人ひとりの後期高齢者が支払う保険料は、広域連合(都道府県)によって異なりますが、所得の多寡にかかわらず後期高齢者一人ひとりが納めることになり、多くの人は年金から天引きされます。ただし、所得が低い世帯では所得に応じて保険料が減額されます。平成30~31年度の保険料は全国平均で一人当たり月額5,857円となっています(出典:後期高齢者医療制度の平成30‐31年度の保険料率について 厚生労働省報道発表)。

・将来の国民医療費を推算してみると、国民全体の総医療費は余り変わらないのですが、一人当たりの医療費の高い後期高齢者の人口が増えることから後期高齢者の医療費が増加します。この増加分を国民全体で負担するとすれば現役世代(74歳以下)の医療保険料も増えざるをえません。

・現行の後期高齢者医療制度が維持されとして人口の変化だけから投稿者が推算した結果では、20~74歳の負担は、75歳以上の自己負担1割の場合、2015年の年間14万円に比べて2030年22万円(1.6倍)、2050年28万円(2倍)になりました。

・同様の推算では、高齢者の自己負担割合を3割に増やした場合でも現役世代の一人当たり負担は、2015年に比べて2030年17万円(1.2倍)、2050年21万円(1.6倍)になります。

・自己負担割合が3割を超えることは社会的な理解が得られにくいと考え、2030年から自己負担は3割、自己負担割合3割を前提に2030~2060年の平均の後期高齢者医療保険料は11万円になるとと投稿者は想定しました。この想定は当ブログの「高齢期の備え8」の医療保険料の推算根拠としました。