高齢期の備え

高齢期の備えを考えます

高齢期の備え22:2030年以降の年金(1)

2019年09月27日 | 高齢期の備え
・65歳以上の人で構成する世帯の中で51.1%は収入が年金のみとなっています(平成30年国民生活基礎調査)。

・2030年以降の年金がどうなるかを推算してみます。現在の制度が続いていると仮定します。

・年金には「賦課方式」と「積立方式」があります。

・公的年金と呼ばれる国民年金と厚生年金は「賦課方式」です。現在の現役世代から保険料を集め、現在の65歳以上の方に年金として分配します。公的年金では、財源の保険料の負担が決められていて、財源の範囲内で給付がされることが基本となっています。

・私的年金と呼ばれる確定拠出年金や国民年金基金は「積立方式」です。現在の自分が保険料を預け、将来の自分が年金として受け取ります。

・2030年以降の基礎年金(国民年金及び厚生年金から報酬比例部分を除いた部分)を大雑把に推算します。現在のところ国民年金は20歳から59歳まで保険料を支払うことになっています。保険料は、2019年度以降月額1万7,000円をベースに物価や賃金の変動で調整して決められます。2020年の20~59歳の推計人口は約6,100万人です。これに保険料の月額1万7,000円を乗じ、年額にすると約12兆円です。

・この保険料にこれと同額の国の負担分12兆円を合わせて約24兆円を基礎年金の財源と仮定します。

・この24兆円を65歳以上の2020年の推計人口約3,600万人で除すと、基礎年年金は年額69万円になります。なお、この69万円という数字は人口構成からみて公的年金が将来どの程度厳しくなるかをみるためだけのものです。実際の基礎年金は、保険料を40年納めると現在のところ年額78万円となっています。

・20~59歳の人口は、2030年5,500万人、2050年4,300万人と推計されています。65歳以上の人口は2030年3,700万人、2050年3,800万人と推計されています。

・同様な計算をすると基礎年金は、2030年61万円(2020年比88%)、2050年45万円(2020年比65%)になります。

・仮に受給開始年齢が70歳に引き上げられると、2030年76万円(2020年比110%)、2050年55万円(80%)になります。

・年金を減らさないためには、保険料を上げる、保険料支払い年齢を引き上げる、年金受給額を減らす、年金受給開始年齢を引き上げる(受給人口を減らす)などが考えられます。このうち現役世代の負担を増やさないようにするため受給開始年齢の引き上げの可能性が高いと思います。現在40歳代の方は、年金受給の開始年齢が70歳になり、年金額も2割程度引き下げられるという悲観的な見込みで高齢期の家計への備えをしたほうが安心だと思います。