11-2
「ここはですね、この前ナイティナインのTVに出た鉄板焼きの店なんですよ。社長のお口に合えばいいのですが。」
確かに、俺の財布じゃ無理そうな感じの店だ。壁に掛かったメニューには値段が書いてない。
「この店で1番高いワイン出して。」
カジノの店長がそう言うと、蝶ネクタイのウェイターはすぐに1本の赤ワインを持ってきた。
「このぐらいのワインしか置いてないみたいですけど、いいですか、これで?」
「いいよ、いいよ、胃に入れば何でも一緒だからさ。」
松のヤツは1100万も失って頭に来てるはずだが、そんな素振りは見せずにクールに装っていた。おまけに標準語を喋っている。田舎の金持ちのくせに。
それから食った事もないような肉を食い、天然物の車海老に鮑なんかを食いながら、ワインを2本空けた。俺は久しぶりの辛くない食事に、マナーもそっちのけでがっついた。その間に松と店長は、一緒に川口にカジノを開けようなんて話で盛り上がっていた。
いい加減、腹具合も満足した頃、俺達は勘定をカジノの店長にまかせて店を出た。外は相変わらず寒かった。カジノの店長が俺達を呼び止め、カジノで遊んでくれたお礼と、また寄って下さいと言って、深く頭を下げた。
今の食事がいくら掛かったかは知らないが、2晩で1100万も落としていった客に使う金としては安い物だろう。
松が連絡していたのだろう、キムが通りの向こうで待っていた。今日も寒そうな顔をしている。俺達と目が合うと破顔した。愛想笑いか、ようやくこの寒い外での待ち時間から開放される安堵の顔かは、俺には分からない。
それから俺達は、また「サブリナ」に行き、「マイ・フェアレディ」に行き、女達を連れて帰った。
昨日と違う事と言ったら、連れて帰った女がミヒャンじゃない事と、キムから貰った紙袋が重たい事だった。
「ここはですね、この前ナイティナインのTVに出た鉄板焼きの店なんですよ。社長のお口に合えばいいのですが。」
確かに、俺の財布じゃ無理そうな感じの店だ。壁に掛かったメニューには値段が書いてない。
「この店で1番高いワイン出して。」
カジノの店長がそう言うと、蝶ネクタイのウェイターはすぐに1本の赤ワインを持ってきた。
「このぐらいのワインしか置いてないみたいですけど、いいですか、これで?」
「いいよ、いいよ、胃に入れば何でも一緒だからさ。」
松のヤツは1100万も失って頭に来てるはずだが、そんな素振りは見せずにクールに装っていた。おまけに標準語を喋っている。田舎の金持ちのくせに。
それから食った事もないような肉を食い、天然物の車海老に鮑なんかを食いながら、ワインを2本空けた。俺は久しぶりの辛くない食事に、マナーもそっちのけでがっついた。その間に松と店長は、一緒に川口にカジノを開けようなんて話で盛り上がっていた。
いい加減、腹具合も満足した頃、俺達は勘定をカジノの店長にまかせて店を出た。外は相変わらず寒かった。カジノの店長が俺達を呼び止め、カジノで遊んでくれたお礼と、また寄って下さいと言って、深く頭を下げた。
今の食事がいくら掛かったかは知らないが、2晩で1100万も落としていった客に使う金としては安い物だろう。
松が連絡していたのだろう、キムが通りの向こうで待っていた。今日も寒そうな顔をしている。俺達と目が合うと破顔した。愛想笑いか、ようやくこの寒い外での待ち時間から開放される安堵の顔かは、俺には分からない。
それから俺達は、また「サブリナ」に行き、「マイ・フェアレディ」に行き、女達を連れて帰った。
昨日と違う事と言ったら、連れて帰った女がミヒャンじゃない事と、キムから貰った紙袋が重たい事だった。