S&R shudo's life

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真冬の狂想曲13-3

2006-09-13 18:14:45 | 真冬の狂想曲
13-3
 佐々木の部屋のドアがノックされた。俺はドアに近づき、覗き窓から相手を確認する。松だった。俺はドアを開け、松を部屋に招きいれた。松は小便を垂れ流し、鼻血で汚れた佐々木の顔を見て、何があったのかを俺に聞いた。
「やっちゃん、これどうしたん?」
「どうしたもこうしたもないよ、これ見てん。」
 俺は佐々木の携帯電話を取り上げ、発信履歴を表示し、松に渡した。
「これ、洋子ちゃんか?佐々木。」
 松は佐々木の女を知っているようだ。
「はい、そうです。ちょっと彼女に電話しただけです。」
 俺はまた佐々木を蹴り飛ばした。
「ちょっとやねーよ!日に何回かければ気が済むんか!ゆたーっとしとかんか、おう!」
 松は慌てて俺を止めた。
「もう、そんぐらいでいいやろ!」
「松、お前甘いんたい!こうゆうヤツラは身体で教えとかんと、また調子に乗るんやけ!のう!佐々木!」
 佐々木は必死に首を横に振っている。その姿がむかついて、俺はもう一発蹴りを入れた。たいして強く蹴ってないのに、佐々木は派手に転がった。その瞬間、俺の思考は吹っ飛んだ―殺してやる―。腹からマカロフを取り出し、佐々木に向かって構えた。慌てて松が俺に体当たりして、俺を止めた。一回りも身体のでかい松に体当たりされて、俺はベッドの上に吹き飛んだ。その衝撃で、現実に引き戻された。松が止めなければ確実に佐々木はあの世に行ってた事だろう。
「落ち着けっちゃ!やっちゃん!昔から頭に血が昇るとやりっぱなしになるんやけ…。佐々木、お前、洋子ちゃんと何話しよったんか?正直に言わんと、次は止めんぞ。」
「松崎さん達と一緒にいる事は喋っていません。ただ、もう少ししたら何もかも片付くから、それから迎えに行くから、我慢していてくれって事を話してました。」
「お前、それにしては何回も電話しとるやないか!」
 そう言いながら、俺は佐々木の髪の毛を掴んで引っ張った。
「本当です。後は他愛のない話しかしてないです!」
俺は投げ捨てるように佐々木の髪の毛から手を離した。
松は暫く黙ったままだった。そしておもむろに口を開いた。
「佐々木、洋子ちゃんを呼び出せ。お前が忘年会に行っとる間、暫く預かっちょくけ。こっちにきたら事情を話しても構わんけよ。」
「分かりました。」
 佐々木は洋子に電話をかけた。話が終わるのを待って、俺達は佐々木の部屋を出た。
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