白い雲は、彼が乗っている船。
魂の船。
小さいとき、いつもブランコをこぎながら、
どれだけ高く行けるだろうかと思っていた。
あそこまで行ったら、会えるだろうかと思っていた。
ゆるしてほしかった。
私が無事に生まれて、彼が短命だったことを。
会うことが、かなわなかった大切な弟。
会えることをずっと楽しみにしていた彼。
母が書いた文字のなかで、一番印象的だったのは、
光明皇后の子どもの「基(もとい)」のこと。
あの想いを超えるような文章を、私は書くことができるのだろうか。
あの一文の、最後に残された空白を超えるような文章を、
私は、書けるのだろうか。
記号にしたら、たったの二倍ダーシなのに。
あれを超える何かを書くことは、出来ないような気がする。
言葉は、文字が書かれている世界がすべてなのではない。
その言葉の端々にある空白にこそ、真実がこもっている。
言葉にならない声だからこそ、胸に響くんだ。
そして、言葉を凌駕するのは、音だと思う。
ああ、お願いだから、私の呪縛を解いてほしい。
これをお願いするのは、まったくのお門違いだとわかっているけれど、
私には、母が弟が大切なだけに、自分では解くことができない。
だからこそ、救いを求める。
心の底からひざまづく。
魂の船。
小さいとき、いつもブランコをこぎながら、
どれだけ高く行けるだろうかと思っていた。
あそこまで行ったら、会えるだろうかと思っていた。
ゆるしてほしかった。
私が無事に生まれて、彼が短命だったことを。
会うことが、かなわなかった大切な弟。
会えることをずっと楽しみにしていた彼。
母が書いた文字のなかで、一番印象的だったのは、
光明皇后の子どもの「基(もとい)」のこと。
あの想いを超えるような文章を、私は書くことができるのだろうか。
あの一文の、最後に残された空白を超えるような文章を、
私は、書けるのだろうか。
記号にしたら、たったの二倍ダーシなのに。
あれを超える何かを書くことは、出来ないような気がする。
言葉は、文字が書かれている世界がすべてなのではない。
その言葉の端々にある空白にこそ、真実がこもっている。
言葉にならない声だからこそ、胸に響くんだ。
そして、言葉を凌駕するのは、音だと思う。
ああ、お願いだから、私の呪縛を解いてほしい。
これをお願いするのは、まったくのお門違いだとわかっているけれど、
私には、母が弟が大切なだけに、自分では解くことができない。
だからこそ、救いを求める。
心の底からひざまづく。