ベルンハルト・シュリンク著、松永美穂訳、新潮クレスト・ブックス
『朗読者』もよかったけど、この本もよかった。
全7編が収録されており、それぞれの文章量はそうは多くないけれど、
どれも、とても内容が濃いものだった。
「少女とトカゲ」は、なんとなく三島の「金閣寺」を思い出したし、
「割礼」は、私が知り合ったイスラエル人の女の子たちを思い出させてくれた。
そう。「割礼」は、ユダヤ人の女性と恋に落ちたドイツ人男性のお話。
私が2000年に一人旅をした中国雲南地方でのことを思い出させてくれた。
その旅ではドミトリーに宿泊し、
同じ部屋には、ドイツ人の女性と、イスラエル人の女性が宿泊していた。
ドイツ人の女性は、ドミトリーの部屋の中をとても礼儀正しく使っていたので、
私は一緒に暮らせる人だと思った。
いっぽうイスラエル人の女性は、兵役を終えたばかりの若い女性で、
集団生活というか、兵隊の生活に馴染んでいるはずの人だったけど、
脱いだ下着を床に広げっぱなしだったり、公共スペースも使いたい放題だったし、
とにかく荷物が散乱していた。
同じ部屋に男性がいても、一向に気にするふうではなかった。
ドミトリーには、オーストラリア人、カナダ人、日本人、ドイツ人などなど、
いろいろな人がいたけれども、そのイスラエルの女性のことを、かげで、
兵役を終えたばかりで、開放感にあふれてるんだよ、と好意的に解釈する人もいれば、
ユダヤ人は放浪の民だから、整理整頓が苦手なんだ、と揶揄する人もいた。
ドイツ人が一生懸命イスラエルの彼女のことをかばっていたのに、
他の国の人の方が、人種は問題ない、個人の問題だ、といって手厳しかったっけ。
その時は。
そして、そのドイツ人の女性とは、たまたま2人きりで話しをする機会があった。
ドイツとユダヤの関係、日本と中国の関係を話したとき、
私たちには、背負いきれない過去がある、という、なんともいえない感情、
共感できるなにかがあると、お互いに感じ取ったのが印象的だった。
いろいろなことを思い出した一冊だった。
『朗読者』もよかったけど、この本もよかった。
全7編が収録されており、それぞれの文章量はそうは多くないけれど、
どれも、とても内容が濃いものだった。
「少女とトカゲ」は、なんとなく三島の「金閣寺」を思い出したし、
「割礼」は、私が知り合ったイスラエル人の女の子たちを思い出させてくれた。
そう。「割礼」は、ユダヤ人の女性と恋に落ちたドイツ人男性のお話。
私が2000年に一人旅をした中国雲南地方でのことを思い出させてくれた。
その旅ではドミトリーに宿泊し、
同じ部屋には、ドイツ人の女性と、イスラエル人の女性が宿泊していた。
ドイツ人の女性は、ドミトリーの部屋の中をとても礼儀正しく使っていたので、
私は一緒に暮らせる人だと思った。
いっぽうイスラエル人の女性は、兵役を終えたばかりの若い女性で、
集団生活というか、兵隊の生活に馴染んでいるはずの人だったけど、
脱いだ下着を床に広げっぱなしだったり、公共スペースも使いたい放題だったし、
とにかく荷物が散乱していた。
同じ部屋に男性がいても、一向に気にするふうではなかった。
ドミトリーには、オーストラリア人、カナダ人、日本人、ドイツ人などなど、
いろいろな人がいたけれども、そのイスラエルの女性のことを、かげで、
兵役を終えたばかりで、開放感にあふれてるんだよ、と好意的に解釈する人もいれば、
ユダヤ人は放浪の民だから、整理整頓が苦手なんだ、と揶揄する人もいた。
ドイツ人が一生懸命イスラエルの彼女のことをかばっていたのに、
他の国の人の方が、人種は問題ない、個人の問題だ、といって手厳しかったっけ。
その時は。
そして、そのドイツ人の女性とは、たまたま2人きりで話しをする機会があった。
ドイツとユダヤの関係、日本と中国の関係を話したとき、
私たちには、背負いきれない過去がある、という、なんともいえない感情、
共感できるなにかがあると、お互いに感じ取ったのが印象的だった。
いろいろなことを思い出した一冊だった。