ゆっくり読書

読んだ本の感想を中心に、日々、思ったことをつれづれに記します。

中国大虐殺史

2010-12-26 22:01:25 | Weblog
今日は、在日朝鮮人の方たちと、またまた濃くて楽しい会話をしてきたのだけど、
それは、明日以降書きたいと思う。

午前中から考えていた一冊について、とりあえず書きたい。

『中国大虐殺史ーなぜ中国人は人殺しが好きなのか』(石平著、ビジネス社)

「中国大虐殺史」という視点からは、すごくすごくよくまとめられていると思う。
根拠としている史料や文書も厳選しているし、そしてちゃんと明記し、
かつ複数の文書から行っている数字等の考証についても、論理的だ。
中国共産党が1949年以降に行っている政策と、それによる人民の死についても、よくわかる。
中国史に三国志でしか触れたことがないような日本人にとっては、
非常にわかりやすい入門書だと思う。

王朝のありかたが日本とは違うから、王朝が変わったときに大虐殺が起こる。
というか、起きやすい。
ただし、王朝内での、皇子やお妃の立場については、中国固有のものというわけではないだろう。
日本でも、なんだかんだ言って、いろいろあった。
殺されたり、出家させられた皇子はたくさんいた。
宦官という制度は中国の特色だろうから、その点が少しというか、かなり日本より複雑だろうけど、
王朝内での権力闘争は、日本も中国も、たいして変わらないのではないかと思う。

「なぜ中国人は」という部分について、これという理由を示すことは、
必然的に無理だろうと思うけれど、
日本人から見ると、とても好戦的というか、血気盛んに見える中国人の深層心理は、
とても気になるところだ。

いまから約20年前に大学で「史記」を学んだとき、
教授が言ったことを、ふと思い出した。
「中国には、食人の習慣があるんだよ。孔子ですら人の塩辛を食べていたんだよ」と。

つまり、中国では、食べることによって、
相手がもっていた生命力を自分に取り込むという、考え方がある。
強い相手なら強い相手ほど、生命力も強い。
だから、食べて自分の力として取り込む、と。
例えば、肝臓が悪かったら肝臓を食べたりする。

日本のように、無念の死をとげた人は祟るから、逆に神にしてしまおう、
という昇華方法ではなくて、
中国では、強い人をたくさん食べて自分の力にする。
だから、靖国問題も、受け止め方が根本的に違う。
日本は祟られたくないから神にするんだけど、
中国では、それを自分の力にするという考え方をするから、
A級戦犯の死を、いまの日本人が取り込むこと自体に生理的な嫌悪感がある、と。

なるほど、と思った。
そんなむかしの記憶を呼び覚ましてくれる一冊だった。


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