テニスの全米オープンで大坂なおみが優勝した。人種差別、特に警官の銃撃などによる黒人犠牲者に対する抗議を全面に打ち出した彼女のマスク姿が世界を駆け巡った。
一昨年の優勝以来、伸び伸びとチャーミングなその言動はいつも気になっていた。今回、犠牲者の名前を書いたマスクを七枚用意したことを試合前に発表して、一枚残らず身につけて優勝した強さには感動しかない。
ハイチ出身の父を持つ彼女がもし日本で育ったらどうだったろうか。日本のスポーツや芸能界では多くの混血が大活躍しているが、その多く、特にスポーツ界で活躍する黒人系の彼らは小さい頃に虐められた経験を持つという。
異人種の混合は優勢遺伝しやすく、ハーフには美人が多くなると、高校の生物で習ったなぁ!狭い地域の中だけでなく、広い範囲を見渡すことが大事だと教わった。そう言えばウチの孫も漢系中国人とのハーフだからか、六年生でもう父親の身長を超え、中々いい顔してるし、初めっからのバイリンガル。うまく英語も教えられればトリリンガルも可能だなと私は内心期待している。
それはさて置き、大坂なおみが今、日本社会に根強いヘイトの環境を知ったらどう思うだろうか。都知事が関東大震災の朝鮮人被害者への追悼を拒否したことはまだ記憶に新しい。祖母や母親から聞いた大震災の話しには、揺れや街の火災よりも、朝鮮人が井戸に毒を入れたとかいう噂が流れて町の人が寄ってたかって朝鮮人を殴り殺したんだ、という恐ろしいことが語られた。
終戦記念日が近づくと語られる事もだんだん日本人の被害ばかりが多くなって、満洲はじめ中国で、また朝鮮半島で、日本人が何をしたのかを語ることがどんどん減っている。
大坂なおみに拍手を送るとき、ソチ五輪でキムヨナが演じたイマジンをまた思い出し、世界から人種差別を無くすのは夢などではなくて、私たちがすべきことなんだと想いを新たにした。