娘の出産のため手伝いで上京した。
幼い子の世話を中心とした生活は、今までと一変することになった。
4週間が過ぎたころ、赤ん坊と留守番をする。
娘は「2時間は大丈夫だから」と外出したが一時間でぐずりだした。
とりあえず抱き上げるが泣きやまない。
そこで取り出したのが、いつも上の子が遊んでいる音の出る本だ。
がさつな音だが、赤ん坊は聴いている。これはいいかもしれないと
思う間もなく、好みの音でなかったらしい。
ほとほと困り子守唄を穏やかに歌い聴かせる。子守唄に飽きたのは私だった。
次にハミングしたバッハの旋律は、大成功だった。
バッハのメロデイはデジブックで作成するアルバムのBGMに、何曲か使用した。
最近では夫に贈ったヒガンバナ集でG線上のアリアなど。
私自身バッハの曲想を好んでいたのだった。
娘に若いころの私の子育て方針は、封印していたが、音楽が必要だと、提案した。
「こんなのがあるよ」と出してきたのが、ベイビーバッハだ。
コンパクトデスクに収録されている音楽は、
どれも小さな子の耳に合わせて、特別に編曲されたもの。
大人の耳にも優しい響きで、何とも心地よい。
思いつきで口ずさんだバッハが良い結果になった。