写真とエッセーの森

徒然の写真によせて

珈琲

2014-11-29 | つぶやき

青春の思い出はほろ苦く

仕事の手を休め静かにすするコーヒーは、日本茶と違い、また格別の味がする。

日本人の生活に馴染んでしまったコーヒーも、ほんの一昔前まではハイカラとダンデイを象徴する言葉の一つだった。

『両国橋を渡りしが停車場の食堂に来て珈琲を飲む」(小泉千樫『屋根の上』)。大正四年の作、

その当時は珈琲を飲むという言葉は、それだけで十分歌になった時代である。

コーヒーの味と香り、その色合いは、妙に感性をとぎすませたりもする。

「ふるさとの訛りなくせし友といて珈琲はかくまでにがし」(寺山修司『空には本』

喫茶店の隅で語らいもなくもなくて含むカップの液体は、底に互いに心の深淵をのぞかせて苦い。

珈琲や夏のゆうぐれながかりき(日野草城)

盛んに外来語を用いた俳人の作だが「コーヒー」と記したのでは、なあまぬるすぎて

暑さもことさらに耐えがたかろう。

~~~~~~

はなしをかえて少しの間七五三の招待を受けて東京にいきます。

娘の長男五歳の祝いです。

 

 

 


フランス

2014-11-26 | つぶやき

あこがれの地の魅力は今も

ふらんすへ行きたしと思えどどもふらんすはあまりに遠しせめて新しき背広をきてきままなる旅にいでてみん

と歌ったのは、大正時代の萩原朔太郎。彼の希望はかなえられなかった。

「あらゆる芸術で有名だが最高のものはないフランス」と

覚めた目でみていたのは19世紀の英国の詩人で批評家M・アーノルド。

日本人にはあこがれの国だったが、

現代の女性は「フランスパンを小粋に抱く男」などに遇わざる村に住むのどけさや」

築地正子『みどりなりけり』と歌う。

しゃれたフランスの暮らしなど、もう卒業というわけだ。

 

無骨な形から「みたくなし」と東北風にいわれた洋梨の名が美味なラ・フランス。

「ラ・フランスの一つが匂いっころがれり一瞬卓は光体となる」武田静江『現代』短歌』

感覚の世界にフランスの魅力は生きている。

(古今歌ことば辞典)より

 

 

派手過ぎかしら~~


われから

2014-11-24 | つぶやき

自らのつたなさに思い至る

ワレカラは海藻にすむ小形の甲殻類。

このミズカマキリに似た、かくべつ麗しいとも愛らしいとも見えぬ小動物が詩歌に

掬い取られたのは「我から」だれのせいでもない我が心や行いのつたなさゆえにと

[音]が通うからである。

君をなを恨みつるかな海女の刈る藻に住む虫の名を忘れつつ

藻に住む虫の名を忘れ、あなたを恨めしく思いますといい当世風。

ワレカラはほとんど現代の詩から忘れられたが、心に留めておきたい。と

古今歌ことば辞典で言う。

 

イチゲソウに雪が積もる想像。

忘れやすいのでおさらいです。

 


初雪のこと・・・

2014-11-21 | つぶやき

「憂さを知らずに降る新鮮さ」という副題がついている。

「初」をふくむことばを挙げる

初午 初がつお 初雁 初時雨 初穂をはじめ数がおおい

これらに共通する特徴はマイナスの意味合いが少なく、心を和ませる五感に満ちている。

雪は雪国の者にとっては厄介な、陰鬱にさせるものである。しかしその年に初めて降った

雪を「初雪」と言ったとすればマイナスのイメージがかなり薄れているとかんじられる。

『万葉集』の一例

初雪は千重に降りしけ恋しくの多かるわれは見つつ偲ばむ

(初雪よ、どんどん降り積もれと歌って初雪を賞美した歌

紫式部は

降ればかく憂さのみまさる世を知らで荒れたる庭に積もる初雪『古今和歌歌集』

憂さも知らないように降る初雪の新鮮さよと詠んだ。

参考文献(古今歌ことば辞典)

 

無為の日の遊びでした。


松前神楽の舞

2014-11-18 | 行事

S様のお知らせで「松前お神楽の舞」を鑑賞しました。

久しぶりの幽玄の世界に感動しました。

かなり前の高千穂で夜神楽 の鑑賞いらいですから、時間のたつのも

気になりませんでした。ご案内ありがとうございました。

鈴上舞(すずあげまい)

 

 

翁舞(おきなまい)

 

 

注連祓舞(しめはらいまい)

 

三番叟舞(さんばそうまい)  

 

大平楽盆舞(たいへいらくまい)

 

山神舞(さんじんまい)

 

2羽散米舞(にわさごまい)

 

獅子鈴上(ししすずあげ)

 

勢ぞろい 衣装のすばらしさに目をみはる

 


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