“散る花と咲く花がいつもここにある”のブログより移行しています
1話~11話はこちらで公開しています
※このドラマは実在した奇皇后の物語ですが 架空の人物や事件が扱われ
史実とは異なる創作の部分があります
第26話 女の闘い
皇帝タファンは キ・ヤン嬢に花束を渡した
7人の側室候補の中で ただひとり合格したヤンは 続いて身体検査を受ける
トクマンに案内されて行く途中 タンギセの一行が現れた
スンニャンが 側室に選ばれたと知り 動揺するタンギセ!
トクマンは すでに王様の側室と決まった方に 決して無礼は許さない
いかに皇后の兄タンギセであっても 側室の前では無力だ
皇后の命令で パク・オジンを殺したことも
また スンニャン自身に矢を放ち 殺そうとしたことも
全てを知る者が側室では いつか事が公になってしまう…!
『スンニャンは 秘密を守ると言ってきた それを信じるしかない…!』
キ・ヤンの身体検査は トクマンとホンダンがすることになっている
それはもう 問題がないということだ
敬語を使うヤンに対し トクマンは 今よりあなたが私の主だと言う
身体検査が行われる部屋の外に 皇后の姿があった
しかしタナシルリとて その部屋に入ることは許されないのだ
ペガンを除く他の長官たちは この仕打ちに憤慨して帰って行く
我が娘を側室にし 世継ぎを産めば栄華を極められると
皇太后の言葉を信じて 側室選びを提案したのだ
まさか 貢女出身の娘に負けるなど これ以上の屈辱はないと…!
※貢女:高麗(コリョ)が元への貢物とした女性
長官たちは皆 丞相の屋敷の宴に呼ばれているという
ヤンだけが 側室に選ばれたという事実の波紋は 予想以上に大きい
丞相ヨンチョルは 娘を呼び もっと側室を増やすという
タナシルリは あまりのことに憤慨する
側室を阻止して マハの立場を守ろうと 自分がどれだけ苦労したことか!
そして父上は 皇帝の心を得たいという女心を まるで分かっていないと…!
ヨンチョルは 初めて娘に 厳しい言葉を投げかける
今は“女心”を論じているのではなく “政(まつりごと)”を論じているのだと!
マハが1歳になった時 皇帝に譲位を迫り玉座から引き摺り下ろす
そしてマハを皇帝に据え “垂簾聴政”を行うというヨンチョル
それを実現させるため 長官たちから 側室という“人質”を取るのだと
垂簾聴政とは 幼い皇帝に代わり 皇太后や皇后が摂政政治をする
マハの代わりに摂政政治を行うタナシルリは 一国の主も同然となるのだ
その権力に比べたら 皇帝の寵愛など… 取るに足らないものだと…!
父親の言うことを 心から納得したわけではないが
タナシルリは 父の命令に従い 皇太后のもとへ行き 追加の側室を選ぶ
キ・ヤンに続く側室として 新たに選ばれたのは 4人の娘たちだった
雲南行省 オ・ソルファ
嶺北行省 プ・ウヒ
陝西行省 チョク・モラン
四川行省 ソル・ミラン
各行省の5人の娘たちは “才人”という側室の称号に任命された
ペガンは スンニャンの入宮が 先王の恨みを晴らす第一歩だという
そして必ずや丞相一族を滅ぼし ヨンチョルの首を霊前に捧げると…!
一方 遼陽では
ヨンビスが ワン・ユを訪ね挨拶していた
その存在に気づかれた以上 会って話すしかないと判断したのだ
既に ヨンビスの部族は滅ぼされ 逃げ延びたヨンビスは
西域の商団に助けられ この地に妓楼を開いたという
ワン・ユもまた この地の長官になった ペガンに会いに来ただけだと
互いに本心を語ることなく それでも再会を不自然なものにしないよう
それ以上の詮索をすることはなかった
そしてワン・ユは 復位するという話題を避け 商団を作ると言い出す
ヨンビスにも 協力してほしいと話を持ちかける
命の恩人の頼みであれば…と 快く引き受けるヨンビスだった
本意を探られないよう その場は快諾したヨンビス
ワン・ユの行動を厳重に監視せよと 手下に命じていく
すべて承知のワン・ユは シヌたちに 行動には十分に気をつけろという
一方 メバク商団では
フクスが ムソンの剣術が あまりに綺麗過ぎることに気づく
正直に 親衛隊にいたと話すムソン
どうせ女官にでも手を出して 追い出されたのだろうと
ムソンが どう話そうかと決めかねているうち フクスが勝手に察してしまう
そこへ あの黒笠の人物が フクスを訪ねて来る
気配を消し 2人の話を立ち聞きするムソン…!
偽の交鈔が3万枚 今夜のうちに届くという
するとフクスが 今は取り締まりが厳しいから引き取りに行くと言い出す
※交鈔:元の紙幣
『“鷹の岩”で待つよう 指示してください』
『合図はどうする?』
『火矢にしましょう』
ムソンは わざと物音を立ててその場を去る!
曲者だ!と騒ぎ立てるフクスの声に 部下を連れて駆け付けるムソン
そして 部屋の外に忍ばせておいた子犬を捕え 2人の警戒心を解く…!
護衛兵を仕切るムソンに 黒笠のヨンビスは気づかない
ムソンもまた ヨンビスの存在には まだ気づいていないようだ
同じ時 シヌとチョンバギは
盲目の物乞いに扮し 市場の通りを行くフクスの前に出る…!
フクスは無視して通り過ぎたが…
護衛として同行するムソンが 馬上から巾着を放り投げ
今夜の取引を ワン・ユに知らせることに成功したのだった
約束の時間
“鷹の岩”の手前で 火矢を放つワン・ユの一行
3万枚の 偽の交鈔を運ぶのは 町のゴロツキだった
ワン・ユの合図で チョンバギたちが一気に襲いかかる…!
大都では
側室たちを受け入れるしかないタナシルリが
一挙一動を見張れと ソ尚宮に命じていた
キ・ヤンだけを気にしている場合ではないのだ
どの側室が子を産んでも マハの立場が脅かされてしまうと…!
そんなタナシルリに ソ尚宮は
皇帝が 側室のひとりと床入りすることを告げねばならなかった
『へ…陛下はご病気なのに お床入りなど出来るわけがない…!』
子孫を増やすべく 側室が選ばれたのだ
皇太后が床入りを勧めれば それを阻むことなど出来るものではない
後宮では
才人キ・ヤンを ヨンファが 部屋に案内する
ヨンファは ヤンが側室になっても 変わらず高飛車に振る舞う
後ろ盾に皇后タナシルリがいることで
また尚宮として後宮の管理を任され
才人キ・ヤンに対しても 一切礼を尽くす気はないようだ
『私の言葉は すべて皇后様のお言葉と思ってください
今夜…どなたかお1人が陛下に呼ばれます 一応…準備なさっては? アハハ…』
皇太后は 慣例に従えばお床入りの日だが
陛下の病状を思うと 延期してもよいと考えていた
しかし 侍従コルタが タファンの気持ちを察し慣例に従うと答える
そして今夜の床入りには 才人キ・ヤンが適任では?と提案した
以前は 雑用係として世話をしていたので 陛下の心も休まると…
それぞれの才人たちが それぞれに着飾り 呼び出しを待つ
キ・ヤンもまた 落ち着かない様子で部屋を歩き回っている
そこへ トクマンが入って来る
振り向きざまに驚き みるみる涙が滲むヤン…!
『……パク副長!』
今後 仕えることになる“宦官”だと紹介され さらに驚くヤン
死んでもおかしくない状況であった
なのに死なず こうして生かされ“宦官”となったのは
亡きお父上が娘を守れと 死なせなかったのだというブルファ
『新たに授かったこの命を ヤン様に捧げます!』
感動の涙もそこそこに 今は 皇帝のもとへヤンを送らねばならない
ヤンは 寝具にくるまれ ブルファが担いで 皇帝の寝所に入った
自分のせいで もうこれ以上 無実の者たちを殺したくない
そう切り出すタファンに 幼稚で卑怯だと言い放つヤン…!
ならばなぜ自分が この危険な宮中に戻ったのか
ヤンは 自分のために殺された無実の者たちに申し訳ないからだという
ひとりだけ生き延びるのが 申し訳ないのだと…!
『なのに陛下は 無力だからと言い訳し 自分だけ生き残るのですか!』
『丞相は 譲位を企んでいる! 側室たちは“人質”なのだ!
また自分のせいで血が流れぬよう 私は自ら譲位する!!!』
声が出ないと思わせたまま 情けない皇帝のまま退けば…
自分さえ玉座から下りれば… 血が流れずに済むのだと
丞相の一族と闘うのではなく 欲しいものを与えれば
もう 戦うこともなく 血が流れることもないというタファン
ヤンは それ以上何も語らず 袖口から1枚の書面を出した
それは タファンだけが本物と見分けられる“血書”であった…!!!
しかし 字を知らないタファンは 自分で読むことが出来ない
それでもヤンは 父親が遺したものならば 自分で読むべきだという…!
『お父上が 血で綴ってまで伝えたかった思いを知りたいのなら
文字を学び ご自分で読むべきです!』
字を学べば世の中が見え 視野が広くなる
そんな皇帝の周囲には 自然に人が集まってくる
そしていずれは 奪われた玉璽も取り戻すことが出来ると…
『おそばにいて… すべて私がお手伝いします』
人払いして行われた2人の密談であったが 周囲には床入りしたと思わせた
これを知った皇后タナシルリは 激怒を通り越した形相で
側室らの顔をボロボロにしろと命じた…!
今回はヤンだったが いつまた他の側室と床入りするかもしれない
そう思うと すべての側室が憎くなるタナシルリだった
翌朝
才人キ・ヤンのもとへ “洗顔水”が運ばれる
その香りに気づき ヤンは タルタルの言葉を思い出す
香りが良く 毒を持つ薬草が何種類もあり よく側室潰しに使われるのだと…!
ニヤニヤと笑っている雑用係たち
世話係は 高麗(コリョ)出身の者をと願ったが
すべてヨンファに却下され すべての世話係が皇后の回し者だった
ヤンは その世話係の顔目がけ“洗顔水”をまき散らす!!!
みるみる顔が腫れ上がった世話係たちは 泣きながら退散していく
食事に異物を混ぜても 結局食べさせられるのは世話係たち
ソ尚宮は もう懲らしめようがないと音を上げる
しかし タナシルリは諦めない
ヨンファに耳打ちし 指示を与える…!
世話係が 才人キ・ヤンのもとへ行き 朝礼殿へ行く支度を始める
化粧を施し 華麗な装飾を身につけるヤン
それは 才人として当然の身だしなみであったが…
なぜか世話係たちは クスクスと笑っている
朝礼殿に入ると 他の才人たちは皆 質素な格好でかしこまっている
装飾品をつけている者は誰ひとりいない
そこへ 皇后タナシルリが…!
タナシルリさえも 装飾品は身につけておらず 質素な服である
ヤンの姿を見るなり 激怒するタナシルリ!
今日は 皇后の母の命日であるため 着飾ってはならぬと
世話係を通して通達したはずだと…!!!
『私は何も聞いてはおりません!』
『私と母を侮辱するのか!!!』
直ちにヤンは取り押さえられ タナシルリが革の鞭で打つ!!!
服は破れ みるみる背中が裂け血が滲む…!
ヤンが鞭で打たれ続けていると タファンのもとへも報告が入る
怒りに震え すぐにも朝礼殿へ行こうとするが コルタが止めた
口のきけない状況で 何を訴えヤンを救うというのか…!
結局は 何も出来ないタファンだった
はじめはいい気味だとほくそ笑んでいた才人たちも
次第に恐怖の表情になっていく
悲鳴も上げず じっと耐えるヤンと 容赦ないタナシルリ
皇后に逆らえば 明日は我が身の光景に 皆 凍りついている
長い長い苦痛の時が ようやく終わる頃
他の才人たちは皆 逃げるように立ち去っていた
タナシルリは 無反応なヤンを睨みつけ 鞭を放り投げた
激痛に耐えながら トクマンとホンダンに支えられ 気丈に歩くヤン
そこへ タルタルが現れ ペガンが会いたいとの伝言をする
『皇后様の前で涙を?』
『私に 流す涙はもうありません』
『敵というものは 血ではなく涙に対し残忍になるのです
決して 敵を喜ばせてはなりません』
『妙な癖がつきました 苦痛や悲しみより 悔しさが耐えられません
そして 惨めさも我慢できません…!』
『くじけないでください ヤン様は私にとって 最後の誇りなのですから』
1人になり キ・ヤンは むせび泣く…
誰にも見せられない 見せたくない涙であった
しばらくして 皇帝タファンが ヤンの寝所に駆けつける
再び会えたことは嬉しい限りだが まさにこの事態を恐れていたと…!
しかし 力無き皇帝は 守ってやることも出来ないと…
『構わないのです 私が陛下をお守りします』
飾りものの皇帝に過ぎない自分は 何もしてやれないと落ち込むタファン
ヤンは 明日の朝 朝礼殿に来てほしいという
『陛下が どれだけ私の力になっておられるか 見せて差し上げます』
明朝 キ・ヤンは 3人の世話係を呼び出す
3人は 皇后が後ろ盾だということで 強気な態度で居直っている
革の鞭で 容赦なく打ち据えるヤン!
その冷酷な表情に震え上がり 慈悲を請う世話係たち!
そして すべてはヨン尚宮様の指示だと自白する…!
ヨン尚宮… すなわち あのヨンファである
皇后タナシルリに耳打ちされ 今回のことを仕組んだのだ
『ここで選ぶのだ! ここで殺されるか 皇后様の前で自白するか!!!
皇后様を頼って裏切るでないぞ! 私には陛下がついているのだ!』
才人キ・ヤンは ヨン尚宮の部屋に出向き 有無を言わさず頬を打つ!
その後ろで怯え切った世話係たちを見て 青ざめるヨン尚宮…!
ヤンの気性は 昔から知っているヨンファであった
朝礼殿では
皇后への挨拶が行われる場に なぜ皇帝が現れたのか
タナシルリは 口のきけないタファンから事情も聞けず戸惑っている
そこへ 遅れて現れる才人キ・ヤン
すぐにもヤンを怒鳴りつけたいが 皇帝の手前それも出来ない
ヤンは 今回の犯人はヨン尚宮だと口火を切る…!
必死に自分ではないと嘆願するヨン尚宮だが 世話係が自白を始めてしまう
ここでヨン尚宮を庇えば 自分が関与したと疑われかねない
それはソ尚宮とて同じことであった
タナシルリは なぜ蒸し返すのかと ヤンを叱りつけるにとどまった
『ヨン尚宮が画策したことは 皇后様と側室を反目させる行為です
後宮の和をかき乱した罪は 許されません
ここで罰しなければ もう誰も皇后様に従わなくなります
ヨン尚宮に 棒叩き20回を命じて威厳を示すべきです』
皇帝タファンは タナシルリをじっと見つめた
そしてすべての視線が 皇后の決定を待っている
タナシルリは ヤンが要求したそのままを認めるしかなかった
罰を受けるヨン尚宮を 遠くから眺める才人キ・ヤン
それは 皇帝タファンがあの場にいたからこその裁定であった
世話係たちは ヤンの後ろ盾である皇帝を恐れ自白した
タナシルリもまた 皇帝の前で 皇后の威厳を示さねばならなかったのだ
『もう二度と 自分は無力だなどと言ってはなりません』
何が出来るかではなく 存在そのものが力だと ヤンは示してくれた
タファンは そんなヤンを 愛おしく また頼もしく見つめるのであった
メバク商団では
チェ・ムソンが 深夜の商団に忍び込んでいた
そして ワン・ユに命じられた物を発見し シヌのもとへ届ける
ワン・ユは ヨンビスを相手に酒を飲んでいる
いつになく寂しそうな表情に ヨンビスは気づいていた
高麗(コリョ)の廃王を ここまで寂しくさせるは相手は誰なのか…
しかし スンニャンへの想いなど ヨンビスに話せることではなかった
シヌが戻り ワン・ユに耳打ちすると ヨンビスは退室を命じられる
妓楼の主として酒の相手をしても それ以上は踏み込めない
だが 立ち去ると見せかけたヨンビスは チェ・ムソンの姿を目撃し
交鈔を奪った黒幕が ワン・ユであることを知る…!!!
ムソンが手に入れたのは 偽の交鈔の製造場所と取り引きを示す帳簿だった
それによれば 明日 また取引が行われることになっている
ヨンビスは ひとり考え込んでいた
自分が真実を明かせば 間違いなくワン・ユたちは殺される
今になって なぜそれを躊躇してしまうのか…
しかし 躊躇するまでもなく すでにフクスが嗅ぎ付けていた
倉庫を物色するムソンに気づいたいたのだ…!!!
『偽の帳簿を盗ませました 明日の夜 取引が行われると信じています
交鈔を奪いに 必ず奴らが現れるでしょう』
フクスは 全員を皆殺しにすると息巻く!
よくやったと ほくそ笑むことが出来ないヨンビス
なぜこうも気乗りがしないのか… ヨンビスの“女心”が疼く
後宮では
才人キ・ヤンを苦しめようと 次々送り込まれる尚宮や世話係が
ヤンの気の荒さに耐え兼ね 皆 逃げ出してしまい 頭を痛めるソ尚宮
『向こうが挑んできた闘いだ 必ず受けて立つ…!』
皇后タナシルリは 何としてもキ・ヤンを服従させたかった
そこで 以前と同じ薬湯を それぞれ側室たちに配る
即座に飲めなければ 以前のような目に遭うと 側室たちは怯えだす
そんな中 才人キ・ヤンだけが 器に手をかけようともしない…!