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広開土太王 第11話 王子の人望
今にもタムドクの首を斬ろうとする匪賊の頭!
その剣を止めたのは ファンフェという男だった
たかが奴隷に 300両の身代金とは 絶対に何かある
まだ殺さずに待っていれば もっと値が上がるというのだ
『必ず2倍… いや3倍にはなるはずです!』
『何だと?! 3倍?!!!』
『ひょっとしたら 10倍になるやも!
もはや“3,000両”は我が手にある 殺してはなりません』
金づるのタムドクさえ手に入れれば 他の者に用はない
しかし口外され 他の匪賊に知れぬよう 全員を捕えては?というファンフェ
もはや頭は ファンフェの言いなりだった
トルピスとヨソッケは ここで戦っても勝てないと悟り 言いなりになる
しかしタムドクは 同じ高句麗(コグリョ)人を売るのかと叫ぶ!!!
『俺たち罪人は 国を追放された“匪賊”なんだ!
捕まればどうせ殺される! 国なんて関係ないんだよ!!!』
隠れ家に着くと ファンフェが タムドクに剣を突き付ける!
なぜ後燕の皇子が 身代金まで懸けて捜すのか その正体が気にかかる
するとヨソッケが横入りし こいつはただの狩人だという
“高句麗(コグリョ)の王子”だと聞いて あり得ないと笑ったが
身代金の額から言って 本当なのかもしれない
そう思ったヨソッケが 咄嗟に庇ったが ファンフェは信じない
たかが奴隷にも ただの狩人にも 300両の身代金は有り得ないのだ
するとファンフェが 柵城(チェクソン)周辺の村へ行き
タムドクの正体を突き止めて来るという
真の正体を知らねば 後燕の皇子に対し 値を吊り上げられないと…!
村で タムドクの人相書きが貼られているのを目撃するファンフェ
そこで タムドクを捜しているのは後燕の皇子だけではないと知る
貼り紙には “行方を知る者は柵城(チェクソン)に知らせよ” とあったのだ
一方 奴隷商の根城では
慕容煕がしびれを切らし ムカプを怒鳴りつけている…!
そこへ 見張りの目を盗み忍び込んだファンフェが 聞き耳を立てる
なぜ“高句麗(コグリョ)の王子”だと隠して捜すのか…
いくら特徴を書いても それだけで捜すのは難しいというムカプ
『高句麗(コグリョ)の王子を300両で捜せるか! 10倍の値でも難しい!
この後燕の皇子が 高句麗(コグリョ)の王子を狙っていると知れたら?
高句麗(コグリョ)の匪賊が 王子を庇うこともある!』
それについては心配無用!というムカプ
金のためなら何でもするのが匪賊! 庇うことは決してないと断言する
そこまで盗み聞いたところで ファンフェは見張りに見つかってしまう!
ムカプは 慌てて逃げ出す後姿が ファンフェであると気づく…!
隠れ家に戻ったファンフェは 何も分からなかったと報告するが
大々的に報じられたタムドクの貼り紙は 既に頭の手にあった
高句麗(コグリョ)の王子なら 1万両の価値はあると言い出す
皆に握り飯が配られる中 “尊いお方”にはお膳が用意された
その扱いで ヨソッケたちは タムドクの正体が知られたと気づく
だが頭は タムドクが王子と知っても 乱暴に殴りつける!
命こそ奪わないが 丁重に扱う気はさらさらなかった
『無礼者め! だがお前のような匪賊を野放しにしたのは私の罪!
このような目に遭うのは当然のことと理解しよう!
だがよく聞け! 私を売った金で生涯を生きるか
それとも 私と一緒に柵城(チェクソン)へ行くか!
たとえ一度でも 高句麗(コグリョ)の民だったなら
再び高句麗(コグリョ)の兵士になる機会を得るのだ!!!』
罪を犯し国を追われ 匪賊に身を落とした頭は 容易に信じない
しかしファンフェは 必ず約束を守るという言葉に 心が揺れ始めていた
王子と知り 1万両でも請求できると豪語する頭
しかし 柵城(チェクソン)へ行って 兵士になれるという保証はない
後燕の皇子に引き渡し 確実に300両を得れば それでも一生安泰なのだ
匪賊となり 辛酸をなめ尽くした頭には 目先の300両の方が重要であった
ここでトルピスが 涙ながらに叫ぶ
自分たちは 王子を守り名誉の死を遂げられるが
王子を売るお前たちは 一生逆賊の汚名を着て生きるのだと…!
殴りつけられるトルピスを庇い ヨソッケも抗議する!
この俺のような者でも 王子様に救われ改心したのだと…!
奴隷商の根城では
ファンフェに盗み聞きされたと知り 怒り狂う慕容煕!
奴はきっと タムドクを捕えていると…!
慕容煕が 隠れ家に迫っているとも知らず
ファンフェは タムドクたちの話を盗み聞く
王子と確信したヨソッケとトルピスは 急に敬語を使いかしこまった
そんな2人に 俺たちは友だというタムドク
『いいか たとえ貴族の息子でも私の友とは呼ばせない
お前たちだからこそ 私の友と呼べるのだ
私のために命を懸けてくれた だからこそお前たちは私の友なのだ!
大臣も将軍も成し得なかったことを お前たちはしてくれた
だから自分を蔑むな! お前たちだけが 私の友の資格を持つ!』
このまま慕容煕に差し出されれば タムドクの命はない
ヨソッケとトルピスもまた 奴隷の身分に逆戻りするか 殺されるかだ
しかしタムドクは 死の瞬間まで諦めるなと 一同を励まし続ける…!
『我々はまだ ここにこうして生きている! 決して諦めるな!』
タムドクの言葉に励まされ 決して死ぬものかと誓う一同
その姿に満足し笑い出すタムドク 皆もまた つられて泣き笑いするのだった
翌朝
タムドクたちは 奴隷商の根城に向かって護送された
命からがら逃げた道を 匪賊に囲まれて移動する
ヨソッケとトルピスは 途中で用を足したいと言い出し
道から外れ草むらに入ると そのまま見張りを倒し武器を奪う…!
そしてたった2人で戻り 王子を解放しろと叫ぶのだった
あまりに命知らずな行動を タムドクが止める
しかし 他の無力な者たちも黙ってはいなかった
タムドクの周りを囲み 人柱になって守ろうとする…!
怒り狂った頭は 王子以外を皆殺しにしろと叫ぶ!!!
たとえ斬られようとも 王子を守れと絶叫する者たち!
その時!
ファンフェが 頭の喉元に剣を突き付けた!!!
突然の仲間割れに タムドクたちも戸惑う
『身を隠そうとして 匪賊に身を落とした私だ
しかし 他国の皇子に王子様を売って 国を裏切ることなど出来ない!!!』
ファンフェは 辺境の部隊からの脱走兵だった
生き延びるために匪賊になったが このまま匪賊として生きるつもりはない
共に脱走兵として逃げ延びた仲間に向かって 必死に呼びかける!
王子様と共に柵城(チェクソン)へ行き 兵士に復帰しようと!!!
後ろ手に捕えていた頭を突き離し 自らの剣をも放り投げるファンフェ
そして仲間たちに 自分で選べと叫ぶ!
剣の脅しで従わせるのではなく どう生きるのかを自分で選択させるのだ
汚い金で一生を楽に生きるか 王子と共に行き 再び兵士に戻るのかを…!
長い時間を迷っていた者たちが それぞれに剣を拾い始めた
『俺は 子供たちが待つ高句麗(コグリョ)へ帰る!』
『俺もだ! 王子様に向かって剣を抜くことは出来ない!』
甘い言葉に騙されるなと叫ぶ頭!
戻れば その場で逆賊として殺されると…!!!
『私は 高句麗(コグリョ)の民を殺したりはしない!』
頭だけが その言葉を信じ切れず 最後は王子に斬りかかり
ファンフェによって斬り殺されてしまった
皆で柵城(チェクソン)へ向かおうとしたその時!
トルピスが 馬の蹄の音が近づいていることに気づく
一向は ファンフェの案内で安全な道に逃げ込んだ…!
案内された洞窟には 靺鞨(マルガル)族の武器が隠されていた
ファンフェによれば それらの武器は 後燕から手に入れたものだろうという
なぜ後燕の皇子がこの地に来たのか…
靺鞨(マルガル)族に武器を運び 奴隷市場に立ち寄ったのではないかと…!
『この武器の他に 馬が60頭ほどいます
高句麗(コグリョ)のために役立ててください!』
身を隠すために匪賊になったというファンフェ
タムドクは この者が何者なのかと興味を持つ
『私の名はファンフェと申します
李春城(イチュンソン)の城主に仕える副将でした
無実の罪を着せられ 匪賊になって生き延びました!
どうか 私と部下たちを受け入れてください!!!』
そこへ 偵察に出ていたファンフェの部下が戻る
ムカプと慕容煕は 匪賊の隠れ家を焼き討ちしたが
慕容煕だけは そのまま後燕に戻るようだという
タムドクを諦め 突然に後燕へ戻るなどあり得ない…!
『戦が起きるとのことです!!!』
『何? 戦だと?!!!』
靺鞨(マルガル)族は 手に入れた武器で 柵城(チェクソン)へ向かい
戦を始めようとしていたのだった…!
2万の兵を率い 柵城(チェクソン)を攻撃していた!!!
高句麗(コグリョ)の王宮では
いつの間にか勢力を拡大していた靺鞨(マルガル)族に驚き
たった5千の兵力しかない柵城(チェクソン)が奪われれば
国を揺るがしかねない事態だと 慌てて軍議を開く…!
そして大幢主(テダンジュ)ヨソイが 援軍を率い向かうこととなる
※大幢主(テダンジュ):現在の国防長官
タムドクは 寝具の布で粗末ながらも軍旗を作り
結成したばかりの“我が軍”を 天(チョン)軍と命名する
そして 忠誠を誓ってくれたファンフェの部隊を仲間に加え
高句麗(コグリョ)を守るべく進軍しようとしていた…!
『お前たちはもう奴隷や匪賊ではない!
私と共に戦う天(チョン)軍の兵士となったのだ!
柵城(チェクソン)に向かい 靺鞨(マルガル)族を撃退しよう!!!』
靺鞨(マルガル)族の砦では
大族長ソルゲチュのもとへ ソルドアンが帰還していた
ソルゲチュは ソルドアンの叔父であり 亡き父の跡を継いでいた
高句麗(コグリョ)人に殺された父の恨みを晴らすべく
柵城(チェクソン)を手に入れ 靺鞨(マルガル)の国を再興しようと!!!
柵城(チェクソン)では 城主カンデが 必死に持ちこたえ
援軍はいつ来るのかと喘いでいる!
しかし 国内(クンネ)城からの援軍は 豪雨で足止めされ到着していない
援軍を得る前に 城が陥落しそうな事態に陥っていた
兵を率い現れたソルドアン!
最後の柵を突破すれば 柵城(チェクソン)の陥落は時間の問題である
その時!!!
タムドクが 新たに結成した軍を率い 駆けつける!
“天(チョン)軍”の旗印を見たカンデは 見たことのない軍名に驚く
しかし 援軍であることは間違いないようだ
息を吹き返したように反撃する高句麗(コグリョ)軍!
激しい戦いの中 ついにタムドクとソルドアンが対峙する!!!