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武士ペク・ドンス 第11話
『王妃様 いよいよこの時が参りました』
『天命には逆らえぬ 肝に命じよ 失敗は決して許さない…!』
思悼(サド)世子の命を狙うのは 王妃と老論(ノロン)派の一味だった
その陰謀渦巻く宮中で ペク・ドンスと沙彌尼が再会する
言葉を交わそうとしたその時 怪しい影が近づく…!
咄嗟に逃げる沙彌尼を庇い ドンスも一緒に走り出す!
沙彌尼を安全な場所へ逃がし 囮になって追っ手をまくドンス
ようやく2人になると ドンスの質問攻めが始まった
なぜ青厳寺ではなく 宮中にいるのか
思悼(サド)世子とは どんな関係なのか
なぜ怪しい影に追われているのか
ドンスの質問に簡潔に答えながら その胸の玉佩に気づく沙彌尼
それは ドンスが少年の頃 両班(ヤンバン)の少女が落としたもので
天(チョン)に斬りつけられた時 命を守ってくれたものであった
※玉佩:儀式の際 礼服に付ける玉製の装身具
※両班(ヤンバン):朝鮮時代の上流階級
それは自分のものだという沙彌尼
あの時の少女こそ ここにいる沙彌尼ユ・ジソンなのであった
兵曹判書(ピョンジョパンソ)ホン・デジュのもとに届けられた「北伐の計」
それは 黒紗蝋論(フクサチョロン)から清国に渡されるべきものだ
デジュは その前にしばし貸していただきたいと 天(チョン)に請う
世子を倒すためには どうしても必要であった
※兵曹判書(ピョンジョパンソ):軍事を司る官庁の長官
※黒紗蝋論(フクサチョロン):清の殺人集団
※「北伐の計」:孝宗(ヒョジョン)王が残した北伐の兵法書
天(チョン)が望むのはあくまでも本物
“生きている「北伐の計」”であった
必ず捕え 引き渡すと約束するデジュであった
天(チョン)が砦に戻ると 地(カオク)の表情が暗い
カオクには分からなかった
あれほど自由を欲していた天(チョン)なのになぜ…
その行動は 望む生き方とは 到底相反するものなのだ
一方 ドンスとウンは 見事に任務を果たし熢燧台に戻っていた
宮廷で 全てを知った2人は ユデに脅されたことが許せない
ここに派遣される期間は たったの10日間なのだ
そうとは知らず 二度と宮中へは戻れないと絶望していたドンス
きっとユデは知っていたのにと思うと どうにも怒りがおさまらなかった
さらにウンが なぜ将軍だった方が歩兵に?と切り出す
ユ・ソデの前職は 兵馬節度使という 従二品の将軍だったのだ
※兵馬節度使:各道の軍を統率した武官
分かったらひざまずけというユデに 今は何者で?と返し
どんな命令も聞くものか! と怒るドンス
邪険に扱われても なぜかソデは嬉しそうだった
命懸けの任務を果たしたドンスが いつか大業を成すような気がしていた
チャンミの酒幕(チュマク)では
ドンスが命を落としそうだったという話に 驚くフクサモ
わざわざクッパを届けに行ったチャンミたちに 感謝してもし足りない
“女の心遣い”がどれだけ大切か… と婚姻を勧めるチャンミ
しかし その想いがフクサモに届くことはなかった
チャン・ミソが チャンミの料理を グァンテクのもとへ運ぶ
亡きテポの娘を見つめ 座れと促す
ミソはもう二十歳になっていた
親友の娘は 自分にとっても娘のようだと言われ
亡き父を思うミソだった
熢燧台では
いよいよ宮廷に戻れることになり 3人は感慨深く夜空を眺める
翌朝 世話になったソ・ユデに別れを告げる
最後まで憎まれ口を言い合うユデとドンス
ウンだけが 礼を尽くして頭を下げた
再び1人きりになったユデ
するとそこへ 役人が兵士を引き連れ現れた…!
ユデは突然 “謀反人”の罪で捕えられてしまう!!!
その頃 ファン・ジンギは
聞き分けのないジンジュを叱りつけていた
いくらドンスに会いたいとはいえ “盗賊”が宮廷に行くのかと…!
ペク・ドンス ヨ・ウン ヤン・チョリプの3人は
思悼(サド)世子を護衛する任務に就くこととなる
いつものように軽口を叩くドンスを ギロリと睨むイム・スウン
もはや ドンスのはったりが通用するような状況ではなかった
たとえ宮廷内であっても 世子は 常に危険と隣り合わせなのだ
兵曹判書(ピョンジョパンソ)ホン・デジュは
人(イン)テウンが失った左腕に 鉄製の義手を用意する
そして 世子側につく礼曹判書(イェジョパンソ)の暗殺を命じた
※礼曹判書(イェジョパンソ):儀礼や祭事・外交などを担当する官庁の長官
同じ時
天(チョン)は 東宮殿に忍び込み 思悼(サド)世子と対峙する
殺しに来たのではなく 話したくて来たという天(チョン)
『“北伐”などという叶わぬ夢など 捨ててはいかがです?
この朝鮮が 清国を倒すなど 可能でしょうか』
『この私を侮っているのか?』
『だというなら 既に殺していたでしょう』
思悼(サド)世子は 天(チョン)に 人間らしく生きるべきだという
それは 世子に反する考えの者は すべて人ではないということか…
ならば自分にとっても世子は 獣のごとくであるという天(チョン)
どんな問答をしようと “北伐”を諦めるつもりはないという世子
『頑固な方だ…』
次に会う時は 剣を向くことになるだろうと予告し
天(チョン)は 音もなくその場から立ち去るのだった…!
義禁府(ウイグンブ)では
連行されたソ・ユデが 惨い拷問を受けていた
ユデを捕えたのはホン・デジュである
世子が 自ら軍を動かしたという事実を ユデに白状させるためであった
※義禁府(ウイグンブ):重罪人を扱う検察のような機関
咸鏡道(ハムギョンド)の軍は あくまでも王様の軍であり
世子は関与していないというユデ
ユデの自白が取れなくても デジュには何の問題もなかった
世子が ユデと共謀し謀反を図ったと 王の前で報告したのである…!
ホン・デジュが ここまで強気に出るのは “確たる証拠”があるからだ
沙彌尼のもとから持ち帰った あの「北伐の計」の地図が…!
老論(ノロン)派は この機に 世子を追い詰めるつもりであった
知らせを受けた世子は すぐにもユデに会うという
このまま ユデを犠牲にすることだけは出来なかった…!
しかし 断じて会ってはならないと イム・スウンが止める
兵曹判書(ピョンジョパンソ)が ここまで強硬なのには何か理由があると…
ハッとして 書棚の中の箱を開ける世子!
沙彌尼の身体から写し取った地図が 白紙の巻物に代わっていた…!!!
あの芸妓クヒャンが 沙彌尼の入れ墨を消す際に持ち去ったのだ
ホン・デジュは 世子が北伐を企んでいると弾劾!
朝廷の場に呼ばれていた清の使臣が これは謀反であると叫ぶ…!
デジュが示す“謀反”とは 朝鮮の王に対してではなく 清国に対してであった
思悼(サド)世子は 朝鮮は清国の属国ではない!と言い放つ
かつて 清国の領土の半分は 朝鮮の領土であったと
それを取り戻す行為は 決して謀反ではないと…!!!
三田渡(サムジョンド)の盟約を持ち出す清の使臣
丙子胡乱の屈辱について 口論する使臣と世子
それに耐え切れなくなったのは ほかでもない英祖(ヨンジョ)であった
※三田渡(サムジョンド)の盟約:
朝鮮第16代国王 仁祖(インジョ)が清の皇帝の前で三顧の礼を行い
明の属国から転じ 清の属国となった
その時 ひとりの重臣が割って入る
世子の衣を指さし 七爪龍の龍袍は 皇帝だけが許される紋様だという
北伐が云々という前に 皇帝の龍袍を身に纏った時点で“大逆人”だと…!
ふと 自身の衣の刺繍に目をやり 蒼ざめる世子!
それは 貞純(チョンスン)王妃から贈られた龍袍だった
母親から贈られた龍袍を ただ息子が身に纏っただけ…ではなかったのだ
英祖(ヨンジョ)は 臣下が見守る中 世子を廃庶人とした
そして その場で靴を脱ぎ 冠を取るよう命じたのである
※廃庶人:身分と特権を奪い庶民にすること
思悼(サド)世子の目に みるみる涙が滲んでいく
世子である人間が 臣下の前でこのように言い渡されることは
“公開処刑”とも言える 屈辱的な仕打ちであった
老論(ノロン)派の者たちは 心地よい宴の後のようにはしゃいでいた
その頂点に立つホン・デジュは 大空に向かって高笑いする
貞純(チョンスン)王妃は 英祖(ヨンジョ)王に対し
世子への王命を取り消すよう願い出る
今回の企みの首謀者であり 老論(ノロン)派の長として暗躍する王妃
弾劾された龍袍も こうなることを念じて贈ったのである…!
いかにも 息子を思う母を演じる貞純(チョンスン)王妃
年老いた王のもとへ嫁いだ王妃には 跡目を継ぐべき子がない
英祖(ヨンジョ)亡き後の“居場所”を求め 老論(ノロン)派と結託し
世子を 亡き者にしようとしているのである
ドンスたちは 世子の身に何が起きたのかも知らず
沙彌尼を 宮外に逃がす任務を任されていた
山中に逃げると フクサモと仲間たちが出迎えてくれた
ようやく壮勇衛(チャンヨンウィ)の修行を終え 入宮する予定の仲間たち
そこへ あの人(イン)テウンが現れた…!
テウンの標的は沙彌尼だった
ホン・デジュは 絵に起こした地図と共に 生きた「北伐の計」を手に入れ
思悼(サド)世子に とどめを刺そうとしているのであった
若者たちを守ろうと 自ら剣を抜くフクサモ!
しかし次の瞬間 テウンの短剣が脇腹に突き刺さる!!!
倒れたフクサモを庇い 剣を抜く若者たち!
いかに壮勇衛(チャンヨンウィ)の精鋭とはいえ テウンは強い
このままでは 皆殺しになるかもしれない…!
ウンは 黒紗蝋論(フクサチョロン)での因縁から 戦いを挑もうとする
すると背後から 剣仙(コムソン)キム・グァンテクが現れた!
グァンテクは以前 テウンの指を落とし 次には腕を斬り落とした
なぜあの時 命を奪わなかったかと 後悔するグァンテクだった
負け惜しみの言葉を吐き捨て 姿を消すテウン…!
今はまだ グァンテクを相手に出来るほど回復していないテウンなのだ
慌ててフクサモのもとへ駆け寄るグァンテク!
大丈夫だと強がりを言うフクサモだが 傷は深いようだ
義禁府(ウイグンブ)の牢に イム・スウンが訪れ世子に挨拶する
王に呼ばれた以上 無事に済むとは言えなかった
もはや 思悼(サド)世子を守り抜くことは難しい
フクサモは ファン・ジンギの根城に担ぎ込まれた
すぐに手当てを受けたが 今夜が峠だというジンギ
父親代わりとして育ててくれたフクサモに付き添い 涙が止まらないドンス
そんなドンスに寄り添い そっと励ます沙彌尼ユ・ジソン
こんな事態でも 世子から命ぜられた任務は果たさねばならない
この砦で 何としても沙彌尼を守り抜かなければ…!
ジンジュに沙彌尼を託し ジンギは フクサモの看病に専念する
しかし 瀕死のフクサモを見ていられず 外へ飛び出すドンス
誰もが その嘆きを思いやり 言葉もかけられなかったが
グァンテクは 厳しい言葉でドンスに気合を入れた
ぶつけようのない怒りを吐き出すかのように 戦いを挑むドンス!
自らの片腕と引き換えに その命を助けたのだ
グァンテクにとっては かけがけのないドンスの命である
そして 生き延びたからには 男として立派に生きてほしいと
容赦なく剣の相手をするグァンテクだった
『分かったか 今のお前の実力では誰にも勝てぬ!』
『では 私に戦い方を教えてください フクサモの敵を取ります!!!』
『いかに剣の腕を磨こうと “怒りの剣”では何も斬れぬ!』
グァンテクは 徹底的にドンスを打ちのめした
そして己の実力のなさを 思い上がりでしかない自信を打ち砕く!
『剣は心で動かすのだ ただ切実な思いがあればこそ 剣を操れる』
ドンスに続き ウンが 戦いを挑む
ウンが操る剣に 恐ろしいまでの殺気を感じ取るグァンテク…!
ようやく落ち着きを取り戻したドンスに 沙彌尼が近づく
そして 自らの生い立ちを話し始めた
生まれた時から 沙彌尼になる運命を負っていたジソン
ただ両班(ヤンバン)のお嬢様としてではなく 孤独な日々を送ってきたのだ
『世子様が守ってくださらなければ…』
『今後は 俺が守ってみせます いや その…
世子様は 宮廷を離れられないので』
ジソンは ドンスの気持ちに感謝しながらも 丁重に断った
ファン・ジンジュが ドンスに想いを寄せていると知り 気を使ったのだ
これ以上 自分のせいで誰かが傷つくのは見たくないと…
ドンスは 運命なんて信じないという
人が運命で生きるというのなら 今の自分は四肢が不自由なままだったと
運命なんてぶち壊せることを 自分が証明してやると言い放つドンス!
ファン・ジンギが 懸命にフクサモを看病していた
ドンスは その枕元に寄り添い 祈りを込めて手を握る
両親のいないドンスにとって 身内と呼べる人はフクサモだけだった
すると…
その思いが伝わったのか フクサモの意識が戻る…!
同じ時
イム・スウンは 英祖(ヨンジョ)王のもとへ呼ばれ
ヨ・ウンは 天(チョン)に会う
キム・グァンテクと剣を合わせ どこかで勝てる気がしているウン
しかし天(チョン)は そんなに甘い相手ではないという
『俺が あいつと剣を交えない理由はただひとつ
奴は どんな時も全力を出さない たとえ俺を相手にしてもだ』
その理由は何かと聞かれ 強いからだと答えるウン
しかし 天(チョン)の考えは違っていた
天(チョン)は グァンテクの剣には“殺気”がないという
殺気のない者は決して勝てないし そんな奴に勝っても嬉しくないと
『そこで命令だ 奴を殺気立たせてみろ!』
天(チョン)の指令を受け ウンは フクサモの肉屋へ向かう
そこには 壮勇衛(チャンヨンウィ)の仲間が2人寝入っている
共に修行し 明日はいよいよ入宮する仲間である
ウンは 暗闇の中で静かに剣を抜く
そして…! 容赦なく仲間に剣を突き立てた!!