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広開土太王 第7話 猛毒
戦略家プンパルは この猛毒でタムドクを殺し 北魏に罪を着せるという
そうすれば 北魏と高句麗(コグリョ)の同盟が崩れ去ると…!
※北魏:後燕と国境を隔てた後燕の敵国
狂わんばかりに激怒し 冷静さを欠いていた慕容宝(モ・ヨンポ)も
タムドクを亡き者に出来るならば どんな侮辱にも耐えてみせるという
皇太子として 我が国の旗を踏むということは 実に耐え難い
しかし プンパルの説得を受け 今にも歩もうとしたその時…!
高句麗(コグリョ)の王は 後燕の使臣には会わないと告げられてしまう
明日 北魏の使臣に接見した後であれば 時間を作ることは出来ると言われ
それでは遅すぎる!と叫ぶプンパル!
国相(ククサン)ケ・ヨンスは たとえ後燕の使臣が先に到着したとしても
北魏の使臣は こちらが招いた貴賓であると言い放つ…!
※国相(ククサン):現在の国務総理
『そなたらは 敗戦国として謝罪しに来たのであろう!』
慕容宝(モ・ヨンポ)は 皇太子であることも忘れひざまずく!!!
ただひたすらに謁見を請う熱意に負け 謁見を許すイ・リョン王
後燕皇帝 慕容垂(モ・ヨンス)からの親書には“不”とだけ記されている
この不可解な親書にどんな意味が込められているのか…
慕容宝(モ・ヨンポ)は 国境を越えたことに侵略の意味はなく
ただ契丹(コラン)族を掃討すべく 通ったに過ぎないというのだ
些細な争いで 後燕と高句麗(コグリョ)の信頼関係が崩れることは
我が皇帝も望んでいないと…
そこまで話したところで イ・リョン王に一喝され凍りつくプンパル…!
多大な損害が生じた今回の戦いは 決して“些細な争い”では片付けられない
後燕は 高句麗(コグリョ)の民を 生きたまま焼き殺しているのだ…!!!
激怒して我を失い 直ちに使臣を捕えよと命ずるイ・リョン王!
それを必死に鎮めようとするケ・ヨンス…!
使臣として来た皇太子を投獄したとなれば 国の権威が失墜する
しかしここで 慕容宝(モ・ヨンポ)もまた 言い返す!
皇太子である自分を投獄すれば 後燕の皇帝が黙っていないと!!!
タムドク殺害の為 どんな侮辱にも耐えると誓ったが
本来の性格は変えようもなく 皇太子としての誇りだけが前に出る
まるで脅迫するような言動に激怒し 直ちに首を撥ねよと叫ぶイ・リョン王!
プンパルは 何とかこの事態を収拾しようと 誠心誠意謝罪する
ケ・ヨンスは 今すぐ陛下に謝罪しろと叫ぶ!
一介の側近の謝罪ではなく 皇太子の謝罪が必要であった
ひれ伏したままのプンパルが 必死に目くばせし謝罪をと請う!!!
状況を把握した慕容宝(モ・ヨンポ)が ようやく謝罪を始めた
それでもイ・リョン王の怒りは収まらない
言葉でこそ謝罪の意を示しているが その目つきはギラギラと
悔しさを滲ませて この国の王を睨み付けているのである…!
どうにか和解に持ち込みたいケ・ヨンスは 賠償問題に言及する
そこで慕容宝(モ・ヨンポ)は余裕の表情になり
高句麗(コグリョ)の求めに応じ 十分な賠償をすると口にし
被害のほどを把握するためにやって来たのだと豪語した…!
ひと先ず落着を見て 使臣館に戻る途中
やはり高句麗(コグリョ)には 再び戦う余力がないと見る慕容宝(モ・ヨンポ)
だからこそ 国相(ククサン)が必死だったのだと
それよりプンパルは 皇太子が賠償問題を勝手に約束したことが気にかかる
しかし慕容宝(モ・ヨンポ)は まったく意に介さない
北魏との同盟を妨げることで そんなものはいつでも反故に出来ると…!
タムドクを殺し 北魏の使臣に濡れ衣を着せることは
他の側近には明かさない 慕容宝(モ・ヨンポ)とプンパルだけの密約であった
この計略が失敗すれば 生きて戻ることは出来ない…!
同じ時 第1王子タムマンが 弟タムドクに会っていた
後燕の皇太子に 晩餐に招待されたのだという
タムドクは その誘いは断るようにと告げる
しかしタムマンは 互いに次期王となる者同士であれば
将来の為に会っておくべきだという
ならば自分も同席すると言い 兄の考えを尊重するタムドクだった
使臣館に着くなり タムドクは不機嫌になる
自分が同席することは 急遽決めたことなのに
すでに3人分の主席が設けられているのはなぜかと…!
慌ててプンパルが 実は自分の分の席だったと釈明する
まずは2人の王子に酒を… と勧める慕容宝(モ・ヨンポ)
その酒を まずは自分から注ごうと タムドクが酒瓶を奪い取る
『この酒は 戦死した高句麗(コグリョ)の兵と民の魂を鎮める
鎮魂の思いを込めたもの』
『実に情け深い! では私の弟の魂も鎮めてほしい…!』
タムドクにより 弟を目の前で殺された慕容宝(モ・ヨンポ)の恨みは深い
一触即発の慕容宝(モ・ヨンポ)とタムドク!
飲ませるつもりが 酒を注がれて飲むことになってしまう慕容宝(モ・ヨンポ)
するとタムドクが 盃に酒を溢れさせこぼしてしまう…!
慌てて盃を引っ込める慕容宝(モ・ヨンポ)!
こぼれた酒が銀の匙にかかり その匙を睨み付けるタムドク
しかし 匙の色は変化せず 毒を疑っていたタムドクの疑惑は晴れた
酒宴を終えて使臣館を出る2人の王子
見送る慕容宝(モ・ヨンポ)が それぞれに贈り物の品を渡す
後燕で特別に作らせた 音色の美しい笛だという
2人の王子を見送ると プンパルがほくそ笑む
これでタムドクは すでに死んだも同じことだと…!
一体 どのような策でタムドクを殺そうというのか…!!!
やがて夜も更けて
しきりに使臣館の外の様子を窺うプンパル
慕容宝(モ・ヨンポ)は なぜ笛の音が聞こえないのだと怒鳴り散らす!
タムドクの笛には 猛毒が塗られているのだ
口についたその瞬間に死ぬほどの猛毒である
第2王子が死ねば 王宮内が大騒ぎになることは間違いないのに…!!!
明日 到着する使臣の寝所に この猛毒を密かに置くというプンパル
歌舞を好む高句麗(コグリョ)の者が 笛を吹かずに放置することはないと
必ずやタムドクは 美しい音色の笛を吹くと豪語するプンパルだった
小亭の池のほとりで 笛を吹こうとしているタムドク
するとそこへ 幼馴染のヨナ姫が現れ声をかける
いかにも見事な笛に気づくヨナ
タムドクは ヨナを相手に自分の中の不安を口にする
敵国の皇太子に 突然 宴席に招かれ この笛をもらったと
憎んでも憎み切れないであろう自分に笑いかけ 贈り物をくれたのだと…
ヨナの答えは明確であった
そんな者が贈る笛の音が 美しいはずがないと
たとえその笛を吹いて美しい音色が出ても 死んだ者の魂は癒されないと…
ヨナの言葉に迷いが吹っ切れたタムドクは 池に笛を投げ捨てた…!
すると翌朝…!
池の魚が大量死しているとの報告が入る!!!
自分が投げ捨てた笛のせいだと すぐに気づいたタムドクは
ハッとして兄のもとへ駆けつける!
まだ笛は吹いていないという兄タムマンに安堵し 使臣館へ!!!
兄から預かった笛を 慕容宝(モ・ヨンポ)に差し出し
自分は武骨者で吹き方を知らないから 吹いてみせてくれと…!
これに 激しく動揺したのは プンパルの方であった
無理やり 慕容宝(モ・ヨンポ)の口に 笛を加えさせようとするタムドク!
プンパルは 身を挺してこれを防ぎ 皇太子を守ろうとする!!!
さらにタムドクは 怒りを剥き出しにする慕容宝(モ・ヨンポ)に
力一杯の頭突きを食らわせ すべてお見通しだと怒鳴りつけた!
騒ぎを聞きつけたケ・ヨンスと 大臣らが駆けつけ タムドクを抑え込む
他国の使臣に それも皇太子に暴力を揮うとは…!
自分が捨てた笛で 池の魚が死んだのだと!
この者らは 笛に毒を塗って王子の自分を殺そうとしたと叫ぶタムドク!
その時…!
疑いを晴らそうと プンパルが笛を奪い取り吹き始めた!!!
何事もなかったように タムドクの手に笛を渡し 余裕の表情のプンパル
毒を塗ったのは タムドクの笛だけだった
池に捨てたのならば 今持っているのはタムマン王子のものと
咄嗟に気づいたプンパルの機転であった
ケ・ヨンスは タムドクを睨み付け 賠償問題について話し合うとして
慕容宝(モ・ヨンポ)の一行を連れて行ってしまう
この経緯は すぐに大将軍コ・ムの耳に入った
たとえ王子の推察が正しくとも 後燕の謀略が真実だとしても
他国の使臣に暴力を揮うことは間違いだというコ・ム!
『王子は 何の理由もなく暴力を揮いません!!!』
きっと笛に問題があったのだと タムドクを慕う将軍らが抗議する
しかし何の証拠もないものを 笛のせいだと断定することは出来なかった
仮に 池に投げた笛から 毒が見つかったとしても
それが慕容宝(モ・ヨンポ)の仕業だとは言い切れないのだ
それでも 一国の王子が暗殺されかけたのに…! と憤る将軍たち
コ・ムは一喝し 全員を黙らせた!
しかし後燕のやり口に 誰より怒り心頭なのは コ・ム自身なのである
国相(ククサン)ケ・ヨンスは イ・リョン王に謁見し
一刻も早くタムドク王子の処遇を決めるべきだと進言する
『東北の柵城(チェクソン)へ行かせてはどうでしょう?』
柵城(チェクソン)とは 後燕と真逆の方向にある僻地である
何かにつけて後燕の皇太子とぶつかるタムドクを 引き離すというケ・ヨンス
『柵城(チェクソン)か… あの柵城(チェクソン)なのか』
イ・リョン王は 柵城(チェクソン)に対し特別の思いがあるようだ
よりによって 彼の地に王子を送ることになるとは…と
弟に対する処分を聞き 激怒するタムマン王子
国境もなく 靺鞨(マルガル)族が略奪を繰り返す荒れた僻地に
なぜ弟を送らねばならないのかと!!!
タムドクは この処分を甘んじて受けるつもりだった
自分を擁護することで 兄の立場が揺らぐことがあってはならないのだ
旅の支度を整え 父王に挨拶するタムドク
明日にでも出発するという息子に コヤ王妃がため息をつく
しかし イ・リョン王は 早々に発つのが良かろうという
後燕との交渉を穏便に進めるためにも タムドクは離れる方がいいと…
我が息子の功績を 誰より評価しているイ・リョン王である
しかし 王である自分が 第2王子のタムドクを高く評価すれば
その分だけ大臣たちの タムドクへの風当たりが強くなるのだ
生きて僻地へ送られるどころか 命までも奪おうとするだろう
冷酷な父と思われようと 息子を救うにはこの方法しかないのだった
二度と戻れぬかもしれぬ旅立ちである
タムドクは 今生の別れと覚悟し礼を尽くす
イ・リョン王は 先々代の故国原王より贈られた鏡を 息子に持たせる
王室の大事な宝を 惜しげなく渡すことで 父の愛情を示すイ・リョン王
いかに功績を上げようと その気性の荒さで災いを呼んでしまう息子
常に鏡を見て我が身の姿を整え その行いを振り返るようにと
戒めの思いを込めて息子を送り出すのだった
後燕では
皇帝 慕容垂(モ・ヨンス)が 未だ成功の知らせがないことに焦っている
慕容宝(モ・ヨンポ)の弟 慕容煕が そんな父王をなだめていた
高句麗(コグリョ)の使臣館では 慕容宝(モ・ヨンポ)が苛立っている
高句麗(コグリョ)と北魏の使臣を仲違いさせ 早々に帰国させる
それでこそ父王の計画が実行に移せるというのに…
タムドクを殺し損ない 嫌疑まで懸けられている
しかもタムドクは まもなく僻地に送られてしまうのだ!
まだ タムドクの命を狙う機会はあると 余裕を見せるプンパルだが
ことごとく失敗を繰り返すプンパルが 信じられなくなる慕容宝(モ・ヨンポ)
今度こそはと 自ら考えた秘策を話し出すプンパル
密かにここを出て 柵城(チェクソン)へ向かうタムドクを殺すという…!
左遷する身のタムドクが 軍勢を率いて行くわけがない
だからこそ 命を奪う好機なのだと!!!
すでに 国内(クンネ)城からの抜け道を把握しているプンパルは
城外で待機する兵の中から精鋭を集め タムドクを待ち伏せるべく急ぐ…!
翌早朝
タムドクは コヤ王妃との別れを惜しんでいた
幼くして遼東城へ送られたタムドクは 母の傍で育ったわけではない
コヤ王妃にとっては やがて後を継ぐタムマン王子も
手元で愛してやることが出来なかったタムドク王子も
どちらも愛してやまない息子なのであった
旅立ちの前に 皆と別れを惜しむタムドクの前に
不敵な笑みを浮かべ 慕容宝(モ・ヨンポ)が現れる
『もしも王室と兄上に何かしたら… お前を決して許さない!』
そう言い捨て行こうとするタムドクを ケ・ヨンスが呼び止める
そして 王子様のすべての言動が国益に影響を与えていると諫めた…!
ただただ国を思い 忠誠を誓うケ・ヨンスは
タムドクの存在そのものを容認できない
それを知っているからこそ 今回の処分を受け入れたタムドクなのだ
柵城(チェクソン)へ向かう途中
タムドクは プンパルの襲撃を受け断崖絶壁に追い詰められる…!
そして プンパルが放った毒矢を胸に受け 谷底へ!!!