北海道大学政治学 山口二郎教授の投稿文です。貧困問題が世界的な問題となっています。日本も生活保護世帯数が戦後最高を記録しています。
生活保護受給者が史上最高を記録したというニュースが伝えられた。特に、働く意欲と能力を持つ若い世代において保護受給者が増加していることが原因である。このニュースを聞き、暗澹たる気分になった。
東日本大震災は激甚型の、目に見えるリスクである。これに加え、今の日本では目に見えないリスクが社会の基底を掘り崩している。地震がプレートの歪みがたまることによって起こるように、社会の奥底にたまっている貧困・格差という歪みは、放置しておけば近い将来社会的な激震をもたらすであろう。
一方で介護分野を中心に人手不足は続いている。それは賃金の低さと労働環境の劣悪さ故である。最低賃金を引き上げ、週40時間働けば食べていける給料を稼げるようにすることが、最も有力な貧困対策である。賃金を価格に転嫁できない中小企業であれば、国が補助金を出せばよい。保護費を丸ごと払うよりも遥かに安上がりであろう。
もはや貧困は一部のかわいそうな人の問題ではない。正規雇用が希少価値になりつつある今、誰だってちょっとした偶然で貧困に陥る可能性を抱えている。また、子どもたちに貧困の累を及ぼさないことは我々世代の責務である。民主党政権は非正規雇用を普通のことと前提とし、貧困政策を改める時である。
生活保護受給者が史上最高を記録したというニュースが伝えられた。特に、働く意欲と能力を持つ若い世代において保護受給者が増加していることが原因である。このニュースを聞き、暗澹たる気分になった。
東日本大震災は激甚型の、目に見えるリスクである。これに加え、今の日本では目に見えないリスクが社会の基底を掘り崩している。地震がプレートの歪みがたまることによって起こるように、社会の奥底にたまっている貧困・格差という歪みは、放置しておけば近い将来社会的な激震をもたらすであろう。
一方で介護分野を中心に人手不足は続いている。それは賃金の低さと労働環境の劣悪さ故である。最低賃金を引き上げ、週40時間働けば食べていける給料を稼げるようにすることが、最も有力な貧困対策である。賃金を価格に転嫁できない中小企業であれば、国が補助金を出せばよい。保護費を丸ごと払うよりも遥かに安上がりであろう。
もはや貧困は一部のかわいそうな人の問題ではない。正規雇用が希少価値になりつつある今、誰だってちょっとした偶然で貧困に陥る可能性を抱えている。また、子どもたちに貧困の累を及ぼさないことは我々世代の責務である。民主党政権は非正規雇用を普通のことと前提とし、貧困政策を改める時である。