
写真:飯田市役所前の動物園のカモシカ
■はじめに
・環境省の地域環境力を測る指標開発の調査で、長野県飯田市をたずねた。市役所環境課、商工会議所、多摩川精機、NPO法人おひさま進歩を訪問し、各々の立場から、飯田市内の地域環境力の具体的状況について、認識や意見をいただく趣旨である。
・詳細の分析は、いただいた資料を読んだり、情報を整理してからとするが、概括的には次のような結果が得られた。
■地区活動の強さ
・飯田市では、もともと地区毎の互助が強い地域である。公民館活動、まちづくり委員会などの活動が、その互助関係を継承させている。伝統芸能である人形劇の継承や地区毎の祭りの活発さ等も、互助の強さゆえのこと。
■地域づくりの両輪としての環境基本計画
・飯田市では、最初の環境基本計画を策定しているが、これを地域の総合計画とともに、地域づくりの両輪として作成している。当時の市長が、環境文化都市をテーマとしており、それに呼応する熱心な行政担当者がいたため。作成された環境基本計画は職員の手作りで分厚い。
・この計画の推進体制として、34団体の環境ネットワークや環境アドバイザ-等が設置された。当時の熱心な行政担当者が、その後、議員となり、NPOや互助の担い手となり、環境文化都市の活動を支えている。
■環境企業のネットワーク
・飯田市の地域環境力で、特筆されるのは、環境経営に関する企業間のネットワークが形成されていること。29事業所が参加している地域ぐるみ環境ISOの活動がそれである。この活動は、多摩川精機の社長の呼びかけから立ち上がったものである。
・同社長は、戦前の昭和恐慌時代に、貧困救済のために地域産業の振興が必要だと考え、この地に会社を設立した。その後、バブル崩壊後の昭和恐慌の際に、地域内の他企業(オムロン、平和時計)に呼びかけ、経営効率化のための改善研究会を設立し、そこで築かれた関係が地域ぐるみ環境ISOにつながってきている。
・簡易な環境管理システム(いいむす21)を独自につくり、中小企業も環境経営ネットワークに参加している。
■太陽光利用の先進地
・飯田市の市民活動では、太陽光の市民共同発電、ESCO事業を担う「おひさま進歩」が目立つ。環境省のまほろば事業の補助金を活用し、市内の公共施設38箇所に太陽発電所、美術館等の公共施設10箇所程度にESCO事業を導入している(ESCO事業は、省エネ発電所といわれる)。南斜面が多い飯田市では、市独自の助成制度もあり、太陽光発電の設置数が全国有数となっている。
・現在では、個人向け太陽光発電の普及拡大を、おひさま進歩と市役所が連携して、目指している。
・一方、1990年代から、ごみ関連の活動が活発である。現在では、ごみ有料化の広域協議会が設立され、2月より一斉に有料化がスタートする。
■行政、企業、NPOの地域環境力
・以上にように、飯田市においては、行政、企業、市民活動各々が活発である。特に企業における環境経営ネットワークが設立され、継続していることが特徴である。
・ただし、地域ぐるみ環境ISOとNPO活動等との連携はまだこれからも面もある。前者は、地域経済の振興を目的としており、非営利事業とは一線を画する傾向もあるようだ。公益事業を営利事業として展開する方向性もあるなか、企業とNPOの本格的な連携事業の離陸に期待したい。
・今後は、太陽光発電のみならず、森林資源のエネルギー利用を進めることがターゲットとなっている。森林資源を利用することで、川上・川下の連携が促される。環境配慮を行うことで、主体間の関係性が強まり、その関係性を活かして、環境活動が推進されるという好循環の形成が期待される。
■議決された環境文化都市憲章
・市長が代わり、総合計画のタイトルは、環境文化都市から経済自立都市に変わった。しかし、議会の議決で、環境文化都市を憲章とすることが決まったという。環境文化都市という目標を共有する飯田市において、環境をテーマにした主体間の響きあいは今後も留まることがないように思われる。
■はじめに
・環境省の地域環境力を測る指標開発の調査で、長野県飯田市をたずねた。市役所環境課、商工会議所、多摩川精機、NPO法人おひさま進歩を訪問し、各々の立場から、飯田市内の地域環境力の具体的状況について、認識や意見をいただく趣旨である。
・詳細の分析は、いただいた資料を読んだり、情報を整理してからとするが、概括的には次のような結果が得られた。
■地区活動の強さ
・飯田市では、もともと地区毎の互助が強い地域である。公民館活動、まちづくり委員会などの活動が、その互助関係を継承させている。伝統芸能である人形劇の継承や地区毎の祭りの活発さ等も、互助の強さゆえのこと。
■地域づくりの両輪としての環境基本計画
・飯田市では、最初の環境基本計画を策定しているが、これを地域の総合計画とともに、地域づくりの両輪として作成している。当時の市長が、環境文化都市をテーマとしており、それに呼応する熱心な行政担当者がいたため。作成された環境基本計画は職員の手作りで分厚い。
・この計画の推進体制として、34団体の環境ネットワークや環境アドバイザ-等が設置された。当時の熱心な行政担当者が、その後、議員となり、NPOや互助の担い手となり、環境文化都市の活動を支えている。
■環境企業のネットワーク
・飯田市の地域環境力で、特筆されるのは、環境経営に関する企業間のネットワークが形成されていること。29事業所が参加している地域ぐるみ環境ISOの活動がそれである。この活動は、多摩川精機の社長の呼びかけから立ち上がったものである。
・同社長は、戦前の昭和恐慌時代に、貧困救済のために地域産業の振興が必要だと考え、この地に会社を設立した。その後、バブル崩壊後の昭和恐慌の際に、地域内の他企業(オムロン、平和時計)に呼びかけ、経営効率化のための改善研究会を設立し、そこで築かれた関係が地域ぐるみ環境ISOにつながってきている。
・簡易な環境管理システム(いいむす21)を独自につくり、中小企業も環境経営ネットワークに参加している。
■太陽光利用の先進地
・飯田市の市民活動では、太陽光の市民共同発電、ESCO事業を担う「おひさま進歩」が目立つ。環境省のまほろば事業の補助金を活用し、市内の公共施設38箇所に太陽発電所、美術館等の公共施設10箇所程度にESCO事業を導入している(ESCO事業は、省エネ発電所といわれる)。南斜面が多い飯田市では、市独自の助成制度もあり、太陽光発電の設置数が全国有数となっている。
・現在では、個人向け太陽光発電の普及拡大を、おひさま進歩と市役所が連携して、目指している。
・一方、1990年代から、ごみ関連の活動が活発である。現在では、ごみ有料化の広域協議会が設立され、2月より一斉に有料化がスタートする。
■行政、企業、NPOの地域環境力
・以上にように、飯田市においては、行政、企業、市民活動各々が活発である。特に企業における環境経営ネットワークが設立され、継続していることが特徴である。
・ただし、地域ぐるみ環境ISOとNPO活動等との連携はまだこれからも面もある。前者は、地域経済の振興を目的としており、非営利事業とは一線を画する傾向もあるようだ。公益事業を営利事業として展開する方向性もあるなか、企業とNPOの本格的な連携事業の離陸に期待したい。
・今後は、太陽光発電のみならず、森林資源のエネルギー利用を進めることがターゲットとなっている。森林資源を利用することで、川上・川下の連携が促される。環境配慮を行うことで、主体間の関係性が強まり、その関係性を活かして、環境活動が推進されるという好循環の形成が期待される。
■議決された環境文化都市憲章
・市長が代わり、総合計画のタイトルは、環境文化都市から経済自立都市に変わった。しかし、議会の議決で、環境文化都市を憲章とすることが決まったという。環境文化都市という目標を共有する飯田市において、環境をテーマにした主体間の響きあいは今後も留まることがないように思われる。
何か できることが ないのか 考えて いました。
とても参考になります。今後も拝見させていただきます。頑張って下さい。
でも、
私はまだまだ飯田や伊那谷のことを知りません。これからも調査を継続させていただき、データを皆様に提供していけたらと思ってます。
今後とも、よろしくお願いします。