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サードウェイ(第三の道) ~白井信雄のサスティナブル・スタイル

地域の足もとから、持続可能な自立共生社会を目指して

希望が持てる社会とは

2008年10月25日 | 雑感
 国立環境研究所の持続可能性に関する指標開発のワークショップ(3回目)に参加した。

 今回のテーマの1つが希望学だった。内容が新鮮で面白かったので、講師の玄田有史先生の編著「希望学」(中央新書ラクレ)を購入し、今日、電車の移動中に読んでみた。

 持続可能な社会づくりにおいて、中心的な目標は、現世代と将来世代の幸福を両立させることだとしよう。希望とは、現在からみた将来に対するものであるから、現世代と将来世代の幸福のベクトルを示すものである。

 現世代が希望を抱いていても、将来に幸福になれるとは限らない。しかし、幸福になろうという取組姿勢を持っていれば、そうなれる可能性は高いだろう。

 つまり、将来に対する取組姿勢(希望)を皆が持っていることが、持続可能性な社会を築いていくための基本要素となるだろう。

 では、あらゆる主体が、格差なく希望をいだけるようにするためは、どうしたらいいだろうか。

 玄田氏の著書では、「希望を持て」と説くのではなく、「希望」を規定する要因を統計的手法により分析している。

 規定要因として語られる中のおもしろいと思ったのは、ウィークタイズ(弱い紐帯)である。弱い紐帯とは、たまにしか会わない程度の友人・知人のことをさす。この弱い紐帯を多く持つことは希望を持つ(絶望しない)という。

 たまにある友人・知人のひとことで救われ、解放されることも多い(常に会う友人は、知りすぎている分、閉塞感がある)ことを考えると、なるほどなと思う。なお、家族や近しい友人等も希望の有無を規定するという結果が得られている。

 また、希望の有無を規定する要因として、挫折経験が強調されている。挫折を味わった人間は、それを克服したとき、希望を持つということだ。

 格差なく、あらゆる人が希望を持つためには、弱い紐帯のある社会(例えば、職場、地域以外のNPO等の活動の場を持つ等)を築くことが大事だといえるだろう。

 しかし、挫折の経験率を高める社会をあえてつくることは難しい。ひいていえば、学校教育の中で、自分でとことことん考えたり、自分の力を試す期待をできるだけ多く持たせるということだろうか。

 ワークショップの後、私は玄田氏に次のことを問いかけた。

 「希望を規定する要因として、社会的な要因、経済的な要因を分析されているが、環境的な要因についてはいかがでしょうか。自然とのふれあい体験などが豊富な人間は、希望を持ちやすいというようなことがあると思いますが。」

 先生の答えは、「そこは(分析から)ざっくりと抜けています。」。

 弱い紐帯が希望を規定するという意味は、他者性が重要ということだ(他者の目線で自分を見つめるとか)。

 だとすれば、時間軸の他者、人間以外の他の生物という他者、あるいは自分を超えた自然や宇宙のメカニズムの視点を、実感・思考することで、希望を抱きやすくなるといえるのかも。

 環境教育においても、希望というテーマをきちんと扱うことも考えてみる必要があるだろう。

 
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1 コメント

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Unknown (hauru)
2008-11-02 00:04:32
こんばんは。
お話された、「自然とのふれあい体験」同感です。
そして、学校教育の中で、自分でとことことん考えたりということ、
できれば植物だけでなく、動物を飼って欲しい。育ててほしい。そして、小さな命はとても大きいことを知ってほしい。
命は悲しみと隣り合わせだから、ひとつ一つがとても大事だということに気がついてほしいです。
持続可能性な社会を築いていくための基本要素の中にあったらうれしいな。と思いました。
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