サービサイジング
循環型社会を実現するうえでは、これまでの大量生産・大量消費・大量廃棄を改めることを考える必要がある。大量生産・大量消費であっても大量リサイクルで高速循環させながらも資源を環境中に排出させたり、枯渇させなければいいのではないかと考え方もあるが、やはりリサイクルもエネルギーを消費するし、100%のリサイクルは難しい。
そこで必要になるのが、言うまでもなく、リデュース(減量化)やリユース(再使用)である。また、そもそも生産者がモノを売るのでなく、サービスを売るという「サービサイジング」をビジネスにすることも模索されてきた。
「サービサイジング」には様々なタイプがある。「レンタル」や「リース」のように、供給側がモノを所有し続け、モノの使用段階あるいは廃棄段階も管理することもサービサイジングである。また、モノを共同で利用する「シェアリング」、音楽のデジタル配信等のようにモノをサービスで代替することもそうである。
「サービサイジング」は、企業の環境経営の新しいビジネスモデルとして、2005年から経済産業省がモデル事業を実施してきた。しかし、近年では、省エネ家電製品のように環境性能のよい製品による既存製品の代替促進が景気対策として進められており、「サービサイジング」という新しいビジネスモデルへの転換は少し棚上げになっているようにも見える。
しかし、未来志向で考えるならば、「サービサイジング」事業がさらに注目される時代が来るだろうう。
カーシェアリング
離陸する気配がない「サービサイジング」の中で、カーシェアリング事業は2010年以降、増加傾向をみせている。交通エコロジー・モビリティ財団の調査によれば、日本のカーシェアリング車両ステーション数は4千ヶ所(前年比1.5倍)、車両台数は約6500代(同1.7倍)、会員数は17万人弱人(同2.3倍)と増加している。
カーシェアリングによって、利用者は、自動車の購入費や維持費等を抑えることができる。社会的にみると、無駄に自動車を利用することが減ることから、自動車によるエネルギー消費や二酸化炭素や二酸化窒素の排出量を減らすことができる。また、自動車の保有台数が減れば、駐車場スペースが少なくて済み、土地の有効利用にもなる。そして、カーシェアリングでは、電気自動車やハイブリッドカーなど、まだまだ高いですが環境性能がよい車を導入することができる。電気自動車等は、セカンド―カー的な使い方をするとすれば、個人所有ではなく、カーシェアリング(共同所有)という形態が向いているのかも知れない。
未来の来たるべき循環型社会では、車以外でもシェアリング・ビジネスが重要になってくる。ルーム・シェア、災害時でも使用できる再生可能エネルギーによる独立電源のシェア、自給自足用の家庭菜園のシェア、フリーオフィス(オフィス空間のシェア)など、様々なシャアリング・ビジネスの市場拡大が考えられる。シェアリングは、環境性能等のよいモノの普及、あるいは限られた空間・資源の有効利用を担う環境ビジネスとして期待される。