醸楽庵だより

芭蕉の紀行文・俳句、その他文学、社会問題についての評論

醸楽庵だより  715号  北朝鮮問題について(1)   白井一道

2018-04-29 16:17:36 | 日記


  北朝鮮問題について 1


華女 北朝鮮はなぜ核兵器やアメリカまで届く大陸間弾道弾を開発しようとしているのかしら。
句郎 核兵器や大陸間弾道弾を持っていれば、自国の存続が保障できると考えているからなんじゃないのかな。
華女 北朝鮮政府は自国の存続のために核兵器や大陸間弾道弾を持ちたいとなぜ持ちたいと思っているのかしら。世界中には北朝鮮と同じような小さな国はたくさんあるじゃない。それらの国々は皆、核兵器や大陸間弾道弾を持ちたいと思っているわけじゃないんでしょ。
句郎 北朝鮮は小国に間違いはないと思うけれど、一九五〇年に始まった朝鮮戦争はまだ継続中だからね。
華女 七十年間もの間、朝鮮半島の南と北の国は戦争をしているのね。驚きだわ。
句郎 一九五三年に朝鮮半島の北緯三八度線で停戦し、休戦状態がそれ以来現在に至るまで続いているんだ。
華女 半ば、戦争状態が半世紀以上も続いているというのは、両国の国民にとって厳しい生活が強制されているということなのね。
句郎 そうなんだ。一九五〇年代は北朝鮮の方が経済力においては上回っていたようなんだ。それは鉱物資源が北の方が豊かだったからね。戦前日本が植民地朝鮮に投資したのも北側だったからね。
華女 あっ、そうなの。でもだんだん南の方が経済的には豊かになって行ったのね。
句郎 そうなんだ。だからそのうち北朝鮮政府は自滅するに違いないアメリカ政府は予想していたようなんだ。しかし、いつまでたっても北朝鮮政府は自滅しない。北朝鮮の国民は貧しさに耐え抜く力が強いと思うようになったみたい。
華女 戦争はすぐやめたいと両国の国民は思わなかったのかしらね。
句郎 米ソ冷戦が第二次大戦後一九八九年十二月まで続いていたからね。
華女 冷戦が終わり、東欧諸国は自由化し、東西ドイツは統一を実現したのになぜ朝鮮半島では、朝鮮民族の統一国家の成立が実現しなかったのかしら。
句郎 北朝鮮の国民が自由化を望まなかったということなんじゃないのかな。
華女 信じられないわ。
句郎 北朝鮮は社会主義とは名ばかりの半ば封建的な独裁国家になっていたようなんだ。
華女 北朝鮮の国民は米ソ冷戦の犠牲にされていたということね。
句郎 そうだよね。プロレタリアートの独裁という少数者革命の結果、実現した政府は恐ろしい結果をもたらすという見本のような政府が北朝鮮政府なのかもしれないな。
華女 無慈悲な独裁国家の若い権力者金正恩氏と韓国大統領文在寅氏が休戦ライン上で握手し、手をつないだまま、休戦ラインを超えたテレビ画面を持て涙を浮かべていたソウル市民がいたわね。
句郎 韓国が設置したプレスセンターでも拍手が沸き起こったらしいね。
華女 歴史は確実に進んでいるのよ。そんな風におもうわ。
句郎 そう思うな。北朝鮮は信じられないという発言を聞くと喧嘩した方がいいと言っているのかなと感じるよね。
華女 そうよ。平和よ。平和。