side by side:湘南夫婦のあしあと

二人が好きな地元湘南、スポーツ観戦、旅行、食べ歩き,音楽・美術鑑賞など、日々のあれこれを綴ります

ハンチバック 市川沙央 (2339)

2023年10月07日 | 書籍・雑誌

*****ご注意!一部ネタバレの可能性があります!*****


2023年上期(169回)芥川賞受賞作
公益財団法人日本文学振興会のHPには「芥川賞は、雑誌(同人雑誌を含む)に発表された、新進作家による純文学の中・短編作品のなかから選ばれます。 」とある

主人公は人工呼吸器と電動車椅子で介護施設で生活をしている重度障がい者
作者の市川さんも筋疾患先天性ミオパチーによる症候性側弯症で人工呼吸器・電動車椅子の生活だという。

作品中で、健常者中心の社会への皮肉がチラチラ書き並べられている。
例えば、読書をとっても、(研究書など)本屋に出向いて購入する、重い本を抱えページをめくるという作業に、苦行に感じる障がい者がいることに思いが至らない、という指摘はハッとさせられた。
また、同じ障がい者用操作ボタンでも病気によって、強く押すボタンが楽な障がい、触って反応するほうが楽な障がいがあるということに、障がい者関係の勉強をしている人もなかなか理解できない、との記述も。

形だけの障がい者理解・対応になっていることが多いのだろうなと思った。
障がい者が描く作品もあまりないと作者・市川さんが指摘していた。

芥川賞の受賞記事で、市川さんが「重度障がい者の初の受賞と書かれるのだろうが、どうして2023年に初なのか、皆に考えて欲しい」とコメントしたそうだ。

2023年6月30日第一刷発行
初出 「文学界」2023年5月号




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