「自閉症」が増加?子供の1%近くに…米推計
【ワシントン=山田哲朗】米疾病対策センター(CDC)は18日、米国の子供の110人に1人が、社会性や意思疎通の能力の発達が遅れる「自閉症スペクトラム障害」(ASD)を持つとの推定を発表した。
2007年発表の推定値「150人に1人」(0・66%)から大幅に増加した。診断が広まったことで発見される件数が増えた効果も考えられるが、CDCのキャスリーン・ライス博士は記者会見で「自閉症などが実際に増加している可能性も排除できない。公衆衛生上の緊急の問題だ」と話した。
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自閉症はスペクトラムに例えられるように境界線もなく、ごく一般の人から連続する様々な症状を発現します。
ここからは障害であるという明確な線引きもなく、身の回りの人間関係や集団内での適応に不自由がどの程度あるのかという観点から診断名がつくこともあります。
ただし生まれ持った個性の様なものであり、後天的に発症するわけではありません。診断には生育歴も重要で、幼児の頃からの特有の行動などがあったのかは大切な観点となります。
後天的な環境に由来するコミュニケーション能力の未熟さとは一線を画した障害です。
現在はコミュニケーション能力が未熟と思われる人も多く、社会の中に子供に対人関係を作る環境が無くなってきているのではないかと感じています。
子供がコミュニケーション能力を身に付けるのは、子供同士の関係の中でです。
子供対大人では大人側が子供の気持ちを忖度したりできるので、子供にとっては自分で考えて作り上げる人間関係にはなりませんが、子供同士の場合は双方が同じ立場のため自分たちで考え工夫していかなければ友人関係を作り上げることはできません。
以前は子供同士だけで遊ぶ機会もたくさんあり、子供社会とも呼べる物がありました。
子供社会の中では遊びの伝承があり、子供の持つエネルギーを発散させる場所として子供を惹きつけながらも、子供社会参加のためのルールを身に付ける場所でもありました。
子供社会の形成には担保されなければいけない3つの事があります。
時間・場所・複数の子供、このうちどれかが欠けても子供社会は消滅してしまいます。
公園はあっても遊ぶ時間がない、遊ぶ相手がいない、安全に遊べる場所すらない、様々な理由から地域に子供が群れ遊ぶ姿を見なくなりました。
子供の遊びは大人から見ると全くの無駄な行動にも見えます。
経済という観点からの説明はできなくても、子供の遊びがなければどうなるのか。実験動物として親子二頭だけで隔離して飼育されたサルには、子ザルが見知らぬサルを怖がり挨拶行動をとろうとしない、周囲への関心をほとんど示さないとの観察もされています。
部屋の中でテレビを見せてばかりの子供が皆、コミュニケーション力の足りない人間に育つわけではありません。
人には個人差もあり、どんな状況で育ってもコミュニケーション力の高い人もいればそうではない人もいます。
人間の体も弱い部分から病気になるように、もともと会話や対人能力の高くはない人から影響が現れやすくなると考えられます。
自閉症傾向を持つ人は多く、それでも成長の過程で社会に順応できるようになっていくはずが、社会性を伸ばす子供にとっての環境が充分ではなく、結果として自閉症の診断を受ける人が増えている、そう感じています。