仙台博物館の園庭の林子平の碑
去る7月20日、林子平が眠る仙台市青葉区子平町の龍雲寺で供養祭「林子平祭」が開催されました。
例年、十数人の僧侶が本堂で子平だけでなく東日本大震災などの物故者供養のため読経、焼香し、墓前でも読経と焼香をするそうです。
林子平については、教科書で知っていても詳しいことは知らずにすぎてきました。
昔、友達と北山のあたりを散歩している時に林子平ゆかりの碑かお墓に出くわし、「こんな所にあるんだ!」と意識したことがありました。
そこは、現在は「子平町」という町名ですが、この地名は林子平にちなんで元の「半子町」という名前を昭和48年(1967年)変更されたそうです。(そんなことも全く分からず今まで「子平町」の名前を自然に受け入れていました。)
林子平について調べてみると、その業績が大変素晴らしいものだったということが分かりました。
日本各地を旅し先見の明がを持ち「三国通覧図説」とか「海国兵談」を著し、海防の必要や人材の育成などを説いたのですが、時の江戸幕府は、その思想をいたずらに人心を惑わすものとして、版木没収や蟄居を命じるなど、子平にとっては、不遇な状況になってしまいました。
自らのことを「親もなし、妻無し、子無し、はん(版)木無し、かねもなければ、死にたくもなし」と述べ、「六無斎(ろくむさい)」と号し、失意のうちに寛政5年56歳で没しました。
子平は龍雲院に葬られましたが罪人のため墓を建てることも許されなかったのです。
子平は蒲生君平、高山彦九郎とともに「寛政の三奇人(この場合、奇人とは変人という意味ではなく優れた人という意味だそうです。)」と呼ばれますが、時を得ないということは奇人にとっては本当に不幸なことですね。
でも、やがて時代が進むにつれて、子平の言ったことが現実のものとなり、その優れた才能も認められ、幕府から赦免され墓の建立が認められました。おいの林珍平が建立しましたが子平の死後48年後のことでした。その後、政府の要人伊藤博文が立ち寄った折、自分の慕う子平の墓のあまりの荒廃ぶりを見て嘆き、その偉業を後世に残すべく墓のそばに碑をつくり寄進しました。(それが、私たちが出会ったものだったのかな...?)
墓は、昭和17年に国の史跡に指定されました。
そんな子平の業績をしのび、祭りが行われてきました。
「林子平祭」は昭和の初めから命日の6月21日に実施されており、当時は子平の海防論が軍国主義と結びつき、市民、海軍、海洋消防団が参加し、盛大に行われたそうです。
これが昭和17年(1942)年、海の記念日が制定されたことなどにいり7月20日に変更されたのだそうです。
戦後、祭りも復活し、子どもたちも参加し、パレードが商店街を行進したそうです。
ある方のブログに「林子平祭」についての記事があったので紹介します。祭りの写真が掲載されておりその様子がうかがわれます。
https://blogs.yahoo.co.jp/sai4asamima9/13173544.html?__ysp=5p6XIOWtkOW5syDnpa3jgoo%3D
子供たちが喜んで参加できる小さな手作り感のあるお祭り、懐かしいです。
「青葉祭り」や「仙台七夕」「六魂祭」等は、観光客向けのお祭りで盛大で豪華さは見事ですが、家族連れで徒歩で参加できる地域の住民たちの小規模なお祭りはまた違った良さがありますよね。
昔、子どもの頃毎年参加した春頃のお祭りを覚えていますか?どこまでの地域のお祭りだったかよく覚えていませんが、あの頃小学生頃からの参加だったでしょうか?4年生以下?は男女ともはっぴ姿、そしてたしか6年生の女子が巫女さんの姿で白い着物に朱色の袴でとてもあでやかだった記憶があります。
そして行列を作って地域を歩きながら各場所場所でお菓子をいただきながら最後日和山の鹿島御児神社に着きます。家に帰って、いただいたお菓子を兄弟で出し合うと、普段は手に入らないくらいの量になり、とても嬉しかったものです。
そんな子どもの頃の楽しい思い出が忘れず残っています。
そんな体験を今の子どもたちにも味わってほしいと思います。(もしかすると、どんぐりさんはそれに類するような思い出を子どもたちに提供しているかもしれませんね。)
龍雲院の近くに「子平堂」という和菓子屋さんがあります。「子平まんじゅう」が看板商品です。
「林子平祭」は以前に比べてだんだん参加者が減ってきており、以前のように盛んにしたいと願っている方々がいます。
仙台の観光の一つとして「林子平」にちなむ場所を歩くコースも設定されています。
また、初めの写真は、仙台市博物館の園庭にある碑ですが、博物館は、仙台藩主・伊達氏の居城だった仙台城の三の丸跡にあります。中には林子平の肖像画や「海国兵談話」(寛政3年原刻本)、「三国通覧図説」(仏語訳、1832年刊)等を所蔵しています。
子平まんじゅうをいただきながら、子平の偉業をしのぶ ・・そんな散策が楽しめそうな「林子平祭」のお話でした。
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