(昨日からの続き)
ガイア仮説で有名なジェイムズ・ラブロック博士は、1960年代前半から NASAで火星探査計画(後のバイキング計画)に参加しました。火星の大気と地表分析のための精密機器の開発に従事していました。特にバイキング計画は火星表面の生命の探査が重要な目標でした。その中でラブロック博士は火星の大気組成に着目します。火星に生命がいるのであれば、彼らは火星の大気を利用するであろうし、呼吸や光合成などの生命作用があれば大気組成に何らかの痕跡を残すだろうと予測したのです。調べてみると火星の薄い大気は二酸化炭素がほとんどを占めていて化学平衡に近い安定した状態であることがわかりました。もし呼吸や光合成、醗酵や腐敗といった生命の作用があれば火星の大気には酸素やメタンなどが含まれているはずです。しかし、火星大気を調べてみるとそれらは少なすぎました。ラブロック博士の予測では、火星には生命はいないのだということです(注)。バイキング1号と2号は1976年に相次いで火星に着陸し火星土壌の分析を行ないましたが、いくつかの興味を引く反応は検出されたものの最終的に生命は探知できなかったという結論になりました。
こうしたことから系外惑星の大気組成が分かれば生命の有無が判断できるかもしれません。条件としては、
①ハビタブルゾーン(主星の恒星から近すぎず遠すぎない生命の存在可能な領域)にある系外惑星で、
②地球サイズより大きすぎず(大きすぎると木星のようなガス惑星になってしまう)小さすぎず(小さすぎると低重力で大気が逃げてしまう)、大気がある(このサイズの惑星は検出が難しいのですが技術は進歩しているので可能性はあります)。
この2つの条件を満たす系外惑星の大気から酸素かメタンが発見されたなら、-これを化学的に非平衡な状態にあると言います-それらは生命の存在の証拠になるかもしれません。もちろん生命によらない地質作用でもそれらの気体が発生することはあるので決して絶対ではありませんが。
私は上記のシナリオで地球外生命が発見される可能性が一番高いと思います。
(注)2004年に欧州宇宙機関(ESA)が火星に送った周回探査機マーズエキスプレスが火星大気中にメタンが一定量存在するのを発見しました。これは生命由来の可能性がある(火山や過去に火星に衝突した彗星由来物質の可能性もありますが)ということで現在注目を集めています。
ガイア仮説で有名なジェイムズ・ラブロック博士は、1960年代前半から NASAで火星探査計画(後のバイキング計画)に参加しました。火星の大気と地表分析のための精密機器の開発に従事していました。特にバイキング計画は火星表面の生命の探査が重要な目標でした。その中でラブロック博士は火星の大気組成に着目します。火星に生命がいるのであれば、彼らは火星の大気を利用するであろうし、呼吸や光合成などの生命作用があれば大気組成に何らかの痕跡を残すだろうと予測したのです。調べてみると火星の薄い大気は二酸化炭素がほとんどを占めていて化学平衡に近い安定した状態であることがわかりました。もし呼吸や光合成、醗酵や腐敗といった生命の作用があれば火星の大気には酸素やメタンなどが含まれているはずです。しかし、火星大気を調べてみるとそれらは少なすぎました。ラブロック博士の予測では、火星には生命はいないのだということです(注)。バイキング1号と2号は1976年に相次いで火星に着陸し火星土壌の分析を行ないましたが、いくつかの興味を引く反応は検出されたものの最終的に生命は探知できなかったという結論になりました。
こうしたことから系外惑星の大気組成が分かれば生命の有無が判断できるかもしれません。条件としては、
①ハビタブルゾーン(主星の恒星から近すぎず遠すぎない生命の存在可能な領域)にある系外惑星で、
②地球サイズより大きすぎず(大きすぎると木星のようなガス惑星になってしまう)小さすぎず(小さすぎると低重力で大気が逃げてしまう)、大気がある(このサイズの惑星は検出が難しいのですが技術は進歩しているので可能性はあります)。
この2つの条件を満たす系外惑星の大気から酸素かメタンが発見されたなら、-これを化学的に非平衡な状態にあると言います-それらは生命の存在の証拠になるかもしれません。もちろん生命によらない地質作用でもそれらの気体が発生することはあるので決して絶対ではありませんが。
私は上記のシナリオで地球外生命が発見される可能性が一番高いと思います。
(注)2004年に欧州宇宙機関(ESA)が火星に送った周回探査機マーズエキスプレスが火星大気中にメタンが一定量存在するのを発見しました。これは生命由来の可能性がある(火山や過去に火星に衝突した彗星由来物質の可能性もありますが)ということで現在注目を集めています。